白と黒の饗宴2
実際の平安時代の制度等と異なる点がございますが、パラレルワールドだと思ってご容赦下さい。
偉鑒門に向かう途中、光明達二人は偶然直通と時子に会った。二人の他にも、避難しようとする者達が何人も走っている。光明は、驚いて聞いた。
「お二人共何故ここに?」
「歌合に呼ばれたんだよ。それより、鬼が来ていると聞いたがどういう事だ」
直通が聞き返した。光明は、今の状況を手短に二人に説明した。
「鬼が二人も……。私に出来る事はないか?」
「では、直通様は朱雀門の方へ行って、紅玉の援護をして下さい。呪符を巻き付けた武器が武官の元にあるはずです」
「わかった」
直通は文官だが、ある程度武芸の訓練も受けていた。
「私も何かお手伝いできれば良いのですが……」
時子が呟いた。
「お気持ちはわかりますが、時子様は安全な場所に避難しておくべきでしょう」
「そうですね……」
時子は歯がゆい思いを抱いていた。自分に紅玉を助けられる程の力あればと。しかし、そんな事を考えても仕方がない。紅玉に心配を掛けない為にも、今は危険な場所から離れるべきだろう。
二人と別れた光明と基家は、宮中を駆け抜けて偉鑒門に到着した。
「来たのか。しかし、やはり人間は走るのが遅いな」
二人を見た黒曜がつまらなそうに言った。周りにはまだ避難している人間が多数いるが、まだ犠牲者は出ていないようだ。
「まあ、陰陽師を食べるのも一興だ。お前らを食って金目の物を奪ったらさっさと退散しよう」
「ふざけるなよ」
基家が口を開いた。
「家には大切な家族がいるんだ。こちらこそ、お前を倒して早く帰らせてもらう」
「大きな口を叩くじゃないか。やれるもんならやってみろ!!」
黒曜が、刀を持って斬りかかってきた。
基家が呪符を取り出して呪文を唱えると、辺りが霧に包まれた。視界が悪くなっている内に光明が炎を出して黒曜を焼き尽くそうとするが、黒曜は息を吹いて炎を消す。そして、的確に光明に向けて刀を振るってくる。刀の切っ先が光明の頬をかすめた。
基家が新たに呪符を取り出したが、呪文を唱えようとした瞬間、手を滑らせて地面に落とした。
「あ」
「嘘でしょう。何してるんですか」
「悪い」
黒曜が大声で笑った。
「お前らの命が尽きるのも時間の問題だな」
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