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【書籍発売中】こんなはずじゃなかった? それは残念でしたね〜私は自由きままに暮らしたい〜  作者: 風見ゆうみ
第七章

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56 公爵令息のアドバイス

 会場内はかなり騒がしく、隅のほうにある談話スペースに行っても声が聞き取りづらかった。

 それに、私と一緒にいる男性陣は全員、顔が整っている。

 しかも伯爵家以上の家柄の令息しかいないから、お近付きになろうと目論む女性たちが後を絶たない。


 さすがにルカ様に話しかける人は少なかったけれど、婚約者がいないイグル様とパルサ様はターゲットにされていた。


 そのため、私たちは会場の外に出て話すことになった。


「本当に申し訳ございません」

「ごめん、ルカ、リゼちゃん」


 パルサ様とイグル様が謝ってきたので、苦笑しつつも首を横に振る。


「いいえ。お2人共素敵な方ですから、女性も放っておけないんだと思います」


 イグル様の場合は、これがルル様にバレたら大変なことになりそうな気がするが、今はそのことは口にしないでおく。

 

 ルル様には、今日のことをわざわざ自分からは話さないようにしようとも思った。

 こんなことを知ったら不安になって泣いてしまうだろうから、言うとしても、イグル様と一緒にいる時しか無理だわ。


 会場の外に逃げてきた私たちだったけれど、見つかりやすい場所にいたからか、追いかけてきた女性たちにすぐに見つかってしまい、イグル様が囮になってくださることになった。


「お嬢さん方、今、パルサ様は忙しいんで、僕が代わりに話を聞くからこっちへ来てくれないかな」


 イグル様が女性たちをうまく誘導してくださったおかげで、私たちの周りに人はいなくなった。


 他校生が入ってきにくい校舎内に移動し、教室で話そうとしたけれど、校舎内には入れても教室は鍵がかかっていて無理だった。

 私たちのクラスの前の廊下で3人で円陣を組んで話すことになった。


「デフェルの件ですが、手紙に書けなかったわけではないのです。ただ、女性にはあまり聞かせたくなかった話だったので書きませんでした。逆に気にならせてしまったみたいで申し訳ございません」


 口を開いたパルサ様が私に向かって頭を下げた。


「いえ。気になさらないでください。ということは、やっぱり私は聞かないほうが良かったりしますか?」

「ずっと気になったままもどうかと思いますので話しますね」


 パルサ様は辺りを見回したあと、少しだけ前のめりになって小声で続ける。


「友人の両親になるんですが、人間以外の動物について研究しているという人たちがいるんです。デフェルはそこに預けることになりました」

「人間以外の動物を研究しているのに、人間のデフェルを預けるんですか?」


 不思議に思って聞いてみると、パルサ様は首を縦に振る。


「ええ。デフェルは性欲が強いようですから、野放しにしていては危険です」

「まさか、動物とさせようとしているんですか?」


 ルカ様が眉根を寄せてパルサ様を見た。


「動物を虐待するような研究はしていません。あと、デフェルが興味があるのは人間の女性です。動物のメスに迫られても怖いだけでしょうし、ちょうど良い罰になるのではないかと」

「どういうことでしょう?」

 

 ピンとこなくて尋ねてみると、パルサ様は苦笑する。


「実際に見てもらうほうが早いのかもしれません。もうすぐ学園の休暇期間に入りますし、よろしければ何日間か僕にいただけないでしょうか。新婚旅行の予行練習みたいな感じで僕の国に遊びに来ませんか?」

「新婚旅行?」


 私とルカ様が同時に聞き返すと、パルサ様はアルパカの時の柔らかい雰囲気を思い出させる笑顔を浮かべて頷く。


「はい。お二人がいつかご結婚なさった時に旅行に行かれるでしょう? その時の予行練習です」

「ふ、2人で出かけるってことですか!?」


 私が驚いて何も言えずにいると、ルカ様が耳を赤くして聞き返す。


「えーと、2人は婚約者同士なんですよね?」


 私たちの反応を見たパルサ様は不思議そうな顔をして首を傾げる。


「そうです」

「……はい。色々とあってそうしていただきました」


 ルカ様、私の順で頷くと、パルサ様は苦笑する。


「あの、僕の勝手な思い込みだったら申し訳ないんですが、お2人はとても仲が良いですし、2人でデートしたことくらいはあるのですよね?」

「デート!?」

「い、いえ! 2人でデートはありません!」


 買い物には行ったけれど、デートはない。


 聞き返すルカ様と首を何度も横に振る私を見て、パルサ様は苦笑いから呆れたような笑いになってしまった。


 その笑みは馬鹿にしているという感じではなくて、気の毒に思われているような感じだった。


「……そうですね。では、初デートが初旅行になったとしてもいいのではないかと思います」

「そんな段階をすっ飛ばしたことは出来ないでしょう!?」

「ルカ様」

「ルカで良いです」

「わかりました。じゃあ、ルカのことを友人だと思って言います。旅行に関してはご両親などの許可が必要ですから無理にとは言いません。ですが、リゼさんとデートくらいはしなさい」


 パルサ様に言われたルカ様は、少しだけ頬を染めて私を見つめた。


 デフェルについての話を聞きに来たはずなのに予想外の展開になってしまった私とルカ様は、しばらくの間、顔を見合わせたまま動きを止めてしまったのだった。

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