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【書籍発売中】こんなはずじゃなかった? それは残念でしたね〜私は自由きままに暮らしたい〜  作者: 風見ゆうみ
第五章

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38 招かれざる客の正体

「わかっているなら話が早いわ。フローゼル伯爵と取引できなくなってからつまらないのよ。これ以上、邪魔をしないでちょうだい」


 インコは可愛い声だけれど、強い口調でルカ様に言った。


「俺に脅しをかけても意味がないぞ」

「わかっているわ。というか、あなた、普通に話をしてくるけれど、私が本当に人間だって信じてくれてるの?」

「人間が動物に変身するなんて不可能だ」


 ルカ様はきっぱりと言った。

 これが普通の人の反応よね? 

 私だって、最初はルカ様達のことをそう思ったもの。


 レンジロ家は、ルカ様達と同じように動物になれるみたいだけれど、動物の姿から人間に戻ると、裸の状態というのは、ルカ様達と違っている。


 あと、記憶の件に関してはどうなるのかしら?

 聞き出せるものは聞き出したほうがいいわよね?


「あ、あの、インコって話せるって聞きますし、とても賢いインコなのではないでしょうか?」

「んなわけないでしょう! あなた、頭悪いの?」


 インコはイライラしているのか、羽をばたつかせて続ける。


「平凡なあなた達にはわからないかもしれないけれど、我が公爵家の人間は成人になるまでは、動物に変身できるのよ」

「……成人になるまで、ですか?」

「そうよ。本来なら大人になっても動物に変われるはずなのだけれど、お父様の代から無理になったのよ」


 インコは素直にペラペラと話をしてくれる。

 もしかして、罪を犯す前は動物に変身できるとかかしら?


 このインコは大きな罪を犯しそうな感じには見えないというか、言動から考えると無理だもの。


「あなた達、本当に驚かないわね。どうしてなの?」

「どういう理由か調べるから、とにかく捕まえる」


 そう言って、ルカ様がインコに向かって手を伸ばした時だった。


「いやああああっ!」


 インコは悲鳴を上げると、とまっていた場所から移動して外へ飛び出る。


「何なの、あなた、とても怖いわ! 本能的に怖い!」


 それはそうよね。

 だって、ルカ様は豹なんだもの。

 豹は肉食動物だし、インコにしてみれば怖い生き物よね。


「逃げるなよ。今日は警告だけか?」

「ええ、そうよ!」


 インコは近くにあった木の枝にとまって叫ぶ。


「私はインコよりも小さな動物になら変身できるの。何か悪いことをしようものなら、動物に変身して、この家の内情を暴いてやるわ!」

「悪いことしようとしてんのはそっちだろ。今回だって、お前が人間なら不法侵入だぞ。それに、どうしてそこまでフローゼル家に肩入れする?」

「お父様が取引しているからよ。って、ああ、私ったら、また色々と喋っちゃったわ。お父様に怒られちゃう」


 私とルカ様が窓際に立つと、インコは地面に降りて言葉を続ける。


「知られたくないことがあるのなら、大人しくして、きゃあああっ!」


 話している途中だったけれど、庭を散歩していたらしい猫がインコに飛びかかった。

 間一髪でインコは飛んで避けたけれど、猫はインコを追いかける。


「お、お、覚えてなさいよぉ!」


 インコは捨て台詞を吐いて飛んでいってしまった。


「逃してしまって良かったんですか?」

「良くはないだろうけど、逆に、ああいう馬鹿がウロウロしてくれるほうが助かる気がする」

「どういうことです?」

「自分から勝手にペラペラ喋ってくれるだろ? 新しい動きがあれば飛んできて教えてくれそうな気がする」

「そうかもしれませんが、一体、どういうことなんでしょう?」


 問いかけると、ルカ様は神経を集中させるように目を閉じた。


「知らない人間の匂いは感じられないから話すけど」


 ルカ様は窓を閉じて、私をソファーの方に促しながら続ける。


「正直、動物に変身できるのは、俺達だけじゃないだろうと思ってたのはある。だが、さっきのインコが言うには大人になってからは変身できないと言っていたし、元に戻る時は裸になると言ってた。ということは、俺達のものとは違う、もしくは」


 トントンと扉が叩かれる音がして、ルカ様が「どうぞ」と返事をすると、ライラック様とルル様が入ってきて、ライラック様が口を開く。


「悪事を働いているから、神の加護がなくなったのかもしれないわね」

「聞いておられたんですね」

「ええ。こっちも気になったけれど、門の前に変な動物がいたから、そっちに行ってたのよ。遅くなってごめんなさいね」

「変な動物?」


 ライラック様に聞き返すと、困ったような顔をして頷く。


「珍しい動物だったわ。何だか白くてもこもこしていて。ラクダを可愛くしたみたいな……」

「おかーさま、あれは、アルパカというんですのよ! とってもかわいかったです!」


 ルル様が目をキラキラさせて教えてくれた。


「アルパカ? よくわからねぇが、レンジロ家には息子と娘がいるから、インコが娘で、アルパカが息子といったところか」

「どうして動物の姿で来たんでしょうか?」

「インコの姿だと屋敷内に入りやすいからだろ」

「では、どうして、もう一人は目立つアルパカの姿で?」


 インコに関しては理解できるけれど、アルパカの姿で現れる理由がわからなかった。


「インコを俺達に接触させるために、人の意識をそらせようとしたか、もしくは、他国の公爵家がウロウロしていることを他の人間に知られたくなかったか」

「とにかく調べないといけないことがいっぱいだわ」


 ライラック様はこめかみを押さえて、大きく息を吐いた。


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