次期ビューヘルム準男爵
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春の10日。昨日は本家の方にやってきていた。夕方に到着して、久々に家族全員が集まっての食事だった。……本当に久々に質素な食事をしたと思う。野菜が少しだけ入ったスープに、硬すぎる黒パン。何もかもが久しぶりだった。食べた感じがまるでしない。味も悪いしで本気でこれが食事なのかと思いたくもなった。
そして、コンラートは1人で、俺はカタリーナと寝た。まあ、目を瞑っているだけで、起きては居たんだけど、夜に殺されるって事は無かったようで安心した。眠いのを我慢して、質素な朝ご飯を食べる。硬すぎる黒パンのせいで、一気に目が覚めてしまった。不味いから眠っていられないって感じになったんだろうとは思う。美味しかったら危なかったな。不味くて助かったとは思う。
朝食が終わって、父さんの部屋に集められた。ここで審判が下る。まあ、出来レースなのは解っているんだが、それでも、父さんがどうやって言い訳をするのかが解らない所ではあるんだよな。何処まで馬鹿を晒すのか。それが見物でもある。
「さて、2年間、村の運営をしてもらった。そこで準男爵に相応しい者が誰なのか、それを見極めてきたつもりだ。結論から言う。次代の準男爵は、オスカー。お前に決めた」
「納得いきませんわ!」
「父さん、俺も納得できない」
「ではまずウルリケから聞こうか。何が問題だというのだ?」
「アタライ村よりも、フォーク村の方が裕福だと言う事ですの。民は皆、望めば白パンを食べられていますし、私も毎日のように白パンを食べていました。それがフォーク村の実状ですわ。それ以下の、アタライ村が、どうして選ばれるのか。納得がいきませんわ」
ああ、ウルリケは生産をライ麦から小麦へと変えたのか。それで問題が起きていなければ、確かにまだウルリケの方がマシか。それで民が飢えているのであれば、オスカーに軍配が上がるんだろうが、民が飢えている訳でもなければ、塩も足りているとウルリケは主張している。……確かに、それだけ聞けば、まだウルリケの方がマシに見えてくる。何も現状の変化が無かったアタライ村と、小麦だけの生産に切り替えて、それでも村を回せたフォーク村。確かに筋は通っている。その方が良いだろう事は納得が出来る。
そして、その答えも、答えになっていなかった。父さんがウルリケの状況を見ているのかどうかは知らないが、まともな答えが返せていない。何というか、難癖を付けているだけのようにしか見えなかった。……この事から、父さんは他の村を碌に見ていないと言う事が裏付けられる。これは何も考えていなかったな? 俺が言えば、皆納得するだろうと高を括っていただけの馬鹿野郎だったという訳だ。それで納得できるはずがない。特にウルリケなんかは、自分の方が明確に上だと確信している様ではあった。
その後もすったもんだと議論を交わしたが、結果は変わらなかった。まあ、当然の事である。初めから出来レースだったんだからな。裏側を考えてみれば、その通りなんだよな。無駄に争う事は、面倒ごとを増やすだけなんだ。……ただ、ウルリケが爆発してくれて助かった。納得いかないとしても、オスカーがこっちを標的にする可能性もあったのだ。それがウルリケのお陰で、ヘイトが完全に向こうを向いた。これで安全に退散できる。
「それで、クルトも不満だと言っていたな。何が不満なのだ?」
「オスカー兄さんは軍備を疎かにしている。兵士の恰好を見たが、訓練されているものとは違った。はっきり言って、軍備を弱体化している。そんな事では、グロドツギの森の魔物にやられてしまう。それであれば、軍備を整えてきた俺の方がまだマシだ。……本当はコンラートに準男爵位を継がせるべきだとは思うがな。2年間で2度も、移民が来ていた。ドルト村を通り過ぎて、アマシエ村に向かっていった。つまりは、移民を受け入れているアマシエ村が、一番発展しているだろう。人口も多い。そうじゃないか? それであれば、選ばれるのはコンラートになる。それでも、魔族が人口に値しないとでも言うのであれば、軍備を疎かにしているオスカー兄さんよりも、俺の方が相応しい」
なるほどな。クルトはよく見ているな。兵士が使い物にならないなとは、俺も見て思っていた。あれなら楽に鎮圧できると思ったくらいだ。魔法があれば、微差かもしれない。けど、そんな事をしなくても勝てるんじゃないか。そう思えるくらいには、兵士に訓練をさせていなかったみたいなんだよ。
俺でも異常に感じたくらいには、兵士の練度がなっていなかった。勿論だが、アマシエ村にも兵士は居る。今の所、総勢30人である。人間が5人、魔族が25人だ。狩人から転職してもらった形だな。訓練は勿論の事、街道の管理や、治安維持も兵士の仕事だ。だから、兵士の練度が低いというのはあり得ないんだよ。クルトの言う事も解る。兵士が使い物にならないのであれば、魔物に蹂躙される恐れがある。そんな事はあってはならないんだよ。魔物の脅威は、常にある。それに備えなければならない。それが貴族の義務でもあるからな。それを怠っていたのであれば、確かに貴族失格だ。
これに対する父さんの反論も適当だった。簡単に丸め込めば良いだろうという意図が見え見えだった。ウルリケの方がまだマシ、クルトの方が余程マシ、そして、最後にコンラートが一番準男爵に相応しいと、クルトは言った。一番ふさわしくないオスカーを選ぶ理由はなんなんだと。それに対して、父さんがやったことは、怒鳴って排除すると言う事だった。各自、何処が悪かったのか反省し、それで村をしっかりと治めていろと。単にキレただけだった。そこには、理論も何もない。オスカーは、準男爵としての資質がまるでなかった。ウルリケの方がマシなレベルでは、話にもならない。ウルリケの方が、小麦を沢山生産できている点で、収入が勝っているはずだ。クルトの方が、軍備はしっかりとしている点で、防衛力が高いはずだ。コンラートの方が、全てで勝っている点で、圧倒的な差が出来ているはずだ。それをオスカーに叩きつけただけとなった。正直、オスカーが誇らしげにしているのが、一番意味不明ではあった。……なんでそんな事を誇れるのか。意味が解らない。
まあ、そう言う事で、本家を追い出されてしまった。各自、自分の村を治める事とされて、それで終いである。マジで無能を絵に描いたような感じではあった。……2年前は、そこまで見抜けなかったな。ここまでだとは思いもしなかった。
そして、街道を帰ってくるときに、クルトとハインツと一緒にドルトまで帰った。俺たちはドルト経由で帰ったのだ。行きはフォーク経由で行ったので、帰りは別の方向からと言う事にしていたんだ。初めから決まっていたんだけどな。こういう感じで終わるとは思っていたから。何かと父さんには不信感があったんだ。だから、無事には終わらないだろうという信頼があったんだ。まあ、あそこまで酷いとは思わなかったんだけどな。
クルトも、引き合いに出して済まなかったとは言っていたが、微塵も済まないとは思っていないんだろう。本気でコンラートが準男爵に相応しいと思ったんだろうな。2回の移民は、ドルトを通ったらしい。まあ、それだけの人口を抱えているのであれば、それだけ大きくなっているって事でもあるからな。その見方は正しい。それに、クルトが味方になりそうだってのも大きかった。ウルリケは流石に考えていなかったが、クルトなら、味方に引き入れてもいいと思ったんだよ。




