49話 透過とリア充系
さて輝夜ちゃんを乗せた電車はもったりと星乃川駅へ向かって走っている。
ブラッディの飛翔速度に慣れちゃうとかなり遅く思えちゃうね。
「ていうかブラッディ、こんな低空飛行して大丈夫? 誰かに見られたら……」
「私もまだまだ成長期。これぞ新魔法、『透明』。もう誰かに見つかったりはしない」
ブラッディに抱えられているから表情は見えないけど、きっとドヤ顔だ。ここは素直に吸血姫さんを称えて拍手を送ろう。
ようやく景色も街になってきて、星乃川駅に到着した。駅は箱状になっているから輝夜ちゃんがどこにいるのかわからない!
「灯、心配は無用。『透明』は応用も効く。……そう、透視もできる」
「流石ブラッディ!」
ブラッディが手を伸ばして指で円を描くと、星乃川駅の中が丸裸になった。
「ブラッディ、もうちょっと透明にできない? 具体的には服を透化させるとか……」
「コンプライアンス的にNG」
「ケチー」
吸血姫さんがコンプライアンスとか言っちゃうんだ。ちょっと意外。この魔法も小学校とか幼稚園を覗くために作った気がするんだけど、自分はいいのかな……。
「輝夜、発見」
「どこどこ!」
いけないいけない。目的を見失うところだったよ。
輝夜ちゃんは……バス停に向かって歩いているね。
「ブラッディ、輝夜ちゃんの声ってこの距離からでも拾える?」
「透明化しているわけだし、ここからは近づけばいい」
「あ、そっか……」
やっぱり私って頭悪いのかも? でも今は落ち込んでいる場合じゃない! とりあえず輝夜ちゃんと旅行に行くメンバーを見てみないと帰れない!
透明化していることをいいことに、輝夜ちゃんのすぐ後ろに降り立つ私たち。うん、後ろ姿も超美人! ナンパされないかな……怖いな……斬ればいいか。
「あら〜輝夜じゃない。おはよう」
むっ、女の声!
声のする方に顔を向けるとチョコレート色のゆるふわカールのかかったサイドテールの髪のタレ目女が輝夜ちゃんに向かって手を振っていた。泣きぼくろがセクシー。
「……灯、見とれている場合じゃない」
「はっ! モデルみたいな子だったからつい……」
胸も大きくて、服装もおしゃれ。リア充! って感じの女子大生だ。
「おはようございます、瞳さん」
「もう! 呼び捨てでいいのに〜」
……っていうか「輝夜」って呼んでたよね!? 下の名前で呼び捨ての関係!? 許せない……私だって「ちゃん」付けしているのに! まぁ好きで付けているだけだけど。
「……灯から嫉妬のオーラを感じる」
他に待ち合わせていた2人は無害そうな感じ。輝夜ちゃんのことも「美山さん」って呼んでいるし。
ただ……あの瞳さんって人がかなり怪しい! 呼び捨てだし、なんか距離も近いし!
輝夜ちゃん達はバスに乗り、どこかへと行ってしまう。もちろんそれをただ見送るだけの私ではない。
「行こう、ブラッディ」
「……うん」
なんだか不思議な旅の始まりです。




