ヨナターク子爵との邂逅
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夏のいい頃合いに、ヨナターク子爵家を訪れていた。戦後処理の話し合いの席に、準男爵家も出席する義務があるからな。その為の話し合いをしないといけなくなったのだ。だから、王都に行く訳なんだけど、寄親であるヨナターク子爵家を無視して王都に向かう訳にもいかない。ここからまずはデイローレル侯爵家に向かって、そこから王都に向かう手筈である。まあ、準男爵家はそもそも馬車を持っている家が少ないので、こう言った時には、寄親を頼らないといけないのである。……馬なら居るんだけど、馬車は無いからな。荷馬車はあるんだけど、貴族がそんなもので移動していたら、それこそ笑われる。馬車はヨナターク子爵家が準備してくれるので、それに乗り合わせて行くのだ。……因みに、ちゃんとした貴族用の馬車という訳ではない。最低限の幌馬車である。準男爵家はそういう扱いで良いんだよ。荷馬車じゃないだけマシだと思わないといけない。そんな格好の悪い事は出来ないからな。
念のために、兵士10名を引き連れて、何日かかけて歩いてきた訳なんだけど、ヨナターク子爵家の屋敷は、そこそこに大きかった。ケインズ子爵家の政庁も大きかったし、子爵家ともなると、大変なんだなとは思う。それくらいの格は必要な訳だ。ロッテルベル伯爵家の政庁も大きかったし、やっぱりそのくらいの大きさを維持できるくらいの税金を集められないといけないんだろうな。……なら、なおの事、魔族に仕事をさせればいいのになとは思うんだけど、そうも言っていられない理由があるんだろうとは思う。詳しい事は知らないけど、何かしらの苦労はあるんだろうとは思う訳だ。俺なんかが考えてもどうしようもない事があるんだろう。所詮は準男爵家の末席に居るだけの、木っ端貴族である。それなりの地位は貰っているとは言っても、それはあくまでも準男爵家としては、である。そもそもその程度の地位で、どうにか出来るだけの権力があると思う方がおかしいんだよ。何かしら、大きな力が働いているんだろうとは思う。魔族排斥派にしても、魔族救済派にしてもだ。大きな大きな力が働いているとは思うんだよ。もしかしたら、他国の影響かもしれない。……地形的には、1度負けているような気がするんだよな。西の国にも、東の国にも。海の方面をがっつりと削られているような格好になっている訳だし。
そんな事は良いとしても、まずは挨拶である。到着したのであれば、挨拶に行くのは当然の事だ。礼儀もしっかりとしていないといけない。オーテルージュ準男爵家の一員として、恥ずかしくない態度で挨拶をしなければならない。
「お久しぶりです。ヨナターク子爵様。コンラートです。この度は戦勝、おめでとうございます」
「気にしなくてもいい。とは言い切れないか。オーテルージュ準男爵には、戦場の兵の動かし方を指南してもらったからな。順調に勝てたのは、そちらの献策があっての事だ。そこからは、順当に勝利を重ねていった。こちらもお礼を言いたいほどだ。……そっちが報告に上がっていた、此度の戦争に向かった2人か」
「クルト=オーテルージュと言います」
「アーミン=オーテルージュと言います」
「……聞き間違えでは無いんだな。アーミンとやらは、お前か」
「そうでございます。ヨナターク子爵様」
「この様な子供が、今回の戦争の大手柄持ちとはなあ。異才も良い所ではある。あれだけの視野だ。さぞかし、内政にも軍事にも明るいのであろうな」
「それがアーミンの面白い所でありまして。内政の手腕は見事なのですが、軍事に関して、指揮はさっぱりなのです。指揮をしていたのは、クルトの方でして。アーミン曰く、戦場の機微は解らないそうなのです」
「何とも……。大局は見据えられても、小さな戦場では発揮できないとはな。それを補佐したのがクルトであると。そう言う事か」
「軍事関連に強い能力を持っておりまして。魔族についても偏見などがありませんでしたので、ビューヘルム準男爵家から引き抜きました」
「なるほど。クルトとやら、軍事に明るいと言う事だが、魔族をどう使う?」
「魔族は、基本的に何処かに特化した種族です。何かが突出しているのであれば、兵としては使いやすく。人間は、考えることに突出している魔族という考え方でおります。……もっとも、考えることに突出していると聞いたのは、アーミンからですが」
「ほう。人間も魔族とは。それは面白い考え方だ。それで? アーミンとやら。人間は考える魔族というらしいが、根拠はあるのか?」
「特に根拠というものはありませんが、人間だけが突出していないのはおかしいと思いまして。人間も魔族も、同じ人ではありますから、人間も何かに特化していなくてはおかしいのではないかと考えました。人間は得意不得意が種族的には無いと言う事でしたが、他の種族よりも、考えることに特化していて、その為に、ある程度の不得意を打ち消せるのではないかと思った次第です。戦略についても、初めは長寿種に任せた方が、色々と融通が利くようになるのではないかと思ったのですが、どうにも長寿な種族でも、考えることは得意ではないとの結論に達しまして。逆説的に考えるのであれば、人間が考えるのが得意なのだと。そう言う事に特化した種族なのだと思うようになりました」
「なるほどな。色々と考えてみた結果、人間もまた魔族だと」
「というよりも、魔族と人間の違いが無いと言いますか。魔族も人間であり、人間もまた魔族なのだと思うようになりました。であれば、特化したことに従事すればいいだけの事。人間は考えることが得意な魔族であるのであれば、統治や戦略に関わらせる方が有意義であると考える次第でございます。魔族も人間も、同じ人であることには変わりがありませんので」
「なるほどな。……面白い考え方ではある。だが、あまり口外はしない方が良いだろう。魔族救済派にもだな。魔族救済派の中には、人間が優位だからこそ、救済の必要があると考えているものも居るのでな。儂はいいが、他の者には言わんほうが良いだろう」
「それは、魔族救済派の方も、一枚岩ではないと言う事でしょうか?」
「悲しいながら、そう言う事になるな。魔族救済派の根源は、何か知っておるか?」
「……東の大国との戦争で破れたのちに入ってきた思想なのではないかと類推したことはありますが、それが正解なのかどうかは知りません」
「流石だな。それで正しい。東の大国は、魔族救済派の中でも、人間の方が優れているために、魔族を救済しなければならないという使命感を持った国だ。その戦争で負けた後にそれらの思想が入って来た訳だ。……同時期に、魔族排斥派の思想を持つ、西の大国にも負けていてな。故に、西側に魔族排斥派が多かったのだ」
やっぱりか。まあ、そんな事だろうとは思っていたが、魔族排斥派を排除しすぎるのも、問題が大きくなる奴だな。下手をすると、西の大国から攻め込まれる口実になってしまう。それだと、戦略上問題が出てくる訳で。……それを回避したければ、南に国を伸ばしていくしか方法がない訳なんだが、南は未開地であると。そう言う事なんだよな。まあ、そこまで南側も広くはないとは思う。北の海岸線までが近いからな。ある程度の所までで終わっている筈なんだよな。南側に国があるかどうかは未知数だ。行ってみない事には解らない。未知がまだまだあるんだよ。こんな所で躓いては居られないんだけどな。中々に厳しいものがあるって事なんだよ。




