54話 いらっしゃい
ブロロロロ……という排気音が百合園荘に響いている。
時は3月下旬。もうすぐ2年生が始まるな〜なんて思っている頃、百合園荘に大型トラックがやって来ました。
「輝夜ちゃん、出迎え行こっ!」
「はい!」
百合園荘2階の私たちの部屋を出て、トラックへと駆け寄る。ゆっくりトラックの助手席から出てきたのは桜色の髪をした美少女だった。
「……なに? わざわざ駆けつけてきたの?」
ツンとした印象を与える少女は森野桜。私の可愛い可愛い妹です。
「うん! 桜と近衛ちゃんの引っ越し祝いにね!」
「これから同じ百合園荘の仲ですからね。よろしくお願いします」
輝夜ちゃんは桜に深々と頭を下げる。
「や、やめてください輝夜さん!」
そんなやり取りをしている間にもう一台トラックがやってきた。その助手席には群青ポニーテールの美少女が座っている。
「桜! それに輝夜さんと灯さんまで!」
「おはよ近衛ちゃん。今日から同じ百合園荘の仲間だね」
そう、なんと桜と近衛ちゃんも一星大学に見事合格し、百合園荘に住むことになったのです。
「いんや〜来たね来たねぇ。後輩ちゃんが」
「守屋さん!」
なんか守屋さんに会うの久しぶりな気がする。たぶん気のせいだけど。
収入が増えるからだろうけど、守屋さんは満足げな表情。
「それにしても後輩ちゃんたち4階で良かったの?」
「はい。お姉ちゃんと一階差だと音とか気になっちゃいますし」
うぐ……桜め、さらっと毒吐いてきた……。
「お荷物運びますね〜」
「「は〜い」」
桜と近衛ちゃんの荷物が百合園荘4階に運び出されていく。今は邪魔したくないしな〜……そうだ!
「じゃあ荷物運んでもらうまで2階の私たちの部屋で休んでく? トラック移動、ちょっと疲れたでしょ?」
「そうだね。そうさせてもらおうかな」
というわけで私たちの部屋へ! といってもこの前来たばっかりだしね、新鮮味ないよね。
「桜、お母さんいなくて大丈夫なの?」
「お姉ちゃんが生活できているなら大丈夫でしょ」
うぐ……この子と口喧嘩しても勝てないや。やめとこ。
「2人ともお料理とかは大丈夫ですか? 私は灯に支えられてばっかりなので少し心配です」
「近衛が和食ならなんでも作れるって言ってました。だよね?」
「わ、和食は母上に仕込まれました。でもそんなに期待されると重圧でござる……」
へー、和食か〜。私がお母さんに仕込まれたのはほぼほぼ洋食だから全然違った料理になりそうだね。今度お裾分けしよう。見返り目当てで。
桜たちが引っ越してきて新学期が始まるんだな〜って実感する。
ユウや鋏とは春休みなんだかんだ会えなかったし、久しぶりに会いたいなぁ。うん、やっぱり2年生、楽しみかも!
これから始まる1年に胸を躍らせるのでした。




