68話 真っ赤なお鍋
グツグツと音を立て、煮込まれる具材たち。
私と輝夜ちゃんの中心には、赤いスープを輝かせるお鍋が鎮座していた。冬といえば、鍋だよね〜。
結局選んだスープは醤油でも味噌でもなく、大人気鍋チェーン店の「紅から」スープにした。唐辛子で体の中からポカポカだね。
「1辛〜5辛まで調整できるみたい。どれくらいにする?」
「私は辛いのは強いですけど、灯はどうですか?」
「んー、ピリ辛くらいがいいかなぁ」
というわけで3辛にすることに。赤いスープは辛味スープを足したことによってさらに赤みを増していった。
コトコト煮込み、お野菜に火が通ったところで……
「いただきまーす」
「いただきます」
「あ! あれやりたい! 輝夜ちゃんのお椀によそってあげるやつ!」
「じゃあ私も、灯の分をよそいますね」
お互いのお椀に具材を入れていく。「紅から」さんの鍋にはうどんをメインとして入れてあるから、うどんとお肉、それからお野菜をよそってあげれば完ぺきだね。
「はい、どーぞ」
「灯も。どうぞ」
同じタイミングで差し出して、ふふっと笑ってしまう。これだけで胸はいっぱいだ。
白菜やもやしが絡み付いたうどんを箸で持ち上げ、口へ。一気に口に広がったのは唐辛子の辛さ! 3辛なのに十分すぎるくらいに辛い! でも美味しい!
ポカポカしてきてアウターを一枚脱いだ。輝夜ちゃんも同じ行動をしてて、また目があってふふっと笑う。
辛い辛いと言いながら、ものの15分ほどで完食してしまった。
「まだ辛ダレ残ってるけど、5辛のスープで飲んでみる?」
「そうですね、一口いただきます」
というわけで辛ダレを全部入れることに。深紅に染まった鍋。ブラッディの瞳みたいな色しているけど大丈夫かな……。
一口飲んだ輝夜ちゃんは満足そうにふぅ、と息を吐いた。
「どう? 美味しい?」
「はい。これくらい刺激があってもいいですね」
「わ、私も飲んでみる! ……辛ぁ!?」
レベルが違いすぎる辛さ! どうしよどうしよ! めっちゃ口の中が痛い!
「はぁ、しょうがないですね」
そう言って輝夜ちゃんは私の唇を奪った。……ほへ?
「甘いキスなら辛味を忘れられませんか?」
確かに少し、甘辛く変化したような気がします。




