38話 マカロンを作ろう
「よくない!」
自動車学校もアルバイトも休みの今日、私は高らかに宣言した。
「よくない……とは?」
「最近のライフスタイルがだよ! 自動車学校かアルバイトの二択! せっかくの大学生初の大型連休なのに排ガス臭い!」
「な、なるほど……言いたいことは何となくわかりました」
「というわけで今からスーパーに行って材料買ってマカロンでも作ろうと思うんだけどどう?」
「いいですね! 楽しそうです」
というわけでアルバイト先のスーパーで買い物をして、その途中にブラッディとユウと鋏をSNSで呼び出した。
当日の誘いということもあってみんな予定が入っていた。
結局来れたのはブラッディだけ。ちょっと寂しいけど、仕方ないね。
「……マカロンとは?」
やって来て開口一番にブラッディは訪ねて来た。
血しか口にしないとはいえ、女子大生としてマカロンを知らないのはダメでしょ。というわけでネットで写真を探して見せてあげた。
「……なるほど、お菓子ということはわかった。でも私は食べられない」
「ブラッディってストックの血があるでしょ? それを混ぜて血味のマカロンにしてみたら?」
血味のマカロンという相反するワードが混ざった言葉を口にしたことに違和感を覚える。
「他の材料が入った血でも食べられるのですか?」
「……まぁ、やってみよう」
ブラッディもモノは試しとマカロン作りの決意を固めた。
ちなみに私たちは血味なんかじゃなく、オーソドックスな抹茶味のマカロンを作っていくよ!
まずは粉系を振るいにかけてボウルに入れる。その間に輝夜ちゃんに卵白からメレンゲを作ってもらうよ!
あまり料理上手とは言えなかった輝夜ちゃん。でも私との共同生活を経て、見様見真似で料理をし始めたら最近いい感じに作れるようになってきた。さすが天才だね。
「メレンゲできた?」
「はい。ふわふわです」
「じゃあ混ぜよう♪」
私の作った粉と輝夜ちゃんの作ったメレンゲを混ぜる。
その間ブラッディに何をさせるかと言えば…………まぁ爆発物を作らないように大人しく座ってもらう……かな。
「……私の血はいつ入れればいい?」
「生地にも盛り込むなら今かなぁ。貸して」
ブラッディから血を受け取り、メレンゲと粉類が混ざったものから一部を別のボウルに移して入れた。
白いふわふわのメレンゲが、どんどんえげつない色になっていく姿を見るとなんだか鬱になりそう。
「すごい絵ですね……」
「ね。ちょっと嫌」
「人のご馳走にそんな感想を抱かないで欲しい」
嫌なモノは嫌だしなぁ。とは言えない。
まぁ濃厚いちご味だと自分を騙して先に進もう!
オーブンを予熱で温めておいて、絞り袋で生地を丸く成形する。
私がオーブンをいじっている間に輝夜ちゃんには挟むクリーム部分を作ってもらうことに。
生クリームと抹茶パウダーを入れて火にかける輝夜ちゃん。何してても可愛いなぁと思っていたらその横を血を持ったブラッディが横切った。あぁ、血も加熱してクリームにするのね。
私の方は生地が焼き上がり、いい緑色と濃すぎる紅色のマカロン生地が完成した。あとはこれにクリームを挟むだけだね。
「よーっし、完成!」
抹茶マカロン8つと、血のマカロン4つが完成した。
「「「いただきます」」」
粗熱を取る方がいいのはわかっているけど、出来たての誘惑には勝てなかった。
「う〜ん♪ ちゃんと成功してる!」
「やりましたね。美味しいです!」
「……うん、まぁ美味しい」
「まぁなんだ。どこが微妙だったの?」
「灯たちのご飯感覚で言うと、ライスの中に髪の毛が入っている感じ」
「おぉ……それはなかなかに嫌だね」
こんな排ガスにまみれそうな夏休みだけど、なんとか大学生らしく楽しんでいます♪




