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112-3.焼きカレードリア③(ユリアネス視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(ユリアネス視点)








 カレーを食べられると言うことで、出来るだけ暗めの服装で来たがまだ夏も盛りを迎えてるから、見た目は涼しげにしている。魔法で冷感を保つことは出来るけど、結構難しい魔法だから相手に気付かせてはいけない。


 私達は、レイバルスの知人である夫婦とその親戚の子供と言う間柄なのだから。



「お待ちしてました。ユリアさん、フィルドさん!」


「シアもー!」


「ふふ。いらっしゃい、シアちゃん」



 出迎えてくれた(チャロナ)に抱っこをせがむ辺り、まだまだ赤ん坊というか子供と言うべきか。けれど、チャロナは快く引き受けてくれてしっかりと抱き上げてくれた。



「悪いねー、チャロナ?」


「いいえー。子供は好きですから」


「そっか。じゃあ、こっちの土産はレイに持たせようかなー?」


『あい』


「今日はなんなんですか?」


「んー? 豆乳」


「豆乳!?」



 ふふ、やっぱり喜んでくれたようね?


 使い道についてはきっと知っているだろうし、レイバルスは慎重に筒を抱えてから落とさないように厨房へと持っていった。


 そして、チャロナもシアを子供用の椅子に座らせてからすぐに持ってくると厨房に行ってしまう。ロティがいないのは、おそらく調理器具に変換(チェンジ)させているせいね?


 けれど、ただドライカレーを作るのであれば仕上げにロティの変換は必要ないはず。


 なにか……なにか、とてつもない驚きを見せられそうだわ。


 そしてその予感は当たり、カレーはステーキのように湯気を伴って、グラタンのような器に盛り付けられてやってきた。



「「……これは??」」


「にゃーに?」


「ふふ。カレーをさらにチーズと卵で焼いてみたんです。焼きカレードリアとも言います」


「どりゃー?」


「熱いし、シアちゃんはまだ赤ちゃんだから。今回は少なくしたけど」


「えー?」



 実は云千年以上も生きてる神だとは言えないので、ここは言い聞かせるしかない。



「シア? 辛い料理らしいから、我慢なさい? どうしてもおかわりしたい時は、私のを少し分けてあげるわ」


「……はーい」




 神であることを、一応は言ってはならないので、ヒトの親らしく言い聞かせた。まだこの子の親だった息子達も小さい頃は大変だったけど……妻となった娘の一人と今頃元気で過ごしているはずだわ。そろそろ、経過報告くらいはしなきゃだけど。



「ねえ、チャロナ? スプーンで普通にすくえばいいの?」



 そして、長でもある我が夫も考えていないわけじゃないだろうけど。目の前のご馳走を食べたくてうずうずしていた。


 けど、たしかにこの匂いは胃袋に猛烈に主張してくるわ……。


 スパイシーな香りに、焼いたチーズの香り。


 この二つだけなのに、胃袋を刺激してやまない。昔に幾度か孫のレイアークの管轄する世界で食べたことがあるが、きっとそれに負けないと思う。


 なので、手を合わせてからスプーンを手に取った。



「わ……! チーズが!」



 それに一緒に焼き込んであるのは、チーズやカレーだけじゃない!


 半熟ではあるが、おそらく生の卵を落としてそのまま焼いたのだろう。この暴力的に胃袋を刺激する要素はたまらない!


 火傷に注意するようにシアに告げてから、私もよく息を吹きかけてから口に入れた。



「んん!?」


「おいちー!」


「これ、すごいね!」



 まろやかなチーズの下には、スパイシーなカレーが隠れているが。甘口なのか、ほとんど辛さは感じない。シアでも食べやすい辛さだ。


 この国もだが、だいたいの国では子供でも辛いものは平気としているのに。誰か辛いものを苦手とする人間がこの屋敷にいるかもしれない。


 おそらく、カイルキアだろうが。スパイスの調合などはチャロナ本人がしただろうに、なんて技術だ。


 転生前の、パン屋で修行してた賜物にしたってチート過ぎる技術だわ。


 はふはふ言いながら、フィルドとシアと一緒に夢中になって食べ進めて行けば。


 三人ともあっという間に一皿を空っぽにしてしまった。



「美味かったー!」


「おいちかったー!」


「本当に美味しかったわ、チャロナさん」


「お気に召して何よりです」



 ただここで、おかわりではなくガラスの器に何か白っぽくて丸いモノが入ったのを出してきた。


 フィルドの顔色の変化に、まさか、と思わずにはいられない!



「チャロナ! これって!」


「やっぱり、フィルドさん達はご存知なんですね? はい、冷たくて甘いアイスクリームです。木苺のヨーグルトとチョコを砕いて混ぜ込んだものと二種類あります」


「あいちゅ?」


「シアー? 冷たくて甘いお菓子だよー? カレーの後に食べると最高なんだよ?」


「フィルドさんも作られるんですか?」


「あ、うん。クッキーアイスとか時々」


「クッキーアンドクリームですね! 美味しそう」



 シアじゃなくて、私が欲しくてお願いしているのだけれど。だって、レイアークの世界の食べ物ってなんでも美味しすぎるのよ!


 クッキーを砕いただけのバニラアイスも美味し過ぎるわ!


 は、さて置き。


 見た感じ、ラズベリーヨーグルトのソルベとチョコチップアイスがこんもりと盛られた器。


 新しいスプーンを片手に、ひと口頬張れば。


 口の中で甘い氷河が訪れた。

次回は月曜日〜

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