21・それからの日々
はるながやって来てもなにかが変わることもなく、いつもの様にクラーケンや魔船の掃討が続いている。
なんせ、未来の艦艇が来たのだから俺は甲にレベルアップしたのかと思ったら、そうではなかった。そりゃそうだ、俺がはるなを見つけたのは戦艦の項だったんだから。あの後、再度開いてみたが、榛名や比叡は見つかるが、『ひえい』は存在しない。なんとも不思議な話だ。
そして、乙の現状では悩み事も変わらない。
「護衛艦の召喚が出来るまでは今の体制を維持するのがベターだろうから、はるなは金剛の代わりとして、旗艦をやってもらう」
「了解しました」
はるなは敬礼する。
「それで、何をやれば良いですか?イージス艦と同等の事ならできますが?」
「ここにはリンクシステム積んだ艦は存在しないはずだ」
「いえ、2艦ほど居ますね。駿河、近江と言う艦です」
俺はビックリした。
「駿河、近江、応答せよ」
「こちら駿河、なんでしょうか」
「こちら近江、マスター、どうされました」
「二人とも、データリンク積んでるの?」
「はい、駿河ははるなさんが召喚された際に、退役間際の電子装備の召喚が可能になりました」
「私も、駿河がやったので、召喚しました。データリンクは青葉も積んでいたはずですよ?」
「そうなの?」
「応答が無いので召喚していないかもしれません」
つか、そんな話は知らなかった。言えよ・・・
俺が緩すぎただけみたいだが、聞いてみると青葉もデータリンクとIFFの装備が可能だと分かった。島風、旗風も魔物識別は可能らしい。更に、秋月、照月、涼月、冬月、曙、雷、電、阿武隈、梨も、はるなの召喚以後、制約はあるが、電探で魔物識別が出来る様になっているらしい。
はるな召喚は様々な副次効果を産み出している。
「データリンク載せたらせっかくの三次元レーダーと多目標測距が・・・」
とは、青葉の談である。拘りを持つのは解らんでもないが、艦隊として考えてくれるように促したら、駿河型同等の装備を召喚しやがった。おい、絶対性能はこっちが上だろ。
「記念艦装備がお気に入りだったんですよぉ~、マスタァ~」
泣きつかれたが知らん。それに、杏子から殺人光線来てるから離れてください。
「私は別に今でも魔物の位置はわかるけど?」
うん、別に強制ではないぞ?島風にはな。お前はレーダーやソナーなんぞ使ってないだろ。クラッターで投影不能な海象でもぶっぱなすし、あの速度でソナーが使える水上艦は存在しないだろ。最大戦速で魚雷射出してクラーケン仕留めるとか、完全にお前が魔物の一種だ。
「私の耳がおかしいです」
響ははるなの召喚以来、聴音性能が飛躍的に上がっているそうだ。気にすることはない。由来が違うはずの音響測定艦のソナー機能が備わったんだろう。
こうして、意外な形で悩みが緩和された。
さて、また、アハペナンマーへ行くのだが、今回ははるなで行く事になった。
「はるなは汎用だからクラーケンの襲撃でも大丈夫だろう」
そういって、俺はアハペナンマーへ向かう。杏子も付いてくる。主に航海中の監視をしに。何もないから・・・
「今回は彼女連れてきたね」
組合のオッサンは二人の時にそんなことを聞いてきた。夫婦だというとなぜか呆れられた。何でだよ。
定例なので特に問題なく終わる。今回も特に寄り道せずに帰ることは変わらない。寄り道の余裕を作るには、もっと召喚しないといけないが、今のところ、甲まで先伸ばしてやっていくつもりだ。
帰路、はるな艦橋でSF宇宙戦艦の様なシートでご満悦な俺。データリンクを繋いではいるが、GPSが無いから位置情報は表示されていない。意外と使えないことに落胆した。
「仕方ないですよ。それに、この世界では、遠距離攻撃などを想定しなくてよいので、艦隊の状況が一目でわかる程度でも実用出来ているじゃないですか」
はるながパイロットシートでサイドスティック式の操縦かんとスロットルレバーを両手で操作している。
完全に船の艦橋とは思えない光景だが、これが現実だ。
はるなは試験艦やあさひ型護衛艦の実績から、オール電化された艦だ。今は乗組員が必要ないので無駄に広い艦内の節電により、発電機6基のうち、1基しか動かしていないが、レールガンの発射にはこの発電機全てを動かさないとダメらしい。
「司令、クラーケンが近くに寄って来てます」
なるほど、前回と同じだ。ただ、艦が違う。
「UAVも上げて哨戒はじめます」
はるながUAVも飛ばす。
そのUAVもクラーケンを捕捉した。
「よく、こんな沢山いますね」
はるなはあまりの数に唖然としている。きっと、前回も似たような状態だったろう。
「司令、では、いきます」
はるなの掛声と共に発砲?が始まる。砲撃音も独特だ。
主として使うのは16MJ砲とレーザー砲である。
賑やかだが、長い時間はかからない、と、杏子はいった。
レールガンはエネルギーを伴った砲弾が着弾したクラーケンを吹き飛ばし、レーザーは相手の戦意喪失に非常に役立った。
あっという間にはるなが見事、撃退して見せてくれた。
「こいつはすごい・・」




