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林間学校6

 林間学校2日目の朝は、目を覚ますと


「おはよう、千香ちゃん!」


 といつからかわからないが、星野麗華が私に抱きついていたところから始まった。最悪だ。


 寝起きは最悪だったが、今日も一日中班活動らしく一日中天王寺君と一緒なので幸せな一日かと思いきや、


「はぁ、結局ずっとあんたといるわね」

「ほんとだよ」


 と隣にいる陸斗に話しかける。


 こんな感じに黄昏れてる私達の視線の先には、星野麗華と天王寺君が水辺でいちゃついており、私も陸斗も嫉妬100%の視線で見つめていた。


 その視線に気づいたのか、星野麗華が私達の方にきて、


「千香ちゃん、黒崎君、一緒に泳がない?」

「うん、泳ごうかな……」

「チョロっ!」


 と私が言うと陸斗が睨んだが、私は気づかぬふりをして、そのまま読書タイムを継続しようかなと思っていたが、


「白川さんも一緒に泳ごう」


 と私を呼ぶ天王寺君の声が聞こえたので、


「うん、泳ぐ」


 と川に向かった。横で見ていた陸斗は、


「チョロイン……」


 とつぶやいた。


「ふぎゃーー」


 なんかムカついたので私は陸斗に襲いかかった。陸斗は、


「千香、ステイ、ステイ」


 とたじろいだ。


 とまあ、私と陸斗にしては珍しく行事を楽しんだ。





 二日目からは、初日と異なりテントではなくクラブハウス?てきな宿舎で寝泊まりすることになっている。昨日も今日もここのお風呂を使った。


 それはさておき、お風呂も夕食も済ませ、就寝まで一時間暇ができた。このまま部屋に戻ってもいいが、部屋はうるさくて読書に集中しやすい環境ではない。


 ならばということで、大きめのテラスがあるのでそこで読書をすることにした。テラスには、少なからず生徒はいるものの間違いなく部屋に比べれば静かなので、就寝時間までここで本を読むことを私は決めた。


 テラスの端っこの方に向かうと天王寺君と星野麗華がいた。


 思わず私は、身を隠した。二人の会話は聞こえないが星空を見ていい雰囲気になっているのはわかった。ねえ、見せつけないで、私にこれ以上現実を見せないでよ。


 やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて……


 と私は願うが、顔を赤くした星野麗華が目をつぶりその口元に天王寺君の唇が交わされた。


 あぁ、見たくなかった、知りたくなかった。好きな人のキスシーンなんて見ていて切ないだけ、私は狂いそうなのを抑え、天王寺君と星野麗華が部屋に戻るまで声を出さぬように泣いた。帰ってからも私は泣き続けた。



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