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【第4巻10/24発売!】高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない  作者: ミソネタ・ドザえもん
肥える女王様

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A.正気じゃない

小説を書くモチベが久しぶりに高いです。

私の小説を書くモチベが高い時は、大抵仕事が忙しい時です。

仕事が忙しい時はストレスからか、現実逃避のために小説を書きたくなります。


つまり、そういうことです(泣)

 ジムでの筋トレ後、更衣室に戻った俺は、更衣室内にあるシャワー室に足を運んだ。


「ふぅ……」


 シャワーで汗を流しながらプルプル震える上腕二頭筋を感じていると、やり切った感を感じるのは気のせいか。

 こんなことを思っていると、また林に馬鹿か、とか罵られそうだが……既に次回のジムの日が楽しみだ。


 シャワーから出て、着替えを終わらせて、更衣室を出ると、林の姿はまだない。あいつも今頃、シャワーを浴びているのだろう。

 俺は廊下にある椅子に座って、彼女が更衣室から出てくるのを待つことにした。


「お待たせー」


 女子更衣室から、髪を濡らした林が出てきた。

 

「待った?」


「いいや、今出たところだ」


「そっか」


 なんとなく今出たと嘘をついたが、この嘘は必要あったのだろうか?


「じゃあ帰るか」


「うん。いやー、運動後のシャワーはスッキリするねー」


「そうか」


「不快な汗がなくなるの、気持ちよくない?」


「それはわかる」


「ねー。なんかこうしてると、温泉とか行きたくなるよ」


 林の言葉は、少しだけ意外に思えた。

 高校を卒業し、この地で再会して以降の林は、大体いつも金銭的に不安があったため、節約を心掛けていたのだ。

 気軽に温泉に行きたい、と言えるくらいに余裕が生まれたとなれば、こちらまで気持ちがよくなるってもんだ。


「いいじゃないか」


 だから、俺は彼女に同意を示した。


「おっ」


 林は少し驚いた様子だった。


「山本君、意外と乗り気ですね」


「まあな。色々と感慨深い気持ちになれたからな」


「ん? んー。そっか」


 俺が何に感慨深い気持ちになったのか、林は理解出来ていない様子だったが、別に理解してほしいとは思っていなかった。


 ただ……。


 DV男との決別。

 両親との和解。

 親友との再会、結婚。


 高校卒業以降、色んな苦難を味わった彼女が、温泉に行くこと……それこそ、慰安旅行に行くことには賛成だった。


「それなら、二泊三日とかで温泉旅行とかどうだ」


「えぇえっ!?」


 林は……今度は少しではなく、大層驚いた様子で、声を荒げた。


「や、山本!? あんたどうしちゃったの。熱でもあるの? エイリアンに体乗っ取られた? もしくは、怪しい宗教に入信した? 壺とか買った?」


「慰安旅行を提案するだけで新興宗教への入信を疑われる程、俺がこんなことを言うのは意外だったのか」


「馬鹿言わないで」


「……林」


「意外なんてもんじゃない。正気を疑った」


「林……」


 林から俺への信用のなさが天元突破している。悲しい。


「……たまには俺も、慰安旅行の一つくらい、提案するさ」


「本当?」


「ああ。それも……お前はこれまで、散々、大変な目に遭ってきたんだから。たまにはゆっくり体を休めたほうがいいだろ」


「……」


 林は黙った。ただ、林の目は、俺のことをどこか冷たく見つめていた。


 どうやら本気で正気を疑われているらしい。


 中々失礼な奴だな、こいつ。

 ……失礼な奴なことは結構前から知っていたか。

 最近は結構丸くなってきた気がするが、今でも時折、ナチュラル畜生な面を覗かせるんだよな。


「で、どうだ。行くのか。行かないのか」


 俺は尋ねた。


「……山本、本当に信じていいの?」


「当たり前だろ。温泉旅行の一つや二つ。任せてみろよ」


 まったく。こっちが折角誘ってやってるのに……。


「で、どこ行きたい。移動しやすさで言うと、熱海(静岡)とか箱根(神奈川)とか、後は石和(山梨)とかも楽だと思うぞ」


「えっ、まさか本気なの?」


「だからそう言っているだろ。……わかった。なら、俺が勝手に決めるぞ?」


「……うん」


「予算はどれくらいがいい。二万位で収めるくらいか? だとしたら新幹線は使えんだろうが」


「う、うん……」


「あとは……旅館だなぁ。ちょっと帰って調べてみるか。二人一部屋でいいよな?」


「!?!??!?!?!?!?!?!?」


 林の顔が真っ赤になった。


「ちちちちちっちょっ、ちょっと待って! 山本! ちょっと待ってよ山本さん!?」


「なんだよ急に」


「二人一部屋って二人一部屋ってこと!? 二人一部屋って二人一部屋ってことなの!?」


「同じこと四回言ったよ」


「ちょっと待ってよ! そんなの……ちょっと待ってよ!!!」


 なんでこいつ、こんな慌てふためているんだ?


「いきなりそんな……心の準備が、あたしにだって必要だと思わない?」


「心の準備って……これまでもそういう機会、たくさんあっただろ?」


「あったけども……。あったけども!」


 あわあわしている林を見て、俺は呆れたため息を吐いた。


「わかった。じゃあ、相部屋はやめるわ」


「えっ!?」


 林はまた声を荒げた。

 そして、目を丸くして……しばらくして、もじもじし始めた。


「……別に、嫌とは言っていないじゃん」


「ほぼほぼ嫌って言ってたじゃん」


「言ってなかったじゃん!」


 ごり押し。

 

「……そうだな」


 俺は屈した。


「……はぁ。まあ、わかった。じゃあ、二人一部屋で旅館探してみる」


「うん。……うんっ!」


 林は満面の笑みを浮かべた。

 その天真爛漫な笑みを見ていると、慰安旅行を提案して良かったな、とほっこりした。


「じゃあ、お前は連絡しておけよ?」


「うん?」


「笠原に」


 林の顔から、笑みが消えた。


「……なんだよ、その顔。行くんだろ? 慰安旅行」


 俺は呆れたように続けた。


「笠原と二人で」



「嘘つきっ!」



「えぇっ!?」


「嘘つきっ! やっぱりあんた正気じゃないじゃない!」


 いやいや……どう見ても正気だろ?

 そうだよな?


 な?

今更ですが、本作はラノベ版とWEB版で微妙に設定が違っています。

具体的には林の父の生死等。

WEB版ではご存命なので、その辺忘れないようにしておいてください(作者宛)


ちなみにラノベ版でもWEb版でも共通している設定として、こいつら付き合ってないは無理あるだろ

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― 新着の感想 ―
いや、これは正気疑う方が自然だよなあw
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