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【書籍発売中】こんなはずじゃなかった? それは残念でしたね〜私は自由きままに暮らしたい〜  作者: 風見ゆうみ
第五章

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37 ミカナの受入れ先

 ミカナが連行されていったあとは、痛みでうずくまっている伯父様をそのままにして、シーニャ達家族を連れてフローゼル邸を辞去した。

 後味が悪い気持ちのまま、ノルテッド邸に帰ると、住む家のないというシーニャ達の家族のために部屋を用意してほしいと、ライラック様がメイドに指示をした。

 ミカナがどうなるかについては、ライラック様やラビ様が調べてくださると仰ってくれたので、静かに待とうと思ったけれど、やっぱり気になってしまい、腕の中におさまっているラビ様に尋ねる。


「一体、どういうことなんでしょう。どうして、あんなに伯父は自信満々だったのでしょうか」

「わからないが、ミカナ嬢が少し気の毒だったね。味方から背中を撃たれたようなものだ」

「……はい。しかも、家族にですものね」


 さすがに私も見ていて辛かった。

 ただ、これでミカナが悪かったことをしたのだと反省してくれたら良いなとも思う。


「未遂ですから、釈放はされますよね?」

「……と思うけれど、その後がどうなるか……」

「どういうことでしょうか? 私が貴族だから、重い罪になるのですか?」

「それもあるけれど、フローゼル卿の言っていた後ろ盾が彼女に楽をさせないかもしれないよ」


 ラビ様の言う通り、数日後にミカナの処分が決まり、彼女は国外追放となった。


 しかも、追放される国は決まっており、フローゼル家と繋がりがあると思われる公爵家のある国に送られることになった。


 それを教えてくれたのはルカ様だった。


 学園が休みの日、ルカ様に話があると談話室に呼び出されて、その話を聞いたあとは、なんと言えば良いのかわからなかった。


「ミカナは公爵家に保護されるのでしょうか? それとも……?」

「そこは今、調べてるところだ。たぶん、保護されると思う。リゼの伯父さんだし、少しは良心があると思いたいしな」

「……ありがとうございます」


 お礼を言ったと同時に、開けていた窓から爽やかな風が流れ込んできた。


 私の髪の一部がふわりと舞って、横に座っているルカ様の頬に触れた。


「リゼ」


 私の髪を優しく手にとって、ルカ様が名を呼んだ。


「はい……」


 ルカ様の金色の瞳が私の瞳を捉えたのがわかり、心臓がどきりと跳ねた。


「ごめん」


 そう言って、ルカ様が私を引き寄せて抱きしめた。


「ル、ルカ様!?」


 動揺していると、ルカ様が私の耳元で囁く。


「黄色いインコが入ってきたが、たぶん人間だ。知られたくない話はしないでくれ」

「……はい」


 話の内容も大変なのだけれど、私は抱きしめられていることへの動揺のほうがおさまらない。


 ゆっくりとルカ様は私から身を離し、もう一度、謝ってくる。


「ごめん」

「あ、謝らないでください! 婚約者ですから、別におかしいことじゃないですし……」


 恥ずかしさで目が潤んでしまい、そんな情けない顔でルカ様を上目遣いで見ると、ルカ様は「――っ」と声にならない声を上げた。


 動揺している気持ちを何とか落ち着かせながら、インコの姿を探すと、窓際のカーテンレールの上に、全体的に黄色だけれど、頬らしきあたりは丸くて赤い色をしたインコがとまっていた。


「わあ、可愛い!」


 笑顔で立ち上がり、警戒しつつも、インコに近付く素振りを見せると、インコは毛を逆立てて威嚇してくる。


「チカヅクナ! フローゼルケニ、チカヅクナ」

「リゼ」


 ルカ様が私の腕を引っ張り、自分の後ろにまわさせると、インコに話しかける。


「普通の鳥じゃねぇな?」

「……」


 少しの沈黙の後、インコは先程と声色を変えて答える。


「鳥じゃなかったら、なんだって言うの?」

「さあな……」


 返ってきた声は、とても可愛らしく耳によく通る声だった。


「まあ、いいわ。どうせ、私は人間で鳥に変身できるといっても信用しないでしょう? 人間の姿に戻ってもいいけど、服を着ていない状態で戻るから、さすがに殿方の前では無理だわ。リゼさんと二人にしてくれない?」

「何のことを言ってるのかわからねぇけど、リゼと二人にはさせない」

「……ナイト気取り? それなら警告しておくわ。これ以上、フローゼル家に関与しないで。あ、リゼさんとの養子縁組はそのままにしておいてあげるから安心して?」


 インコはふふふと笑うと、羽を大きく広げて、言葉を続ける。


「ミカナのことも心配しなくていいわ。あの子、生意気だから、私が根性を叩き直すわ。奴隷にしてあげるの。だって、彼女もリゼさんにそういう扱いをしようとしていたのだから、文句は言えないわよね?」


 インコはキャッキャッと笑い、再度、警告してくる。


「フローゼル家に近付かないで。下手に動くようなら、ミカナがどうなるかわからないわよ?」

「俺はミカナ嬢がどうなってもかまわないが?」

「ねえ、ルカ様? リゼさんが大事なら、そのよく喋る口を閉じておいたほうが良くってよ? リゼさんを邪魔者扱いしちゃうかも。彼女に危害を加えられたくないでしょう?」

「……ランクロ国のレンジロ家の人間か」


 ルカ様が口にしたのは、ミカナを保護するかもしれないと話をしていた公爵家の名前だった。




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