26話 睡眠・幼女・出発
結局夜更かししてしまった私たち。もう1時か……そろそろ寝なきゃねという雰囲気が流れる。
「ブラッディは寝るん?」
「……寝ない。ソファーで横になって黙っているか、抜け出して夜の聖地を巡るかのどちらか」
「人間の感性から言わせると大変そうやなぁ……」
ブラッディは慣れっこだから大丈夫という感じだった。寝ている間に変なイタズラとかされないかな……。
さぁ寝よう、というタイミングで、輝夜ちゃんのスマートフォンが震えた。
「誰でしょう、こんな時間に……あ、鋏さんです」
鋏! 輝夜ちゃんと同じ学部だもんね。
この旅行に誘ったけど、ちっちゃい妹たちの面倒を見るから行けないって断られたんだっけ。
輝夜ちゃんは私たちにも会話の内容が聞こえるようにスピーカーにして電話に出た。
「はい、もしもし」
『もしもし輝夜? ごめんなさいね、こんな夜に』
「いえ。まだ起きていたので大丈夫ですよ。妹さんたちは眠ってくれました?」
『えぇ。夏休みだからって夜更かしするのよねぇこの子たち。困ったものよ。そっちはどう? 楽しんでる?』
「楽しんでるよー! 次は日帰りにして、鋏とも行けるといいね」
『そうね、日帰りなら行けるかもね』
私たちが話しているとブラッディも入ってきた。
「……ところでつかぬことをお伺いする。妹は可愛い?」
何を聞いているんだかこのお姫様は。
『もちろん、世界一可愛いわよ。見る?』
そう言って鋏はカメラをオンにして寝ている妹ちゃんたちを映してくれた。手を繋いですやすや寝る姿は「尊い」って言うしかないね。
「灯どいて。見えない」
「あっはい」
なんかブラッディの鼻息が荒い。そんな見たいの? というかその眼はもうアウトな気がするんだけど。
ブラッディは輝夜ちゃんのスマートフォンの画面を覗き、そして倒れた。
「ブラッディ!?」
「……致死量の幼女だった。私のお墓にはリリチルを一緒に埋葬しておいて……」
「……ブラッディまだまだ寿命残ってるよね? 1000年規模で」
撃沈したブラッディは放っておいて、鋏とバイバイした。
「もうこんな時間になっちゃいましたね。いい加減寝ましょうか」
「そうだね。おやすみ〜」
「おやすみや!」
ベッドは私と輝夜ちゃんが一つのベッドを、ユウが一つのベッドを、ブラッディがソファーで座ることになっている。
「うへへ……輝夜ちゃんの匂いin山梨」
「どこでも変わりませんよ」
「何やそっちのベッドラブラブやな。気まずいからエッチなことせんといてや」
うぐ……ぶっちゃけしたいけど我慢するか。
というわけで、おやすみ……………
意外とあっさり眠れて、気持ちのいい朝を迎えました。今は……7時か。早起きだねぇ。
「……おはよう」
「おはようブラッディ。私が1番?」
「いや、輝夜もユウも起きてる」
「え? 本当だ! 輝夜ちゃんいない!」
まだ7時だから絶対1番だと思ったのに!
そう思っていたら洗面台からひょっこり輝夜ちゃんとユウが顔を出してきた。
「おはようございます。これから朝食バイキングへ行くので着替えてくださいね」
「おはよう灯。いい朝やね」
「おはよう2人とも」
1番じゃないと思ったらまた眠たくなってきちゃった。でもここで二度寝したら終わる未来しか見えない……。
だからいそいそと着替えることにした。朝食バイキング、楽しみだなぁ。ホテルの料理って美味しいんだよね。
「じゃあ行ってらっしゃい」
ブラッディに見送られて朝食バイキングへ! 流石に食べない人を連れてくるのは不自然だし、だからといって血を持っていくのも気が引けるからブラッディはお留守番になっちゃった。
夜も1人だっただろうし、これ以上長く待たせるのも可哀想だから少し早足でご飯を食べる。
「ただいま〜」
「……早い」
これにはブラッディも驚きだったみたい。まぁ、みんなの旅行だもんね。この行動は当然かな。胸を張るようなことでもないよ。
張る胸なんかないだろと思ったそこの君、あとで屋上ね♡
「さぁ、静岡に出発だよ!」
「電車で2時間と少しの長旅ですが……みんなとならすぐでしょうね」
「体が固まらんようにだけは注意せんとな」
「……行こう。静岡」
私たちの旅行編、パート2が始まる!




