【幕間】『基本のフランスパン作り』
お待たせ致しましたー
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軽やかな音楽が暗闇に響き渡り、ある一点に向かってスポットライトが当たる。
そこには、作者こと櫛田が頭の部分にシルクハットを乗せている。
『フランスパン。日本人の感覚なら、バケットくらいしか思い浮かばないだろう。しっかーし! 食材を刻んで混ぜ込んだり、小さく丸めて焼く場合もある! つーか、本場のフランスにもし行く機会があったら怒られるですまな──ぐっほぉおおおおお!』
説明途中の櫛田に戦闘斧が飛んできて、そのままホームランされた。
「わーってるわよ。フランスパンに種類が多いくらい?」
『(這いずり)ま、まだ説明途中……』
「だーからって、マシンガントークやらかしたら、読者に申し訳つかないでしょう?」
『へぶ!』
「え、えーと! 今日は基本のバケット作りにいきます!」
「いくわよぉお!」
『パリパリ基本的なバケット』
《材料》
強力粉
ドライイースト
塩
あれば、モルト粉かペースト
全粒粉
作れたら、発酵種の『ルヴァン』
水
《別途用意》
番重と呼ばれているプラスチックケース
キャンバス布
食用油 (スプレータイプがオススメ)
『えー、櫛田が実際に仕込みを経験したことがあるので、話しまふが。正直、フランスパン生地は食パンよりゆるゆるで柔らかいです! 実際すぐ焼くわけではなくて、じっくりと発酵させてから焼くのでふが。分割が……仕込みが……大変でふん』
「今回は手ごね編でお教えします。材料にある、『あれば〜』は今回無視した作り方にします!」
《生地作り》
①粉、塩、イーストをボウルに入れて、よく混ぜ合わせる。
②水を少しずつ加えて、よく混ぜ合わせる。
③ここで、ラップをして常温で発酵させる。
『諸説あるでふが、櫛田はイースト。あと、発酵種のルヴァンを入れて混ぜた時に、自然発酵させて馴染みやすくさせるためと教わったでふ。モルトと言う、大麦から出来る甘味料や砂糖を使わないレシピなので、イーストの働きが重要なのでふ!(●゜ェ゜))コクコク』
「ここでポイント。自然発酵させ、さらに一晩寝かす方法もありますが。作者の勤めているパン屋さんでの製造法通りに進めていきます」
④発酵が終わり、素手でしっかりと混ぜ合わせていく。
⑤途中、差し水をしてベタつきがないようにしっかり混ぜ合わせる。
⑥番重に移して、材料を入れる場合は分割するが、今回はないのでしっかり入れて蓋をする。
『オイルスプレーを、ボウルや手に付けて素手で分割するんでふ。これが一番大変……⊂⌒~⊃。Д。)⊃ピクピク』
《発酵》
①約1時間起きに、折り込みと呼ばれる、生地を折って折って、まとめてから〜を二回繰り返す。
《成形》
①キャンバス布にはあらかじめ、打ち粉を振っておく。測りも同様に。
②スクレイバーもしくは、カードと呼ばれる薄いプラスチック製の板で分割していく。今回は300gで(誤差5gは可)
③分割した生地は、三つ折りにしてキャンバス布の上に置いて行く。布の幅にもよるが、だいたい三つで次の列に移った方が良い。布は軽く敷居が出来るくらいに山折りにすべし。
④軽く打ち粉を振り、気温にもよるがだいたい7分〜10分くらいラップか布をかぶせて生地を緩ませる。
⑤生地の一つを、軽く打ち粉を振った台の上に載せて。麺棒で横に軽く均したら、手で上下を内側に折り込む。さらに、折り込んで閉じ目を手で潰す。
⑥そこから少し細長く、両手で均一に伸ばしてキャンバス布に戻す。これをひたすら繰り返す。
⑦さらに、10〜14分ほどラップや布をかぶせて生地をゆるませる。
『冬場、夏場でここの緩みは重要ですん。何せ、柔らかく水分量の多い生地を扱うので、常温発酵は大事でふよ!』
《焼成(焼き)》
①専用の台、もしくはシルパットなどを載せた鉄板に生地を移動させる。
②もう一度軽く打ち粉を振り、クープナイフでためらわずに一本につき三本もしくは四本の切れ目を入れる。(ここでためらうと綺麗な割れ目が出来ないため)
③予熱で240度に設定した天火機に入れたら、スチーム機能で普通を二回、弱めを二回。表面を香ばしく焼くのに必要な工程である。
④8分入れ、8分で火の高温調整を最低にしたり。さらに、前後を入れ替えたら、5分、3分と焼き色を見ながら焼く。
⑤焼き立ても美味しいが、粗熱をとると風味が増す。
『えー、今は商品もだいぶ変わったでふが。その日に焼くフランスパンはこんな感じでふ』
「熱々焼き立てのフランスパン……なんで呼んでくれなかったのよ、チーちゃん!?」
「え。だって、カイル様のとこにいただろうから。なんとなく?」
「なんでよぉおおおおおおおおおおおお!!?」
だんだんと暗くなっていく。
次回はまた明日〜




