56話 紹介とグラタン
桜に『お昼は食堂に集まること! 近衛ちゃんも呼んでね』とだけ送っておいた。
2時間目の英語のクラス分け授業はガイダンスだけですぐに終わってしまった。
隣の席のユウが目を光らせる。
「……灯、これいけるんちゃう?」
「うん……いける気がする!」
というわけで全力で食堂へダッシュした。なぜならアレがあるから! すぐに授業が終わった今しかチャンスはない!
気がつけば朝から走っている気がするけど今はそんなことを気にしている場合じゃない!
全速力で食堂について、おばちゃんに注文を告げる。
「ぐ、グラタンありますかっ!?」
「はーい。ラス1ありますよ」
な、なんとついに一星大学のグラタンを食べる機会がやってきたようです!
「今から最終行程だから15分くらいかかるけどいいかい?」
「はい! 全然待てます!」
なんなら輝夜ちゃんや桜たちとも食べる時間を合わせられるから都合がいいね♪
というわけで待つこと10分ほど。ブラッディが食堂にやってきた。
「……灯、そわそわしてる?」
「うん! あの名物のグラタンを食べられるんだよ!」
「へぇ……」
関心薄いな〜。まぁ人間の食べ物食べないもんね。仕方ないか。
次に輝夜ちゃんと鋏が来て、最後に桜と近衛が食堂に入ってきた。
私の周りに6人。私含めて7人か。結構な大所帯になったものだね。
「あっ、グラタンできた!」
呼び出しアラームが鳴ったからグラタンを取りに行く。う〜〜ん、いい匂い! 早く食べたい!
「グラタンいいですね。私もいつか食べたいです」
「そんな! いつかじゃなくて『あ〜ん』であげるよ?」
「そ、外でそういうことは恥ずかしいので……」
恥ずかしがり屋さんだな〜。
あ、グラタンに浮かれてて当初の目的を忘れるところだった!
「ユウ、鋏! このピンクの子が私の妹の桜です。で、このポニーテールの子が友達の近衛ちゃん。可愛がってあげてね」
「もちろん! よろしくな、桜ちゃん、近衛ちゃん」
「よろしく……なんかどこかで見たような……」
さて紹介を終えたところで私はお食事を。ユウ&鋏、桜&近衛ちゃんは上手く話せているみたいだしね。
「んっ! 美味しい!」
流石にお母さんのグラタンには劣るけど、人生で食べたグラタンの中で2番目に美味しい!
また食べたいな〜。卒業までにあと何回食べられることやら。
ふいに脳に沸いた卒業、という単語にほんのりとしんみりとする2年生初日の森野灯でした。




