魔力を感じるまで
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秋の73日。魔法を覚えたいと貿易船に言ってから暫く。次の貿易船で、魔法使い含むパーティーが5人やってきた。……5人パーティーか。そうなると、1日金貨5枚か。まあまあの出費だな。痛いけど、頑張って覚えるしかない。覚えられれば、一気に戦力が増すんだ。覚えてしまって損はないとは思う。
「ありがとうございます。よくぞ来てくれました。歓迎します」
「いやー、そんなに歓迎されてもって感じなんだけどね。俺も魔法を教えるだけだし」
「いえ、それが重要な事なので、問題ないです。それと、仲間の人たちなんですけど、こっちの狩人に、冒険者の流儀みたいなのを教えてもらいたくてですね。それでもいいですか?」
「流儀か? まあ、そのくらいはいいけどよ。それで金貨1枚って高すぎやしねえか? って思ってきたんだが……」
「まあ、貴族の道楽と思っていただければなとは思います。魔法が使いたいんです」
「いいけどな。儲かるならよ」
「食うものも用意してくれるって言ってたけど、本当に大丈夫なんだよな?」
「勿論です。明日からの契約と言う事で、今日はこのまま泊っていってください。明日から、基本的な事から、順番に教えて貰えればなとは思います」
やる気だけは十分にある。やる気はあるんだけど、覚えられるのかどうかは別問題なんだよな。まあ、色々とあるんだろうとは思うけど、とりあえずはやってみない事には話にならない。実践してみて、どんな風に魔法を使うのか、それを身に着けないといけない。単純な事なのかもしれないけど、知らないと使えないからな。覚えたら簡単でしたって事は、往々にしてあるんだけど、知らなければ意味が無いんだよ。まずは使えるって事にしないといけない。
そんな訳で、次の日から訓練に入った。まずは、魔力を認識するところから始めるらしい。魔力がどのくらいあるのかとか、そういうのは、使ってみないと解らないそうだ。なので、まずは魔力をどうやって認識するのか、その訓練が始まった。
「魔力を認識するには、色んな方法がある。だが、これと言って正解はない。動き続けて認識した人も居れば、全く動かずに認識した人も居る。個人差があるんだ。俺はどちらかというと、動かない方で覚えてきた方だ。だから、同じ方法で覚えられるのか、それを試してみることにする」
「はい。お願いします」
「俺がやったのは、歩きながら、風を感じる事だ。魔力ってのは外にもあるんだ。それが体にぶつかることで、何とか認識出来た。だから、歩いてみて、魔力を感じて見てくれ。風が起きてないのに、風が吹いているみたいに感じれば大丈夫だ」
「はい? やってみますね?」
風が吹いていないのに、風を感じる? どう言う事だよ? まあ、何かしら解るかもしれないから、肌に神経を集中して、歩いてみる。……風は感じるよな。普通に。それとは別の何かを感じないといけないんだろう? 難しいなんてものじゃないな。何かコツは無いのかな?
「あの、何かコツとかは無いんですか? どういう状態になるというか……」
「ああ、感じれば解るんだよ。風じゃないのに、何かが当たっている気配がするからな。それが魔力だ。だから、とりあえず、神経を集中させて、何とか魔力を感じるところまでは頑張ってくれ」
「解りました。頑張ってみます」
とは言うが、歩けど歩けど、感じるのは風のみ。風じゃないものを感じろって方が難しい。魔法の習得は簡単じゃないって事なんだろうな。ひたすらに歩き続けたが、その日は駄目だった。
次の日も、その次の日も、ひたすら歩くだけ。集中して歩くだけ。ただ、冒険者の先生が言うには、才能があっても、習得には時間がかかるらしい。早くても3日。遅ければ1年くらいはかかるんだそうだ。……魔法ってもっと簡単に使えるんじゃないかなって思っていただけに、結構辛い。呪文を唱えれば、お手軽に発動できる物でも無いらしいのだ。まずは魔力を認識するところからか。修行っぽくていいと感じたのは、秘密だ。
来る日も来る日も歩き続けた。若干、合わないんじゃないかなとも思いつつ、ひたすら歩き続けた。何かが感じられればいいんだろうけど、何も感じない。どういった変化が起きるんだとか、そういうのが全く無いからな。どうやって魔法を使えば良いのか。魔力はどうやって感じれば良いのか。その掴みさえも解らない。何とか出来ればいいんだがな。魔法の習得はやっぱり厳しい所があるのかもしれない。
秋の80日。西側右岸の堤防が完成したらしい。それを見に行くときにも、風とは別のものを感じるように意識をしながら、歩いてみたんだけど、まだ駄目みたいなんだよな。どうやっても風しか感じない。他の方法も試した方がいいんじゃないかとは言ってみたんだが、試してみるのは、90日くらいは最低でも試さないといけないらしい。直ぐに見切りを付けるものではないらしいのだ。だからって、ただ歩いているだけでは勿体ないので、魔法の使い方についての話も聞いてみた。
何でも、魔法については、基本的には魔力が許す限り、イメージでどうにかなるんだそうだ。火をイメージすれば火を。水をイメージすれば水を得られるらしい。魔力操作が出来れば、魔法の行使は簡単に行えると言う事を聞いて、俄然やる気になった。苦しいのは今だけなんだ。だから、直ぐにでも魔力を感じられれば良い訳だな。そんな感じで気合を入れてみたのはいいんだけど、中々魔力を感じることは出来なかった。
そして、秋の90日。遂に温室が完成したらしい。と言う事で見に行きました。……今にも破れるんじゃないかって思いはしたが、何とか温室は完成していた。まあ、破れたら、その都度修理をしないといけない。面倒ではあるが、それは頑張ってほしい所ではある。
そして、魔道具を起動して、暖かい空間を作ることには成功した。後は、これで植物が騙せれば成功である。
「まあ、何とか形にはしたが、本当に成功するのか?」
「さあ? 解りませんね。それよりも、今は魔法の訓練の方が大切なので。何とか魔力を感じるように頑張っている所なんですよ」
「ああ、魔力を感じるなあ。俺も苦労したぜ。結局は180日くらいかかったんだったかな」
「あれ? 鍛冶屋の人は魔力を感じられるんですか?」
「魔道具を作るだろ? その関係でな。滅茶苦茶面倒だろ? 俺の時は、炉の前に座れって言われて覚えたからな。火で熱いんじゃないって言われたっけな。まあ、相当無茶だろうとは思ったが、何とかなるもんだ」
「ええ……。折角魔法の先生まで呼んだのに、ここに使える人が居たのか」
「俺は魔法は使えねえぞ? 魔道具を作るのには、魔力を感じないといけないから覚えただけだ。魔法は専門外だな」
「あれ? そうなんですか? 魔法はイメージだって教わったんですが?」
「あー……。まあ、魔道具を作るのもイメージみたいなもんが必要だが、あれが魔法なのか? 今一つ信じられないんだが。だってよ、魔法が出せるなら、火でも何でも簡単に出せるんだろう? それなら炉の点火が簡単になるじゃねえか」
「まあ、それは確かに。……本当に使えないんですよね?」
「使えんな。別の魔力なのかもしれねえな」
別の魔力か……。そんな感じはしないんだけどな。けど、魔道具が作れるのに、魔法は使えないんだな。そんな事あるのかね? 知らないだけで使えるんじゃないだろうか。詳しい事は知らないけど、魔道具師としても、魔法使いとしても、同じ魔力を使っていると思うんだよな。そこまでおかしな事ではないし、そうだと思うんだけど……。




