ドルト村でお話
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春の12日。貿易船がやってきた。それに今回はコンラートが乗っていく。そこでヨナターク子爵と合流して、王城でデイローレル侯爵と合流。そして、グロドツギの森の開拓を成果に、準男爵位を貰ってくるのである。それには時間がかかる。往復で40日程度必要になる。しかも、王城で何日か待つことにもなるんだ。帰ってくるのは、早くても春の55日くらいである。もう少し遅くなる可能性も十分にあった。
「じゃあ、後はよろしく頼むよ。全権はカタリーナ姉さんに預けるからね」
「ええ、任せておきなさい」
「コンラート兄さん、行ってらっしゃい」
コンラートは、この日のために設えた貴族らしい服装をして、船で王都へと向かっていった。これで良し。まずは第2段階が終わった。今のうちに、纏めておかないといけないことは、ある程度しておかなければならない。内政はカタリーナがやってくれるんだから、俺は俺で動かなければならない。
「それじゃあ、カタリーナ姉さん。手筈通りに行きますね」
「ええ、くれぐれも悟られないように。まあ、悟られても問題無いのですけどね。既にクルト兄さんの心は、ビューヘルム準男爵家から離れていますし」
「そうでしょうね。では、明日にでも訪問してきます」
そうして春の13日。朝食を食べてから、ドルトへと向かった。勿論だが、クルトの引き抜きである。まあ、まだ謀反してもらっては困るんだけどな。でも、その時になったら、味方をしてもらわないといけない。冷静な判断が出来るクルトなら、こっちに乗り換えてくれると思うんだよ。多分だけどな。まあ、乗り換えてくれなければ、それまでだったと言う事である。その時は、滅んでもらうしかないだろうな。人材としては勿体ないとは思うんだけど。
「こんにちは。クルト兄さんは居ますか?」
「はっ。クルト様の弟様ですか。お繋ぎしますので、お名前を教えていただければ」
「アーミンです。クルト兄さん、出来れば、ハインツ兄さんも居てくれると助かります」
「解りました。少々お待ち下さい」
兵士の教育がしっかりとされている。流石に兵士の質でものを言ったわけだ。これだけの練度の差があるんだもんな。多分だけど、訓練と巡回と警備をローテーションしているんだろうな。それくらいの事はやっているだろうとは感じた。
まあ、それでもこっちの兵士の方が強いんだが。当然ではあるが、普通に戦ったらどうなるのかは解らない。勝負に負けることはある可能性はあると思う。だが、魔法を使えば別だ。こっちは魔法が使えるというアドバンテージがあるからな。それを考えれば、戦力差はあって当然。寧ろ、魔法を使っているのに、負けてどうするんだって感じはするんだけどな。
「お待たせしました。こちらへどうぞ」
「では待機だ。行って来る」
兵士を待機させて連れていってもらう。兵士とのんびりと話していてくれれば良いなとは思うが、向こうの兵士が真面目だったからな。どうなるのかは未知数だった。出来るだけ失礼のないようにとは言い聞かせているが、もしかしたら手合わせ位はしているかもしれないな。
「失礼します! アーミン様をお連れしました!」
「通せ」
「失礼します。それでは、任務に戻ります」
「ご苦労だった。……この間ぶりだな。まさかそちらの方から訪問があるとは思わなかった。……オスカー兄さんの方から、何かあるんじゃないかと警戒していたからな」
「ああ、それで結構張り詰めた空気をしていたんですか。ビューヘルム準男爵家からは、特に何もない感じですかね?」
「流石に空気で解るか。……オスカー兄さんなら解らないんだろうな。あれでは、兵士もついてこない。何かあった時に不都合が生じてしまう」
「失礼します! ハインツ様をお連れしました!」
「通せ」
「失礼します。それでは、任務に戻ります」
「ご苦労だった。……ハインツも呼んだのか?」
「ええ、まあ。話は聞いておいた方が良いとは思いまして」
「ふむ? まあいい。ハインツ、こっちに座れ」
「解りました。クルト兄さん」
「さて、役者が揃いましたね。さあ、何処から話すべきでしょうか?」
「とりあえず、話の先が見えん。コンラートが来るならともかく、アーミンだからな。何の話なのかがさっぱりと解らん」
「まあ、そうでしょうね。簡単に推測されても困りますので。いや、話が早くて助かるのかな? とりあえず、この間の事です。準男爵の件ですね」
「ああ、それか……。正直なところ、何故にオスカー兄さんが選ばれたのかが解らない。それなら、まだウルリケの方がマシだ。生産全てを小麦に回しても、麦の不足が起きていないというのであれば、内政手腕はウルリケの方がマシだ。ただ、ウルリケでは、軍備がどうなるのかが未知数だ。それならば、俺が準男爵になって、この領地を治めた方が、まだ良かったとは思う。本音では、コンラートが準男爵に選ばれるべきだったとは思うが。あの移民をちゃんと受け入れているのだろう? それであれば、どの村よりも大きくなる。どうやってそれを成しているのかは解らないが、内政の手腕であれば、コンラートが一番だろう。コンラートこそ、準男爵になるべきだった」
「しかし、コンラート兄さんは、特に異議も無かったようですけど……」
「ああ、それは俺も思っていた。コンラートが一番内政が進んでいると思っていたからな。それなのに、あの場で異議を申し出なかったのは何故なのか。それを不思議に思っていた。何故か知っているのか?」
「あの場で、オスカー兄さんが選ばれることを知っていたからですね。この2年間、何のために俺たちに村の統治をさせていたのかの真相を知っていれば、自ずと答えが出るんですよ」
「ほう? であれば、これは全て出来レースだったと?」
「そう言う事になりますね」
「アーミン! それでは、クルト兄さんは……?」
「初めから選ぶつもりも無かったと言う事です。アタライ村を選んだものが次期当主となるための教育を受けさせる期間が2年間だったというだけなのですよ。ですので、オスカー兄さんが次期当主になることは、決まっていたんですよ」
「村を治めさせたのは、そのまま村を統治すればいいだけだったと、そう言う事か……」
「そんな……」
まあ、真相はそんな所なんだよな。結局は、アタライ村を領都として、他の村を統治する。それが出来れば良かったのだ。だから、オスカーがアタライ村を選んだ時点で、初めから決まっていた。それぞれの思いは無視してもいいと思っていたんだ。何もかも、初めからな。
そんな訳だから、あの場でコンラートや俺たちが、異議を申し立てることは無かった。ある程度の段階で、そうだろうなと見切りを付けていたからだ。そうやって思っていたから、異議も何もない。初めからそうだったと言う事で、そう言う事だと言う事にしていたのだ。まあ、だからこそ、大胆に動いたんだけどな。ヨナターク子爵家も巻き込んで。当主なんて初めから狙っていなかった。狙っていたのは、新しい家を興すこと。それが全てなんだよ。全てはその時のために準備をしていたのだ。だから、あの結果に不満も何も無い。ただ、その時が来たんだと言う事で受けいれたんだ。……この後の行動を知れば、受けいれたなんて微塵も思わないだろうけどな。単純に見限って、自分の家を興す方向に舵を切っただけである。既に行動には移しているのだよ。勿論だが、ビューヘルム準男爵家の誰も知らない。コンラートがカタリーナが俺が、既にビューヘルム準男爵家を離脱したなんてな。




