レイミール商会が来た
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夏の28日。レイミール商会のダンレムさんがやってきた。通常規模の商隊でやってきている。まあ、当然ではあるんだけどな。大きくすれば問題があるから。それで、いつも通り情報収集をしながら、商売をやっていく。今回はまた移民を寄こしてもらうので、それの調整も兼ねている。1200人規模の移民を受け入れるんだからな。まあまあの多さになるんだけど、その次が問題なんだ。3200人規模の難民を受け入れないといけないからな。
「なんとまあ。そこまで大規模にやりますか。急いでいるのは解りますが、それだけ集めようと思うと、大変になりますな。1度で送った方がいいですか?」
「いや、冬の間でなら問題にはならない。春になると、問題が出てくるだろうから、出来れば冬の間にやっておきたいんだ」
「まあ、春には内戦がこっちにも来るでしょうし、仕方がない所ではありますが。どうしても始まってしまうでしょうからね。そうなると、移民を受け入れることも難しくなってくる。今の内が一番ですか。解りました。ですが、2回に分けさせて貰いましょうかね。基本的にはケインズ子爵家から移民を引っ張ってくるので、内戦が始まると、どうしても無理になりますし。今のうちに集めるのはいい方法でもありますしね」
「無茶を言って申し訳ないんですが、よろしくお願いします。なるべく数は用意しておきたいんですよね。そこそこの規模がないといけないでしょうし」
「何とかしましょう。ですが、内戦の準備は出来ていますかね? 色々と物資が必要になるとは思いますが、足りているでしょうか?」
「そうですね。鉄も今ある分で何とかなりますので、物資は大丈夫だと思います。兵糧もありますし、問題にはならないはずですね」
「……今までの鉄の量だと、全身鎧は作らない形ですか。そうなると、防御に難がありますが、本当に大丈夫ですか?」
「そこまで全身鎧が必要ですか?」
「……難しい所なんですが、やはり、守らなくてもいい部分が出来るというのは大きい事でして。特に飛び道具に強くなりますからな。弓矢が効かないっていうのは大きいですよ。まあ、油断していたら、関節部分に攻撃が当たって痛い目を見るのですが」
「うーん。やっぱり必要ないかなとは思いますね。遠距離で攻撃される前に、近づいてしまえば問題無いんでしょうし。それよりも、一気に叩き潰すことを考えた方がいいのかもしれないですよね。出来れば、新しい貴族家として、オーテルージュ準男爵家として、戦果が欲しい所ではありますから。特に、アーミンに戦績を付けてやるのがメインになりますからね。僕の方は、参戦したら、自動的についてきますけど、アーミンに関しては、活躍しないとつかないですからね」
「まあ、それはそうでしょう。ですが、ケインズ子爵家も中々の軍隊をお持ちですよ? こちら側の戦力が、どれ程なのかは知りませんが、簡単にはいかないでしょう。それこそ、アーミン殿が討ち取られる可能性すらあります。リスクを承知で攻めると言う事でいいのですか?」
「リスクは承知です。ですが、攻めないと功績にならないのですから、何とかしないといけません。タダで終わる訳にはいかないので」
「それはそうなのですが……」
「心配には及びません。幸いにも、レイミール商会のお陰で、魔法を習得しましたので。足手まといにはならない予定です。必要であれば、大魔法で薙ぎ払う準備も出来ています」
「そういえば、魔法使いの冒険者を寄こしましたな。無事に魔法の習得は叶ったようで何よりです。ですが、戦況を変えるだけの魔法は、中々に貴重なものですよ? それが使えると言う事ですかな? 使えなければ、簡単にやられてしまうのが魔法兵の悪い所です。魔法使いは時間をかけて育てるのはいいのですが、時間をかけても、魔力量が多いか少ないかは解りませんからな。こればかりは何とも言えないのですよ。無理に魔法で倒す必要は無いですからね」
「魔法に関しては、ある程度の自信はあります。その、魔力量は多かったようなので」
「おお、それは羨ましいですね。それでは、後方待機ではなく、最前線に出られると言う事ですか? それもまた危険な事ではありますが」
「危険なのは仕方がないですが、何とか守り抜きます。自分の命くらいは守れないといけないですからね」
「それならば、何とかなるかもしれないですね」
まあ、そんな感じで当たり障りのない事を話していて、とりあえず、話はそこで終了。買うものも買ったし、それで良いとは思うんだよな。……まあ、色々と問題は出てくるものではあるんだけど。
そして、今回は俺も密談をしにやってきた。聞きたいこともあるしな。多分だけど、アタライ村の状況がどうなっているのかは、教えて貰えるだろうとは思う。
「こうしてアーミン殿がやってくるのは初めてですな。他の方々は早い内からやって来ては居たのですが」
「そうですね。自分では気が付かなかったので。ですけど、聞きたいことが出来たんですよね。それを聞ける場だとはおもっているんですが、いいんですかね?」
「話せる事であれば、ですが」
「話せるとは思いますよ。まずは、アタライ村の事なんですが、ビューヘルム準男爵は帰ってきていましたか?」
「ああ、王都に行っているのでしたね。まだ帰ってきておりませんよ。帰ってきたら、厄介なことになりそうですな」
「そうなんですよね。面倒な事になるとは思います。それじゃあ、フォーク村についてなんですが、小麦を卸す量が増えたと思うんですけど、何か知っていることはありませんかね?」
「……フォーク村は悲惨なものです。食事は白パンを食べるように強要されたせいで、朝のパンが食べられなくなったとは聞いております。どうしても収穫量は少ないですからね。朝は野菜だけの生活をしていたようですよ? 今もしているんでしょうけど」
「ああ、やっぱり何かおかしいなとは思っていたんですが、食事量を減らしたんですか。流石に無茶な事をやりますね。まあ、どうでもいいと言えば、どうでもいいんですが。どちらにしても滅ぼすんですしね」
「そうなるでしょうからね。仕方が無いでしょう。ビューヘルム準男爵家には、潰れて貰った方が有難いのでね。これで、まともに商売が出来るようになりますし」
「ですよね。商売にはどのくらいの頻度で来れるようになるんですか?」
「そうですね。ここだと、季節に3回は来れるようになりますね。大規模な商隊を用意しようとは思っていますよ。勿論ですが、内戦が終わってからを予定していますけどね」
「それじゃあ、高級品は船便を使って、それ以外のものに関しては商隊で、と言う事になるんですかね?」
「そう言う事ですね。ああ、麦も買いますよ。内戦で農村が荒れるでしょうからね。収穫物が減ることが予想されるので、麦の買い取りもしたいと思います。流石に船便では利益が出ませんが、陸路なら利益は十分に出ますので」
「そうなんですね。麦の買い取りは有難いですね。収穫量が一気に増える見込みなので、どんどんと売りたいとは思っていたんですよ」
「高くは買えませんが、しっかりと買い取りをさせてもらいますので」
それは有難い。麦は今のままだと溢れるんだよなあ。それを少しでも買い取ってもらえるのであれば、買い取ってもらいたい。内戦で農村は荒れるんだろうしな。基本的には町を攻めるんだけど、町には農村がくっ付いている。そこも戦地になるんだろうから、農作物については、どんどんと減っていくことになるんだろうな。




