73話 いつまでも、幸せ
美影もいつの間にか高校生になった。時が過ぎるのは早いものだね。
そんな私も37歳になり、もう40が目の前に迫っている事実に愕然としている。
「いいよねブラッディは。見た目若いままだし」
「いつまでも美しく。吸血姫として当たり前のこと」
今日は私経営の歯医者はお休みで、輝夜ちゃんも午後からは休みになっている。
「ただいまです。あ、来てましたか、ブラッディ」
「お邪魔してます。毎度のことだけど」
ちなみに輝夜ちゃんもブラッディと負けず劣らず可愛いままだ。
あれ? もしかして私だけ老けた? ……そんなことはないと主張したい。
40を目前に控えた2人と、もはや何歳なのかもわからない吸血姫はテーブルを囲ってスイーツタイムにする。
「気をつけないとすぐ太るようになったよねー」
「美影の代謝が羨ましいですね」
「……美影、好きな人とかいるのかな」
そのブラッディの言葉に電流が走った。
美影ももう高校生。色恋話の1つや2つあっても不思議ではない。
美影はちゃんと輝夜ちゃんに似て美人に育った。それは私が保証する。だからどこでもモテるとは思うんだけど……。
「まぁそういう可能性もあるでしょう。私と灯だって高校生から強く意識をするようになりましたから」
「そうだよね〜。懐かしいな〜」
あの時はまさか結婚して、娘を持って、立派な一軒家に住むだなんて思ってもいなかった。
だから美影も将来につながるような出会いをしているかもしれない。
「ただいまー」
噂をすればなんとやら、本人の帰還だね。
「おかえりー。お菓子あるよー」
「あーい。もう、なんで先生って私のこと無理にイジろうとしてくるわけ? 意味わかんない」
美影から聞いたけど、美影の担任は私たちの担任でもあったあの先生みたい。
3者面談の時にまた会えるのが楽しみでもある。
「美影、好きな人とかいますか?」
輝夜ちゃんがオブラートにも包むことなくどストレートに質問した。途端に美影は固まってしまう。
「輝夜ママ何言ってるの? そ、そんなわけ……ないし」
「あー! その顔は恋する乙女の顔だー!」
「ち、違うって! 灯ママに何がわかるの?」
「私も恋する乙女でしたし。もちろん輝夜ちゃんにね」
「…………まぁ、気になっている人はいるけど?」
そう答えた瞬間、私も輝夜ちゃんもブラッディもニコ〜とした笑顔になった。
「3人とも何その顔! 意味わかんない! もう部屋行くから!」
そう言って美影は逃げるようにリビングから飛び出していった。
うんうん、学校でも楽しそうで何より。
もうここまでこれば美影のことも安心かな。
本当に、幸せな人生を送らせてもらっているよ。私。
次回、最終回です




