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72-3.微調整をどうすべきか(フィーガス視点)

今日は短め







 *・*・*(フィーガス視点)








 姫様が魔法訓練を始めて、もう二週目にもなるが。


 マックスからの定期報告によると。


 相変わらず、力量はあいつには劣るものの、確実にコントロールは出来てるようになってるらしい。



「……まったく。転生者と言うのは、どいつもこいつも規格外揃いかねぇ?」



 威力は、ケッセンを取り除いたのと。


 王家の血を色濃く引き継いでるお陰で、通常の冒険者よりははるかに越えてはいるが。


 イメージ展開だけで、あんなにも馬鹿げた威力の技をそうホイホイ使えるって、普通じゃあり得ねぇ。


 教えた俺も俺だが、ああもひょいひょいと出来るか普通?



「詠唱破棄もだが、技名だけでぶっ放しって」



 それまで魔法に縁のなかった嬢ちゃんがいきなり出来るか普通?


 うちのカレリアでも、最低3年はかかったぞ?


 そこはあれか。


 やっぱ、転生者って要因が一番でかいんだろう。



「俺教える必要あるか?」



 大事なのはイメージとは口で言ったものの、もう教えることが大してない。


 あるとすれば、攻撃魔法じゃない転移や透化(ステルス)くらいだが。


 それも、コツを教えればあの姫様ならすぐに出来てしまうだろう。


 が。



「マックスが見てやってても、まだまだ荒削りなとこが多い。そこを微調整してやれる事くらいは出来る」



 元冒険者、魔法師として、相手が本来姫様でも、こうも貴重な人材が目の前にあっちゃ何もしないわけにはいかねぇ。


 やりかけの執務を再開しながら、次にいつ出向くか決めることにした。



「孤児院に行く日は避けて……明日行けそうだったら行くか?」



 自衛のために、せっかくなら転移を教えてもいい。


 俺やシュラ様はサボりのために覚えたようなものだが、万が一の時には役に立つ。


 命を狙われる危険性は今の所ないにしても、マジでなにかがあっては遅いからだ。




 コンコン。





「フィーさーん。コーヒー持ってきたよ〜」


「おう、入れよ」



 先日のプリンのお陰か、完全に快復したカレリア。


 料理は超絶作るのは下手だが、茶とかを淹れるのは得意としている。


 執事やメイドもするが、屋敷にいながらも錬成する事しかやる事があまりないんで。


 たまにこうして、俺の茶なんかを淹れてくれる。



「お仕事順調?」


「そっちもだが……あ、そうじゃん。お前も姫様に用があったな?」


「え、あ!」



 忘れてた忘れてた。


 ほんの少し前の事なのに、俺も言い出しっぺだったが忘れてしまってた。


 カレリアの、料理矯正も兼ねて、姫様のとこで料理教室をするって事。



「いきなりになっちまうが、明日行ってみるか?」


「うん。私も明日なにもないし、行きたい!」


「んじゃ、魔法鳥だけ飛ばしとくか」



 そうと決まれば、すぐに便箋を取り出して用件と相手の名前を書き、飛ばそうとしたが。


 やはり、姫様の今の名前は偽名だからか、鳥になるどころか魔法が発動しなかった。



「あれー?」


「やっぱ、本名じゃねーから飛ばねえか?」



 なら、カイルの方に飛ばすべきか。


 用件をもう一度書いた紙に、カイル名前を記せば。


 今度はちゃんと発動して鳥の形になり、窓を開けてやれば夕闇が迫った空に向かって飛んでいく。



「……姫様に言うの、まだ当分先なんだよね?」


「うちのじい様らと決めたからな? 時期も悪くねーし、焦った方がよくない」


「そうだけど。カイルさんに言えないのが辛いなぁって」


「言えない?」


「姫様、カイルさんが好きなんだよ?」


「……あー、そうだったな」



 少し前に、マックスとエイマーの祝賀会後に風呂に入った時。


 まさか、まさかのの展開だったが。


 色々あって、それもすっかり忘れてた。


 忘れてた、でもう一つ思い出したことがあった。



「フィーさんも知ってたの?」


「マックスからな。あと、カイルも少なからず想ってるぞ」


「え、だったらなんですぐに!」


「今はわからんが、パーティーの時はまだ自覚が薄かったんだ。そこに、俺らがつけこんでもうまく行くと思うか?」


「あー、そうだね」


「それと、カーミィ」


「?」


「俺らが冒険者になるきっかけだった、姫様の事。あれ、王妃様もだがうちのじい様も関わってた」


「え?」



 まだこいつには全部話していなかったが。


 風邪の期間はともかく、今なら話せる。


 王妃様が、亡くなった直後に発動した技能(スキル)と、うちのじい様に姫様を託した事について。


 当然だが、カレリアはぐすぐすと泣き出した。



「そんな目ぇ腫らして泣くな」


「だって、だってぇ!」



 まあ、男の俺もだが、女のカレリアが聞いたらこうなるのは予想してた。けど、泣き過ぎ。


 ハンカチを渡してやっても、ぐすぐす泣くばかり。



「とりあえず、陛下もそん時にいたからじい様にお咎めはなしだ。俺らの任務も達成と言っていい」


「うん……うん!」



 風呂ん時に、リュシアの孤児院に全員で乗り込む提案はあったが。


 あれについては、また明日カイルに聞けばいい。


 もう解決した事とは言え、決定権についてはあいつにあるからだ。

明日も頑張ります!

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