78 現在のデフェル
私にはブロッディ卿の目的がわからずじまいだったのに、パルサ様から話を聞いたイコル様はわかったのか、目を輝かせる。
「それは面白くなってきましたわね」
イコル様はルカ様と私を交互に見ると、笑顔を浮かべて続ける。
「でも、私はルカ様を応援します! リゼさんが選んだのはルカ様ですし、婚約者でもありますからね」
「え? あの、何の話ですか? イコル様にはブロッディ卿が何を言いたかったのかわかったんですか?」
パルサ様とイコル様に問いかけても、二人は答えを教えてくれない。
「俺を応援するっていう意味がわからないんだが、どういうことなんだ」
「ブロッディ卿が近い内に答えを教えてくれると思いますよ。ルカもブロッディ卿の様子を見たら聞かなくてもわかるはずです」
困惑した様子のルカ様にパルサ様はそう言うと、デフェルがどうしているか見に行く時間を決めようと話題を変えてきたのだった。
*****
どうして、パルサ様がデフェルのことを言いにくそうにしていたのか、自分の目で確認してわかった。
デフェルは女性に見境がなかったということもあり、彼にふさわしい罰が与えられていた。
パルサ様に案内された場所は野生動物の保護施設だった。
案内された場所には、アルパカが柵の中に5頭いた。
柵の中にはアルパカだけではなく、デフェルもいて5頭全てがなぜか彼にまとわりついていた。
「俺はお前たちの恋人じゃねえんだ! だから、寄ってくるなって言ってるだろ! うわ! 何で体を擦り寄せてくるんだよ!」
叫んでいるデフェルを遠巻きに見つめていると、パルサ様が話し始める。
「彼女たちに事情を話したら協力してくれたんです。アルパカは強いオスが好きなので、変な形をしているけど、強いなら良いと思ってくれたみたいですよ」
「アルパカは一夫多妻なんですか?」
「そうなんです。妻が10頭いるというオスもいますよ」
「人間でも愛人がいるくらいだから、動物にいてもおかしくないよな」
パルサ様の話を聞いて、ルカ様が呆れた顔で言った。
現在のデフェルは動物の保護施設で働かされていた。
動物の排泄物の掃除係で、毎日、嫌だと言いながら働いているんだそうだ。
アルパカエリアにデフェルがやって来ると、先程のようにメスたちが集まって、彼に迫っているらしい。
ただ、大人しく迫っているのではなく、気に入らないことをされたら、容赦なく唾を吐きかけているので、デフェルは臭いのせいで、かなり辛い思いをしているのだと教えてもらった。
「ああいうタイプは野放しにすると、平気で犯罪を起こしますから、この保護施設から出られないようにしています。もし、逃げ出そうとしたり、内部で悪いことをしたら、ここには肉食動物もいますし、食事として出すのもいいですね」
パルサ様は爽やかな笑顔で、恐ろしいことを言ったのだった。




