出陣の時
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冬の17日。昨日、ヨナターク子爵家から、徴兵の指示があった。内戦が開始される。何処も彼処も戦争だ。戦争だらけだ。それに、俺たちは遂に参戦する。魔族救済派の指示出しは、これでお役御免だ。今日からは、兵を束ねる将として、戦場を駆けなければならない。戦場を駆ける友を、選抜しなければならない。そして、オーテルージュ準男爵家が興って初めての、徴兵が始まった。
まずは志願してもらう。そこから、出来るだけ老兵を選ぶ。若い者に先立たせるわけにはいかない。老兵の死に場所が、今回の戦場なんだ。だから、出来るだけ慎重に選ぶ。……志願者は1000人以上。狩人以外からも出てきている。だが、狩人以外を選ぶつもりはない。だから、200人くらいは、初めから選外である。
そして、若い順番に200人を弾き、600人に調整した。それで戦力はバッチリだ。これから戦争が始まる。殺したり、殺されたりする、戦争が始まる。平和に暮らしているだけでは、駄目だと言わんばかりに、戦争が始まる。しかも、同じ国内でだ。国外ならまだいいかもしれない。主義主張が違うのだから、ぶつかるのは当然の事だ。だが、国内で主義主張が分かれているのだから、始末に負えない。なんで同じ国の中同士で、戦争なんてしなければいけないのか。なんで同じ国なのに、主義主張が違うのか。それは解らない。だが、同時に、解ることもある。それは、互いに相容れないと言う事だ。だから人は争うのだ。自分が正しいと信じて。
目前には、600人の兵士たちがいる。この戦争で、この内戦で、命を落としても構わないと、志願してくれた人たちがいる。俺は、その人たちの名前を知らない。全てに目を通したつもりだ。だが、1人1人の顔なんて知らないし、区別がつかない人たちもいる。でも、それでも、この領地で一緒に暮らしてきた人たちである。誰にも、誰1人として欠けて欲しくないと願っている。名前と顔が一致しなくても、生きて欲しいと願う事だってあるだろう。俺は、皆には死んでほしくないと思っている。
「皆、集まって貰ってありがとう。ここにいる戦力で、まずはビューヘルム準男爵家を落とす。半分は俺と、もう半分はコンラートと共にする。そこで、ビューヘルム準男爵家を落とした後、君たちの故郷である、ケインズ子爵家の領地に入る。そして、そこを落とす。君たちの故郷を、君たちの手で開放するんだ。……当然だが、皆が無事で故郷を見ることは敵わないだろう。何故なら、立ち向かってくる敵が居るから。故郷に足を踏み入れられない者たちも出てくるだろう。何故なら、それを邪魔しに来る人たちが居るから。君たちの故郷は、どんなところだっただろうか。思いだして欲しい。数年前の記憶だ。遠い昔に感じるかもしれない。だが、はっきりと頭の中に残っているだろう。こんな理不尽な領地を残しておいてはいけない。魔族というだけで、排斥される様な土地を、残しておいてはいけない。だから、消してしまおう。君たちと、俺の手で。そこに居座る貴族を排除してしまおう。殺しては駄目だ。生きたまま捕まえよ。殺してしまいたいかもしれない。そうすればスッキリとするかもしれない。けれど、駄目だ。何故なら、そこで終わりじゃないからだ。ケインズ子爵家は魔族排斥派だ。だが、ケインズ子爵家だけが悪い訳ではない。まだまだ魔族を悪だと排斥する輩は居るのだ。だから、君たちの力が必要だ。君たちの武力が必要だ。君たちの思いが必要だ。目標は、魔族が魔族として、明るく生活できる未来だ。その為に、君たちには命を賭してもらう。当然だが、俺も全力で賭ける。こんな所で逃げる訳にはいかないからだ」
まあ、半分は詭弁だ。半分はな。そうじゃないとやっていられない。誰かが死ぬのなんて、許容できない。してはいけない。皆でここに帰って来たい。そう、思うんだけど、それは敵わないから。戦場に絶対なんて無い。1対1なら勝てるだろう。なら2対1なら? 3対1になったらどうなるのか。それ以上になったらどうするのか。1人でもあの世に連れていってもらう必要がある。1人で行くのは許さない。最低でも、道中を一緒にする者は連れていってもらう。死力を尽くしてでも、無理やりにでも、何としてでも、手段を択ばず、誰かを連れていってもらう。それは、苦痛でしかないだろう。だが、やり遂げて貰わなければ困る。誰が? 後に残る者がだ。後に続く者たちも、同じように自分の友を見つけて貰う事になる。
「だから、前だけ見て進め。後ろを振り返るな。俺たちは、前だけ向いて進めばいい。俺たちが道を作るのだ。どんな道でも構わない。整備は後についてきてくれる人たちがやってくれる。だから、俺たちは、前だけ見て進むのだ。それが、明るい未来に繋がると信じて。前だけ見ていればいい。横には友がいる。ただ、後ろを振り向くな。まっすぐ前だけ見て進め。後の事は、後からついてくる者たちに任せればいい。そして、見届けてくれ。仲間が作った道を。同志が作ってくれた道を。そして、誇りに思え。自分たちが先導して作った道だと。作った道が、暗い夜道では恰好がつかないだろう? だから、大きな道となる様に、まっすぐ前だけ見て進んでくれ。君たちの炎が、その道を明るく照らすように。後世まで残る様に。その道を進んでくれ」
簡単に言えば、死んでくれ。そういう言葉である。どれだけ綺麗事を並べ立てても、結局は、俺は、皆を死地に連れていこうとしている。それでなければ、切り開けない道があるから。輝かしい未来のために、俺には死んでくれとしか頼むことしか出来ない。どれだけ言葉を尽くしても、その人たちには家族がいる。そんな事は解っているというのにな。だから、責めてもの償いだ。俺もその死地には赴こう。皆の死を、無駄にはしない。必ず皆の命を無駄にはしない。何が何でも活かして見せる。だから、俺を信じて前へと向かってくれ。出来るだけ前へ。
「100年後、1000年後、語り継がれる未来の為に、前へ進め。歩みを止めるな。前だけ見て進め。それが、俺たちの使命だ。ここで死力を尽くせ。どんなことがあっても前に進め。方向は俺が示してやる。だから、迷わず前に進め。どんな敵が居ようとも、どんな障壁があろうとも、それを壊して進め。まっすぐ前だけ見て進め。次から次へとやってくる苦難を乗り越え、屍を乗り越え、前へと進もう。その先にある未来のために。全ての責任は俺がとる。だから迷わず突き進め。目指すはアタライ村、ビューヘルム準男爵家。まずはそこを落とす。前へ進め。進軍せよ!」
「「「「「おおおおおお!!!!」」」」」
まあ、上出来なんじゃないか。最低限の事は出来たんじゃないか。全責任は俺がとる、か。覚悟を決めないといけないってのに、中々決まらないものだな。……流されて行くだけでは駄目だ。ここからは、覚悟を決めていかないといけない。前だけ見て進む連中が居るんだ。その行く先を、見届けなければならない。愚直に進んでくれる戦士たちが、作ってくれた道を進まなければならない。その道を良いものにしよう。明るい未来に繋がる様にしよう。さあ、俺よ。覚悟を決めろ。そうじゃなければ見過ごすぞ。良いのか? 見過ごしても。良いのか? 見落としても。良い訳がないだろう。全てを見届ける。指示だけしか出来ない俺だって、見届けるくらいはやってやる。覚悟を決めろよ。情けない顔を、クルトに見せるんじゃない。覚悟、完了。




