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20話 イチャイチャ勉強

 [一星大学]に入学したのが昨日のことに感じるというのに、なんともう春学期が終わるようです。森野灯です。でも無事に春学期を終えるためには……


「うぇー……テストだぁ……」


 そう、もちろんテストを乗り越えなければならないのです!


「頑張りましょうね、灯」


 まぁ……輝夜ちゃんと同じ空間でずっとテスト勉強できるから、やる気になっていいんだけどね。わからないところは輝夜ちゃんに聞けるし。


「灯は現代社会Ⅰの勉強をしなくていいんですか? 明日ですよ?」


「でも教科書とかノートとかレジュメとか持ち込み可なんだよね? じゃあ勉強しなくて良くない?」


「灯……その考えは危険です。持ち込んでいいからと胡座をかいていると、いざテストが始まった時にどれを見ればいいのかわからなくなりますよ?」


 うっ……確かに。教科書は200ページくらいあるし、レジュメだって両面刷りが30枚ある。テスト中に答えがどこに載ってるかな〜なんて探していたらあっという間に時間になっちゃうよね。


「ならより一層頑張らないと! むむ〜!」


 そもそも休日だけを使ってテスト勉強ってのが甘かったかも。輝夜ちゃんがコツコツやっていたのを見ていたのに、なんで私は今日までやる気がでなかったんだろう……。あ、私だからか!


 悲しい結論に至ったところでそろそろやらないとと流石にスイッチが入る。単位落としました〜なんてお母さんに報告したらここまで怒りに来そうだし。


「お昼、作りますね」


「本当? ありがとー!」


 こういうのは一人暮らしではできないよね。支え合い、大事! ……勉強面では一方的に支えてもらっている立場だけど。


 最近気がついたことだけど、輝夜ちゃんはキッチンに立ってスイッチが入ると鼻歌を歌い始める。それが可愛くて可愛くて仕方がない。勉強する気が削がれるほど、輝夜ちゃんの鼻歌を聴きたい衝動に駆られていた。


「ふんふーーん♪」


 始まった!

 輝夜ちゃんは小刻みに体を揺らしながらお料理を開始する。一緒に住むようになって4ヶ月。鼻歌を歌う余裕があるくらいには輝夜ちゃんの料理スキルも上達してきた。


 それに比べて私は……勉強スキルが何一つ伸びていないと自信を持って言える。いや本当はこんなことに自信を持っちゃダメなんだろうけど。


「灯ー? ちゃんとやってますかー?」


「うっ……頑張りまーす!」


 輝夜ちゃんに見抜かれてた……。まぁ明らかに手が止まっていたし、そりゃわかるよね。


 とりあえず現代社会Ⅰのレジュメのどこに何が書いてあるかのメモ用紙を作ることができた。これでテスト中にあたふたすることはない……はず!


「お昼できましたよ」


「わーい! ありがとー!」


 輝夜ちゃんが作ってくれたのは冷やしうどん! ささっと食べたい時にはぴったりだね。


「それにしても大学のテストって不思議だよねぇ。高校までだとテストに教科書やプリントの持ち込みができる教科があるだなんて考えられないもん」


「そうですね……持てる情報から答えを見つけ出す能力の育成を目指しているんじゃないですか?」


 なるほどね……と感心する。なら他の教科も持ち込み可にして欲しいな〜なんて思ったりして。

 そう、持ち込める現代社会Ⅰはいいとして、他の持ち込み不可のテストをどうしようと今更ながらに焦っている。


「英語に歴史、経済……どうしよう……」


「悩みの種が多いですね。秋学期はもっと計画的にテスト勉強できるようにしましょう」


「はーい」


 本当、肝に命じておかないとね。単位が取れずに進級もできず、輝夜ちゃんと学年が別れちゃったー! なんてなったらシャレにならないし。


「あ、おうどん美味しい!」


「それは良かったです」


 輝夜ちゃんは成長しているのになぁ〜。私はいつまで私でいるつもりなんだろう。悪い意味で。


 ふと輝夜ちゃんの手に手を重ねてみる。


「……灯?」


「輝夜ちゃん成分吸収中〜」


「……なんです? それ」


 説明しよう! 輝夜ちゃん成分とは、輝夜ちゃんの力がこもった、何か頭が良くなれそうな成分である!


 まぁ冗談は置いておいて、好きな人の肌に触れるとやる気が湧いてくるかなーって思って触ってみたけど、煩悩さんがこんにちはしただけで全然ダメだ。


「うー、頑張らないといけないのに〜!」


「ならこういうのはどうです? 灯が1時間集中して勉強するごとに一回キスをします」


「ほほう! それは魅力的な提案だね!」


「逆に頑張れていなかったらキスは1日お預けです」


「なんですとぉ!?」


 それは頑張らざるを得ないやつだ! よーっし、燃えてキタァ!


 ……………………この後めちゃくちゃキスした。

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