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22話 出発!

 夏休みも4分の1を消費し、夏も本格的に深まってきた今日この頃。私たちは[星乃川駅]に集合しています。 


「よーっし! 山梨と静岡、行くぞ〜!」


「元気やなぁ、灯は」


「もっちろん! せっかくの旅行だもん!」


 ワクワクが止まらないよね。

 とりあえず[星乃川駅]から電車に乗って新宿へ。そこから乗り換えて……まず初日は山梨県に行くことになりました!


「……山梨。わくわく」


「声に出してわくわくって言う人初めて見たかも……」


 ブラッディの表情は緩みきっていた。そんなに行きたかったんだ……それならまぁこっちも行く甲斐があるってものだけど。


「輝夜ちゃんは何を調べているの?」


「山梨のお昼ご飯を。お蕎麦屋さんが美味しそうだなと思いまして」


 輝夜ちゃんが操作していたスマホの画面を見せてくれた。そこには本格的なお蕎麦とどデカい天ぷらが!


「本当だ! すっごく美味しそう!」


「でも高そうやな〜」


「……そのためのアルバイトじゃないの?」


「そうですね。せっかくの旅行ですし、奮発しましょうか」


 しっかり者の輝夜ちゃんから散財オーケー(?)のお許しが出た!


「ウチはその豪勢なお蕎麦より、ほうとうってやつ食べたいなぁ」


「あー! 名物だよね」


「……元より私はほうとうを食べるつもり。ユウ、ついて来れる?」


「なんでそんな少年漫画みたいなセリフ回しになっとるん?」


 この2人……いつのまにかすごく仲良くなってる! いいことだけど本当にいつ超仲良しになったんだろ。というかブラッディ、物食べられないじゃん!

 そして特急電車は進み……ついに甲府駅に到着しました!


「ついたー! ……あぁ」

「ついたでー! ……あぁ」

「……ついた」

「つきました!」


 4者4様の反応を見せたけど、私とユウは電車を降りてまず驚いた。それは……


「暑くない!?」


 [星乃川市]と比べてもかなり暑い! 何これ何これ!


「甲府は盆地ですからね。熱がこもって、逃げにくいから暑くなるんですよ」


「「ほへー」」


 私とユウが輝夜ちゃん先生の授業を受ける。本当、輝夜ちゃんは何でも知ってるよね。


「もうお昼時ですし、さっそく行きますか」


「うん! お蕎麦屋さんだね」


 駅前にあったお蕎麦屋さんに4人で入ろうとする。けどブラッディが入ったら迷惑かけるよね。だって食べられないのに座るんだもん。


「どしたん? 入らへんの?」


「あ……えっと……」


 ちょっと輝夜ちゃんとコソコソ内緒話。ブラッディのこと、ユウに伝えるか否か。

 私たちの出した結論は……「伝える」。このまま隠していても辛いだけだしね。


「ユウ、ちょっとブラッディのことで聞いて欲しいことがあるの。いいかな?」


「うん。ええよ」


「じゃあちょっと裏路地に来てください……」


 4人で裏路地に入る。人気もなくて、いい感じだね。

 人目がなくなったところで私たちからブラッディにバトンパスした。きっと自分で言ったほうが楽になれると思うからね。


「……じゃあ、伝える。ユウ、私は吸血姫なの」


「……ん? あの漫画とかでありがちな?」


「そう、それ」


「あのエッチなやつ!?」


「……ユウは普段どんな漫画を読んでいる?」


 噛み合ってそうで噛み合っていない会話だね……間に割って入りたいようで、入るのも憚れるよこれ。

 実際ブラッディの吸血はエッチだから反論できないのもまた困る。


「ブラッディ、もう見せたほうが早いんじゃない?」


「そう……。なら『(アーラ)』」


 ブラッディがいつもの血色の翼を生やした。目立つからあんまり人通らないで! と輝夜ちゃんと一緒に祈る。


「うはぁ……これすごいなぁ。作り物とちゃうんやろ?」


「うん。自前」


 あんまり怖がらずにぺたぺたとブラッディの翼に触るユウ。すごいな……私、その翼はまだ怖いんだけど。


「だからいつも固形物食べへんかったんか〜! もっと早く言ってや! 心配してたんやで?」


「それは……ごめん」


「そんでどうするん? 食べれんなら外で待つん?」


「ちょっと観てまわりたい所があるから。ユウたちは食べてて」


「了解! ほなブラッディには悪いけど、グルメも楽しむで!」


「すごい……一瞬で信じるんだ」


 普通もっとこう……「えー!」とか、「嘘ぉ!?」みたいな反応をするものだと思うんだけど、ユウはそうでもないね。


「まぁブラッディは元からミステリアスなところあったしな。大丈夫やで!」


 そう言うユウは笑顔でした。良かったね、ブラッディ。友達はみんな、いい人だよ。

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