110-1.ドライカレー
お待たせ致しましたー
*・*・*
まあ、何はともあれ。
晩ご飯にカレーを、と思ってたので着替えてから準備に取り掛かった。
「夏なので、野菜たっぷりカレーにしますね!」
なので、ドライカレーを作っていく予定だ。
エピアちゃんやラスティさんには、たくさん夏野菜を収穫していただき。ウルクル様にも来ていただくようにお願いをして。
調理には、悠花さんも参加したいってとで、一緒に取り組むことになったんだけど。
「悠花さん、夏野菜カレーだけど。ゴロゴロしたおうちカレーじゃないのを作ろうと思うの」
「あら、じゃあキーマとかのドライカレー?」
「そう。あっさりしてて、仕上げに半熟の目玉焼きとか乗せれば」
「まっ! テンションMAXだわ!」
「おうちカレーはまたでいい?」
「いいわよ〜?」
カイルキア様は辛いのが苦手でいらっしゃるし、いつものカレーパンに近いものを作った方がいい。
だから、スパイスの配合もどちらかと言えば甘口向きに。それにドライカレーにはトマトを入れるので酸味が辛味を抑えてくれる効果もある。
あと、食べやすさも重視して。
「けど、チャロナちゃん。こんなにも野菜を使うのかい?」
『すげー量でやんす』
用意した野菜は。
玉ねぎ
にんじん
ピーマン
パプリカ
ナス
トマト
生姜
ニンニク
それを調理台に乗る分、山盛りに用意したのだ。
「これを挽肉と一緒に炒めちゃうので、量は減りますよ?」
「ほう。しかし、マックス様とお話していたその……ドライカレー? とは?」
「具材を全部挽肉のようにみじん切りさせて作るカレーの総称ですね? あと、カレーパンのフィリングのように水分を飛ばした状態になるので」
「「これを全部みじん切りに!?」」
「あ、大丈夫です。下準備させたのを、ロティの変換で全部みじん切り出来るんです!」
「あら、そう言えばフードプロセッサーがあったわね?」
とにかく、時間も限られているので手分けして下ごしらえに移ることにした。
「まずは、第一陣!」
『でっふ! 変換、フードプロセッサー!』
ロティの掛け声で、最近はミキサーを置いてたスペースに業務用のフードプロセッサーがででん! っとあらわれた。これも、変換をレベル30にまで上げてレベルアップさせた結果だそうだ。もちろん、伸縮自在なので以前のタイプにも変身出来るらしい。
使い方は、銀製の蓋を開けて刃が設置されてる中に食材を入れ。下に踏むつまみがあるので、そこを踏めば中の刃が動いて食材が破砕されるそうだ。
ちょっと自動じゃないのに驚きだが、こう言う道具は下手に自動にすると食材が詰まってしまうと言うのを、千里だった時にパン屋の師匠から教わった。
「玉ねぎとにんじん、生姜にニンニクのブロックを入れて」
蓋をして、すぐにつまみを踏む。すると、すぐに中の刃が動いてジャアアアアアアと音が聞こえてきた。
『でっふ、でふでふぅうう!』
そして、取り出す時は。
大容量なので、悠花さんにお願いして先に挽肉を炒めているシェトラスさんが担当している大鍋に持って行ってもらい。
銀製器具から出しておいたゴムベラで出来るだけ綺麗に中身を移していく。刃の部分はロティが消しているので怪我はしない。
「シェトラスさん、ある程度火が通ったらでいいので。炒めてくれますか?」
「もちろんだよ」
「チャロナくん! 残りも準備できたよ!」
「はーい!」
次に、煮込む用のトマトの破砕。
トマトは先に入れた野菜の火が通ってから、コンソメと一緒に加えて煮込んでいく。
「ふむ、この時点ではドロドロだけども?」
「炒めていくうちに、水気はいくらか飛びます」
「チーちゃ〜ん。ナスとかも出来たわよ〜?」
「ありがとう、悠花さん」
最後に火の通りやすい野菜のみじん切りを加えて、よく混ぜたらだいたい十五分くらい煮込んで。
その次に、塩と調合しておいたカレー粉を加えて。
「味見をして、水気を飛ばすのにしばらく鍋と睨みっこして」
この時点ではPTが付与されないので、何度も鍋と向き合い。
好みの味と固さになってから、皆さんにも味見をしてもらった。
「「ほう!」」
『美味いでやんすー!』
「これよこれ! カレーパンもいいけど、このカレーの味が絶妙よねぇ!」
『美味ちいでふぅううううう!!』
「うんうん!」
これに炊き立てのご飯と半熟卵がのっかれば……ああ、美味しいパラダイスの出来上がりだわ!
「ふむ。これに合わせるのなら、チャロナちゃんに以前教わったオイルのドレッシングサラダに。あっさりめのスープがいいね?」
「料理長、野菜はこのカレーに多くあるので。逆に野菜は入れないようにした方がよいかと?」
「そうだね」
と、献立がとんとん拍子で決まっていくので、私はロティとご飯を炊く準備をすることにした。
「こう言うのだと、雑穀米もいいわよね〜?」
「健康志向?」
「チーちゃんの料理はどれも美味しいからよん」
「ふふ」
レイ君も悠花さんも米研ぎを手伝ってくれて、炊ける直前にまずはカイルキア様とレクター先生に試食してもらおうと思ったら。
「よ! ちょいと振りだなあ?」
「フィーガスさん!」
カイルキア様達が、フィーガスさんを連れて食堂にいらっしゃったのだった。
次回は水曜日〜




