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102-5.さすがに気づく?

お待たせ致しましたー






 *・*・*








 無事に、スフレパンケーキ作りも終わり。


 美味しい美味しいと、自分達の手で作ったパンケーキが成功したことに喜びを得た子供達は、私の周りに集まって、口々にお礼を言ってくれた。



「「「「お姉さん、ありがとう!!」」」」


「「「「これで、ケーキ毎日作れる!!!!」」」」


「ふふ。毎日は疲れるかもだけど、マザー達にもちゃんとご馳走してね?」


『『『はーい!!!!』』』



 いいお返事をくれて、最後にトッピングが色々出来るから、マザー・ライアにチョコレートソースやキャラメルソースの作り方のレシピを手渡し(手書き)。


 全員で洗い物を片付けてから、私達は孤児院を後にした。



「なーんで、俺はうまく焼けねーんだよぉ……」



 ミュファンさん達のお店に行く途中、フェリクスさんが残念そうな声をこぼしていた。



「火加減がアホだったんちゃうん?」


「料理が壊滅的なお前に言われたくねー!」


「ふーん、だ」


「子供か、お前達は」


「「ふん!!」」



 たしかに、せっかくかっこいい見た目と服装をしてるのに、中身が子供っぽいと苦笑いしか浮かんでこない。


 けど、大人組では参加しなかったカーミアさん以外だと、フェリクスさんしか失敗してなかった。


 前回のココア蒸しパンは普通に出来てたのに、少し意外。



「はいはい。フェリクスの失敗は私が今度見直してあげますから。ひとまず店に戻って一休みしましょう」


「「へーい」」


「そうだ。俺がアイスクリーム作ってあげるんだぞ!」


「「「「アイスクリーム??」」」」


「あ、シュライゼン様。私も手伝います」


「子供達にたくさん教えたのに、疲れていないかい?」


「大丈夫です」


「わたくしもお手伝い致しますわ!」


「んじゃ、あたしも手伝うわん!」


『俺っちも!』


『でっふぅ!』



 と言うことで、打ち上げも兼ねて、お店の厨房を借りてアイスクリームを作ることになりました。



「シュライゼン様、チャロナさん。アイスクリームと言うのはどう言った料理なのでしょうか?」


「文字通り冷たいクリームなんだぞ!」


「普通に作ると、結構時間がかかっちゃうので。今回も冷却(コールド)を使います」


「あ。冷却(コールド)ならあちき得意やし、手伝えるでー?」


「じゃ、カーミアさん。お願いします」



 作るのは、せっかくなのでラズベリーヨーグルトアイスに加えて、チョコチップアイスを作ろう。


 チョコチップは、細かく刻んだチョコをバニラアイスに加えるだけの簡単なタイプに。


 チョコを刻むだけなら、カーミアさんも出来るだろうと思って誘ってみたが。



「やめとき。腐敗しまくったゾンビのようなもんが出来てまう」


「え、そんなに?」


「嬢ちゃん、やめとけ。こいつはほんとダークマターを生み出す天才だしな?」


「ムカつくけど、その通りやしな?」



 なので、冷却(コールド)をかける直前まではリンお兄ちゃんやミュファンさん達と見学してもらい。



「完全に凍らせる、一歩手前までお願いします」


「ん、わかったでー」



 アイスのバットを置きながら、簡単に説明すると。カーミアさんは本当に得意なのか無詠唱で生活魔法をチャチャっと披露してくださった。



「お待たせしました。ラズベリーヨーグルトアイスに、チョコチップアイスクリームです!」



 器に盛り付けたら、陽光のフロアで全員で食べることに。


 一番気になってた、フェリクスさんは盛り合わせの器をじーっと見てるけども。



「嬢ちゃん、これ凍らせただけのクリームなのか?」


「ふふ。色々混ぜ合わせて口当たりを滑らかにさせたものです」


「嬢ちゃんがそう言うなら、絶対美味いんだろーな?」


「美味いどころですまないわよ、フェリ?」


「マジっすか!」



 とりあえず、添加物とかの不純物のないアイスだから溶けやすいのですぐに食べてもらうと。


 フェリクスさんもだが、カーミアさんにミュファンさんまで声を上げてしまった。



「「う、うっま!?」」


「上質なクリームですね。少し硬いですが、舌の上に載せるとすぐに溶けて」


「ありがとうございます」


「美味しいです。チャロナさん。しかし、これを子供達には何故教えなかったんですか?」


「そーだな。あのケーキにも合いそうじゃね?」


「うむ。この冷たいクリームを一気に食べると頭痛が起きるし、冷たいから食べすぎるとお腹を壊しかねないんだぞ」


「った!」



 美味しくて、勢いよく食べたのはリンお兄ちゃんでした……。



「とまあ、こうなってしまうから。子供達には教えなかったんだぞ!」


「なるほど。子供は病気になりがちですから、無闇に体調を崩しやすい菓子は教えられませんね?」


「うんまいのに、もったいねーなあ?」


「けど、クリーム凍らせただけやのに、めっちゃ美味!」


「お兄ちゃん、大丈夫?」


「あ、ああ……」



 兎にも角にも、アイスの魅力にハマってしまった人達が増えて。


 ミュファンさんが、スタッフ達にも是非作ってあげたいと模写(コピー)でアイスのレシピを手渡し。


 お屋敷には、私の転移魔法の訓練も兼ねて、シュライゼン様とアイリーン様と一緒に発動させたら。


 目を開けると、借りてる自室に到着したのだった。



『到着でふぅうう!』


「で、出来ちゃった……」



 シュライゼン様との追いかけっこ以来、時々悠花(ゆうか)さんと追いかけっこする程度で使いはしたけども。


 本当に、実際に遠く離れた場所まで飛ぶのは初めてで。


 出来たのはいいが、緊張がほぐれて足がガクガクし出して、思わずカーペットの上にペタンと腰を下ろしてしまった。



『ご主人様ぁ、大丈夫でふか?』


「う、うん。怪我とかはしてないから大丈夫」


『にゅ。治癒魔法いりまふ?』


「ううん。大丈夫」



 ちょっと腰が抜けただけだと思うから、と足に力を入れてみたんだけど。


 思った以上に緊張の糸が切れたせいか、すぐには立てなかった。



『にゅ! ユーカしゃん、呼んでくるでふ!』


「う、うん。お願い……」



 たしか、シュライゼン様と一緒に帰ってきてるはずだからと、ロティが扉を開け放って出て行ってしまった。


 私は何度か挑戦してみても結局起き上がれなかったので、しばらく待つことにした。



「……神様? は、私をどうしたいんだろう?」



 ふいに、思った。


 異能(ギフト)だけでなく、魔力や錬金術まで以前とは違って使えるようになり、あっさりと出来てしまった。


【枯渇の悪食】により、食文化が一度潰えた環境だったこの世界の、新たな食文化再生のために動いているだけでもすごいことなのに。


 ただの孤児でしかなかった周 千里()にこんなにも素晴らし過ぎる能力を与えてくださるだなんて。


 何かおかしい、とさすがに私も気になり出した。


 悠花さんまず言うべきか、シュライゼン様やカイルキア様も加わって話すべきか。


 とりあえず、悠花さんが来るまでカーペットの上でじっとしてることにした。

次回は火曜日〜

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