58話 ブラッディのアルバイト研修
「じゃあ灯ちゃん、ブラッディさんに品出し、教えてあげて。簡単な乾物だけでいいから」
「はーい」
店長の頼みとあっては仕方ないね。ここはアルバイトの先輩として、しっかり研修中の子にモノを教えてあげないと!
「じゃあまずポテトチップスから品出しね。人気商品だからすぐ売れる。だからこまめに品出しするのが大事なの」
「……なるほど」
奥が深いとつぶやいてブラッディはポテトチップスを一袋持った。
……で、そのままポテトチップスのコーナーの最前列にポンと陳列した。
「はいブラッディアウト! 灯ポイントマイナス1」
「……? なぜアウト?」
「それは自分で考えてみましょう」
うん、人にモノを教えるってこういうことなんだね。教わるのは苦手だけど教えるのは案外得意だったりするかも! まぁお勉強を教えるのは無理だけど……。
「まったくもって分からない。なぜ?」
「パッケージに賞味期限って書いてあるでしょ? それがヒントかな」
「賞味期限……食べられる期限ということ?」
「う〜ん……まぁそういう認識でいいや」
ブラッディは血以外口にしないもんね。パッと頭に浮かんでこないよね。
「それと私の品出しに何が関係するの?」
「ブラッディが新しいポテトチップスを1番先頭に置いたら後ろの方のポテトチップスはどんどん賞味期限が迫ってきちゃうし、場合によっては過ぎちゃうでしょ? そういうものを売ったらダメだし、もったいないからね。だからこうして、こう!」
私は奥に残っているポテトチップスを手で前列に持ってくる。持ってきたカゴの中にいったん入れて、新しいポテトチップスを奥へと陳列。そしてカゴの中に入れておいた古いポテトチップスで先頭を埋めた。
「……なるほど、これで賞味期限が近いものから売れていくと」
「まぁ中にはわざわざ奥から持っていくお客さんもいるけどね。ブラッディはゴールデンウィークの短期だけだよね?」
「うん」
「じゃあレジ打ちは教えなくていいんだ」
もう少しいっぱい教えたかったかも。
品出しもこれ以上教えることないしね。
こうしてブラッディはテキパキと働き、やっぱり有能さんでおばちゃんからも頼りにされ、美人だからとお客さんにも人気で、なんか私の株を根こそぎ奪い取って短期のアルバイト期間を終えたのでした。




