25話 ホテルトーク
その後はフルーツセンターで遊んで、甲府市に戻ってショッピングを楽しんだらもう日が暮れてきちゃった。旅行の時間の進み方は残酷だね。
私たちは甲府のホテルの部屋に入ってまったりしていた。
「色々食べたし、夜ご飯いらないかも」
「そうですね……調子に乗ってフルーツ食べすぎちゃいました」
「ブラッディはどうするん? まさか吸血を求められる……?」
「……そんなことはしない。刮目せよ」
そう言ってブラッディが得意げになってリュックサックから取り出したのは赤い液体が入った試験管みたいな容器。まぁ確認するまでもなく血だよね。
ブラッディはいそいそと指と指の間に試験管を挟み、バッと立ち上がってドヤ顔した。
「お、おお〜」
どう反応すればいいのかわからないからとりあえず「おお〜」と言うことにした。
「血のストックは完ぺき。まぁ……直に飲めるなら飲みたいけど」
「直飲みしたいん? ほなウチの血を……」
「待ってユウ! ブラッディの吸血はちょっと痛いし何より……エロいよ?」
「そうなん!?」
ふぅ〜、危なかった。ユウが目の前で「アンアン」言いながら血を吸われる映像を見せられたらこっちが我慢できなくなる。
「灯? なぜブラッディの吸血をそこまで詳しく知っているのですか?」
「えっ!?」
輝夜ちゃんの顔がなんだか怖い……。
「そ、それは……」
「……灯の血は直飲みした。それだけ」
「へぇ……これは詳しく聞かせていただく必要がありますね、灯」
「いやその……すみませんでした」
これはあれだ……嫉妬深い女子大生ってやつだ!
「私というものがありながら易々と首を授けるのですね」
あー……滅多にないプンプンモードになっちゃった。どうしよう……。
「か、帰ったら輝夜ちゃんにも血を吸わせてあげるよ? ね?」
「いりません! 鉄分には困ってません!」
なかなかトリッキーな断りだね。ちょっとだけ笑いそうになっちゃったよ。
「……輝夜、許して欲しい。あの日は灯も人助けのつもりでやってくれた」
「そ、そうだよ! ブラッディ苦しそうだったし!」
「まぁいいですけど。いいですけど!」
うぐ……これ絶対よくないやつだ。どうすれば機嫌良くなってくれるかな。
弱い頭をフル回転させる。でも答えは見つからない。一個だけ思い付いたものがある。でもみんな見てるし……まぁいいや! やっちゃえ!
「んっ!?」
「……」
「wow!」
黙って輝夜ちゃんの唇を奪う。もし私が嫉妬で落ち込んだ時、輝夜ちゃんがキスをしてくれたならきっと許してしまう。だから輝夜ちゃんも、こうすれば許してくれる……はず!
ブラッディは冷めた目で見てるし、ユウは目を手で覆って見えないようにしている……そのわりに指の隙間からがっつり見てるね、これ。あとなんでネイティブにワオって言った?
5秒くらい唇を合わせて、そして離す。見つめ合うと輝夜ちゃんは照れるように目線を逸らした。
「もう……灯はズルい人です」
「えへへ……それも取り柄かもね」
ズルく生きるってのは、意外と人生で役に立つものだよ? と私が大学の教授だったら教えるかもしれない。
どんなお勉強よりも、できるだけ楽しく生きるか、楽に生きるか、幸せに生きるかの方が大事だと思う。
まぁそんなこと今はどうでもよくて、とりあえず輝夜ちゃんの照れ顔を脳内カメラで100連写くらいする。
「うは……大胆やな〜灯は」
「……うん。灯はこういう時の思い切りはすごい。そこだけは尊敬する」
「そこだけって何!」
もっと尊敬できるところあるでしょ! 例えば………………………ん?
「ふぅ、そろそろ寝ましょうか。明日は早いですよ」
「そうだね。早く起きて静岡に行かないとだもんね」
「……さよなら山梨」
「そういえばブラッディはどこ行ってたん?」
寝る前にブラッディの一人旅の話を聞いていたら結局夜更かしになってしまいました。まぁこれも旅の一興……かもね♪




