こうして僕らは偽の恋人になった
「ですから、天王寺君はあんたみたいな冴えないオタクとは違って優しくてとってもかっこいいんですよ!」
僕は天王寺をチャラ男と言ったら、ちんちくりんのメガネの冴えない女が天王寺をバカにするなと現れ、僕はこの女の天王寺という男が如何にカッコイイかという話を何十分も聞かされることになった。
「あんなにかっこいい天王寺君がどうして、あんな星野というビッチと付き合うことになったんですかね」
「あぁん、星野をビッチ呼ばわりするんじゃねぇよ」
僕は、気づいたらガチギレしてこのちんちくりんに如何に星野が如何にすばらしい女かを力説してた。
「ハァハァ……」
「ハァハァ……」
僕とちんちくりんは星野と天王寺が如何にすばらしい人間かを一限の間論説しあった。お互いの思想を受け入れることは出来なかったが、この女がどういう人間かは、理解はする事が出来た。だから、僕は彼女にとある質問をする。
「なぁ、ちんちくりん。お前が星野の事を嫌いなのは、大変遺憾だが理解はした。その上で誰に1番ムカついている?」
ちんちくりんは、少し悩んだあと、
「まず、ちんちくりん言うな。私には、白川千香という名前がある。同じクラスなんだから覚えておきなさい」
「わかった」
こいつ、同じクラスだったのか初めて知った。
「それで、あんたの質問に答えるなら。私というすばらしい女を選ばなかった天王寺君にムカついているわ」
ほら、白川の思考回路は僕とほとんど同じだった。
「同感だ。僕も自分というすばらしい男を選ばなかった星野麗華にムカついている」
僕達の思考回路は、かなり人とズレていてイカれていた。
「それで、あんたは私に何をさせようとしてるの」
「簡単だよ、僕は星野に白川は天王寺にやっぱりこっちと付き合えば良かったなと思わせるんだよ」
「なるほど、どうやって?」
「隣の芝生は青いということで僕と白川が偽の恋人になって全力で奴らの前でイチャつくというのはどうだろう?」
白川は3秒ほど黙った後に、
「天才……」
と呟いた後に
「いいわよ、大変遺憾だけどあんたの偽の恋人になってあげるわ」
こうして僕と白川は偽の恋人になった。




