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122-3.ホットケーキ実食

お待たせ致しましたー






 *・*・*









 悠花(ゆうか)さんやロティ達が作ってくれた、ホットケーキのセット。


 そこに、レイ君のロイヤルミルクティーが加われば。ちょっとしたお茶会に様変わりしてしまった。



「んふふ〜! ホットケーキミックスは、あたしが一から手作りしたわよ!」


「え、悠花さんすごい!」


「ホットケーキ、ミックス?」


「パンケーキの元になる、配合した粉よん。ベーキングパウダーとか砂糖とか先に混ぜちゃうのよ」


「ほう? 泡立て器で混ぜるのかい?」


「違うわよ〜? チーちゃんのポリ袋があったから、それ借りてシェイクしたわ」


「シェイク?」


「振って混ぜることです。お酒なんかでカクテルを作るときにも言いますね?」


「……今更だが、転生してきた君達の知識はすごいな?」


「そうでもないわよ?」



 食べる前に、悠花さんはミルクティーをひと口飲んだ。



「? 違うのかい?」


「……そうね、ちょっと皆勘違いしてると思うわ」



 と言いながら、ちらっと私を見てきたので、私もわかってしまった。



「エイマーさん、【枯渇の悪食】がもしなかったら。この世界の食文化も、もっと成長していたと思いませんか?」


「そう、だね……? たしかにその可能性はあっただろうが」


「私と悠花さんのいた世界も同じです。随分昔に大きな戦があったりもしましたが、そこから頑張って自国や他国の料理を取り入れてアレンジしたり、考えて考えて成長させたんですよ。だから、当たり前だったんです。料理も、それ以外も」


「当たり前……?」


「知識と経験が。初心者冒険者でもわかるレベルくらい、当たり前だったのよん。だから、チーちゃんのパン作りはともかく。あたしでも出来る料理は本当に大したことがなかったわ」


「……そう、か」


「とにかく! 冷めるから早く食べちゃいましょう!」


「「うん!!」



 たしかに、せっかくの焼き立てを冷ましたらもったいない。


 室温で柔らかくしたバターを、綺麗に焼けているホットケーキの上に載せて。


 ジャムは何にしようかなと、ジャムの入ったポットを見たら。少し珍しいものがあった。


 ケシの実のように粒々としたものが入っているジャム。


 これは、もしかして?



「悠花さん」


「んー?」


「この粒々したのって」


「そうよ〜? エリザの婆様から直伝のいちじくジャムよん! シェトラスが昔教えてもらったんだって」


「! じゃ、まずはこれにする!」



 旬のいちじくだったら、絶対に美味しい!


 ましてや、エリザベート様がシェトラスさんに教えたのならきっと。


 トロッとしたジャムをたっぷり載せて。切り分けてから、ひと口。



「〜〜〜〜!!」


「どう?」


「おいひい! もちもちしてて、普通のホットケーキと全然違うよ!」


「そりゃぁね? 米粉を少し入れてあるから」


「あ、それで!」



 ケーキの部分は、ふわふわしてるのにもちもちと食感が良くて、優しい甘さ。そこに溶けたバターの塩気にいちじくのジャムの素朴ながらも優しい甘さが、なんとも言えない。


 悠花さんの料理の腕前は、以前のおにぎりとかで知ってはいたけど。ここまで凄いとは思わなかった。



『おいちーでふぅううう!!』



 ロティも気に入ったのか、フォークでちょっとずつ切り分けながら食べていた。けど、口周りはブルーベリージャムでベトベト。


 すかさず、隣の席にいたレイ君が洗浄(クリーン)で綺麗にしてくれたが。



「うん、美味しい! パンケーキよりは食感がしっかりしているが、ジャムやバターとの相性がいい! これだけのものを君が作れるとは」


「配合と焼き加減だけ注意すれば、そんなにも難しくないわよん?」


「けど、悠花さん。これお店出せるよ!」


「うふふ〜、OLと言うか一人暮らしだと好きに作れるじゃない? 朝飯ついでについつい作っちゃってたのよ」


「なるほど」



 私も前世、パン屋に就職してからは一人暮らしだったけど。家での自作以外に、売れ残りのパンを従業員価格で買ってたりしてたから。ほとんどパン食だったなあ?


 けど、粉の配合でも米粉を入れるだけでこの食感。


 私はいいことを思いついた!



「ねえねえ、悠花さん。エイマーさん!」


「「ん??」」


「次回の定例会ですが……子供達が簡単に作れるおやつで。米粉のクッキーを作ってみようかと思ったんです。米粉なら、お米よりも比較的安価で手に入りますし」


「いいね?」


「パンケーキ作るの難しいものね? 窯の使い方を覚えるいい機会だわ」


「明日試作します!」



 パン屋ではちょっとしたお菓子も作っていたし、米粉パンも製作してたから材料があったのだ。


 どんなレシピにしようか、今から楽しみ。


 とりあえず、悠花さん達お手製のホットケーキは3枚で満腹になりましたとさ?

次回はまた明日〜

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