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白髪の鬼4

実際の平安時代の制度等と異なる点がございますが、パラレルワールドだと思ってご容赦下さい。

「どういう事か説明してもらおうかな」

 白樹が、いつの間にか剣を抜いて鬼四の喉元に突き付けていた。村に放たれた火はほぼ消えていた。

「村の家に入って人間を食べようとしたら、誰もいない。どの家に入っても、人っ子一人いない。死体すらない。小鬼が食べていたのも、人間の肉ではなくて獣の肉。幻覚でも見せられていたのかな?」


 光明に色々教えてもらっていたので、幻覚を見せる術を使う事が出来た。白樹と村に来る前に、式神を村に行かせて、村人全員が村から離れるよう仕向けた。

 村人を恨む気持ちはあるが、命を奪うつもりはない。村人も自分達の生活を守るのに必死だったのだ。白樹に付いて来たのも、鬼四が白樹の誘いを断っても白樹が人間を襲うだろうと思ったからだ。自分が白樹の側にいれば、人の命を守れるかもしれない。

「弟に裏切られて、私は悲しいよ」

 そう言って、白樹は剣を振るった。しかし、鬼四だと思ったものは真っ二つに切り裂かれた人型の紙へと姿を変えた。

「これも幻覚か。……しかし、甘い」

 白樹は後ろを振り向きざま素早く剣を突き刺した。そこには、幻覚ではない本物の鬼四がいた。

「かはっ……」

 剣は、鬼四の腹部に突き刺さっていた。白樹が剣を抜くと、地面にぼたぼたと血が落ちる。鬼四は、地面に膝をついた。

「鬼は丈夫だし、この程度では死なないから安心しなさい。……しかし、裏切った罰をもっと与えないといけないな。……そうだ、お前のねぐらに人間の匂いが漂っていたな。その人間を探し当ててここに連れてきて、お前の目の前で殺すというのはどうだろうか」

「……させるか……」

 口から血を吐きながら、鬼四は白樹を睨んだ。


 時子と直通は、光明の屋敷に呼び出された。

「今朝、法眼を探していた杠葉がこれを持ってきました」

光明が二人の前に差し出したのは、人型に切られた二枚の紙。時子は、その形に見覚えがあった。

「これは……法眼様の式神……」

「はい、道端に落ちていたのを杠葉が見つけました」

時子は、動揺を隠せなかった。どちらの式神も白い紙に見えるが、半分程が赤く染まっていたからだ。

「これは……」

「血ですね、法眼の」

「あの方の身に何か……」

「死んではいないでしょうが、少々まずい事になっているかもしれませんね。もう杠葉にも法眼がいる場所の見当がついているでしょう。私はこれから杠葉と一緒に法眼の元に行こうかと思いますが、お二人はいかが致しますか?」


「同行させて下さい」

 迷いなく時子が言った。

「あの鬼の事は気に入らないが、安否は気になるな。同行させてもらいたい」

 直通も同行を望んだ。

「では、すぐに参りましょう。お二人が同行する事も考慮した上で、すでに準備を整えております」

 三人は、足早に門に向かった。鬼四がいなくなってから、十三日経っていた。


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