11月30日 花嫁奪還大作戦その16 気まぐれな水炎フュージョン!そして指輪は進化する!?
PM3:43
「ふゅーじょーん♪」
「うわ!!」
光ながら浮遊するユキちゃんの様子に手をこまねいていると、
どこか変に明るい声が聞こえてきた。
その瞬間、ユキちゃんから発せられる赤い光が一段と強まり、
俺の目を眩ませたのだった。
「マジで一体何が・・・」
視界が奪われ、
状況が十分に理解できない中、
何とか目を瞬かせながら開けていくと、
そこには先ほどの魔女っ子スタイルから一変、
バザーの日にベルさんとお揃いで着ていたゴスロリ
スタイルに「変身」を果たしたユキちゃんの姿がそこにあったのだ!
ただし、ドレスの色はその時の白色ではなく、
情熱的な真紅と涼やかなアクアブルーが交差するビビットな色合いであり、
しかもそれを着たユキちゃんは、
「変身かんりょー♪♪」
とか言いながら横ピースを決めている始末。
その姿は実にコケティッシュで先ほどまで慌てていた賀川さんや森の皆も
呆然としながら半ば見入ってしまっているけど、
ユキちゃん、君ってそんな高飛車なキャラだったっけ!?
「(ちょ、なにしてるんスか、水羽様!?)」
「(あ~、りずは気づいちゃった?
みんな楽しそうだったから、思わず出てきちゃったー♪
どう~、この『こすちゅーむ』?
いめーじはベルとわたしの『ふゅーじょーん』ってかんじよ~)」
「(『フュージョン』って、何でそんなネタ知ってるんスか・・・
だいたいみんな見てるんスから、そんな大っぴらに
『力』を使ったらマズいっスよ!?)」
「(りずはしんぱいしょーねー。
これも『いりゅーじょん』の一環ってことでだいじょうぶよー♪
ほらほら、あんまりこそこそはなしてたら、
ぎゃくに不審におもわれるよ~。
ここからは任せておいてー♪♪)」
「(・・・本当に大丈夫っスか?)」
「(かぁみぃを信じなさ~い♪)」
不思議に思う俺たちをしり目に、
すぐさまユキちゃんに駆け寄っていったリズさんは、
何やらモゴモゴと相談していたものの、
その後俺たちと同様に事情が飲み込めていない感じの賀川さんに声をかけて、
改めて持ち場に戻っていった。
どうやらもう一度イリュージョンが再開されるようである。
「は~い、『さぷらいず』の変身しーん、楽しんでもらえたかな~♪
それでは、いりゅーじょん『えくすとらすてーじ』、いっくよ~♪♪」
どうやら先ほどのドタバタはサプライズの演出であったようだ。
ユキちゃんを包んだ赤い光に
ベルさんやリズさんとの修行を思い出して少し不安になっていたが、
いらぬ心配だったみたいだ。
「ねえ、わたる~、指輪はもっとごーじゃすなほうがいいよね?」
「わ、わたる!!いや、まあ、元々は地金をプラチナにする予定だったんですけど、
司さんが『指輪よりもお腹の子達のためにお金をかけよう』って言うので、
金製に変えたとかはありましたが・・・」
いきなり呼び捨てにされて、ビックリしたまま指輪を巡るエピソードを話してしまったが、
一体どうするつもりなのだろう?
いくらなんでも材質そのものとかはどんな手品を使おうがどうしようもないと思うんだけど・・・
「なるほど、『れんきんじゅつ』か~。
それもおもしろいかもー♪」
「みず……ユキちゃん、あんまり無理はしたらダメっスよ!!」
「巫女はだーいじょーぶ。
そうねぇ~しんぱいなら、いそうろうか、りずが、チューして、かしてくれる?」
「「ええ!!?」」
「嘘よー♪
べるの時みたいに『ちゆ』じゃないから、巫女のいのちは大して削らなくていいし、
宝石に込められたべるの『まりょく』も使うから。
宝石は『しゅぎょう』のときも使ったやつだからあんしんでしょ~。
じゃあ、さっそく♪♪」
リズさん達を半ばおちょくるようにしながら言いくるめると、
ユキちゃんは先ほど文字を浮かび上がらせた指輪を両手に載せて、
それに
「はああーー」
っと息を吹きかけ始めた。
それと同時にまたもや首から下げた宝石から赤い光が煌めいたかと思うと、
今度は指輪の周りを青い光が包み込み、
そのまま玉となって指輪を取り込んでしまった!!
「ふー、がんばった、がんばった。
はい、落とさないように、ちゃんと持っててね~。」
「え、いや、何ですか、これ!?」
ユキちゃんから指輪の入った水晶玉みたいなものを手渡されたはいいが、
正直どういうことか意味が分からなかった。
周りの紅葉が映り込んだ水晶玉の様子は非常に綺麗ではあるけど、
これどうやって中身の指輪を取り出せばいいんだろうか?
「ちゃんとときがくればとりだせるようになるから、
安心してね~
さて、そろそろいい時間だし、
『はこびや』さんに迎えに来てもらいましょうか~
かも~ん、おふたりさ~ん♪」
俺の疑問を読み取ったかのように
ユキちゃんは問題ないとどこか妖艶に微笑んだ。
言っていること自体は無茶苦茶なはずなのに、
不思議と納得させられてしまうことに首をかしげていると、
ドドドドドド!
遠くから何かが爆音を立てながら、
こちらに近づいてくる気配が感じられる。
あれ、ずいぶん前にもこんなことがあったような気がするんだけど・・・
何でだろう、スゲー、嫌な予感がする。
「はい、あとこの宝石も『よりしろ』に出来るから、
念のため一緒にもっていってー。
二つとも落としちゃダメだけど、
その前に目的地まで振り落とされないように気を付けてね~、
ばいば~~い♪♪
・・・あれ、私、何してたんでしょうか?
そもそも、この格好は一体!?」
俺の不安などお構いなしに、
ユキちゃんは水晶玉に続いて首からかけていた宝石付きの
ネックレレスも俺に渡してきた。
それと同時にユキちゃんから先ほどまでの
おかしな気高さや厳粛さが消え、
いつもの緩さと自分の服装への羞恥心が戻ったようなのだが、
その辺りの真相をゆっくりと確かめる時間は俺に残っていなかった。
むぉっふぉぉおおおお!!
かつてユキちゃんの命を救った森の祝福。
それはどうやらまだまだ健在のようであった。
シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。
他の作品も以下のURLや「うろな町作品一覧」リンクからどうぞ♪
遅くなってしまいましたが、指輪話後半です。
とはいえこのネタ、裏結婚式最後まで続いていきますので、
どうぞお楽しみに。
桜月りまさんの「うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話」より、
ユキちゃん、賀川さんを引き続きお借りすると共に水羽さんにも
登場いただいております。
水羽さんを書くのは初めてでちゃんと書けたかは不安ではありますが、
いつもとは違う意味で周りを翻弄する彼女が可愛かったです。
前回に引き続き、チェックいただき、
そして綺麗な挿絵も本当にありがとうございました。
また朝陽真夜さんの「悪魔で、天使ですから。inうろな町」よりリズさんを引き続きお借りしていて、ベルさんの話題も出させていただいております。
今回もチェックありがとうございました。
タイトルはそちらの「水炎対話」から取らせていたただきましたが、
よろしかったでしょうか?
そちらでの水羽さんと堕天使さん達の絡みが楽しくてこのお話を思いついたので、
皆様下のリンクからそちらも是非読んでみてください。
こちらの修行編での絡みについては
「10月20日その1 修行編その7 必殺技完成間近!あとはお願い、お犬様!!」
をどうぞ。
最後突撃してきたのは一体誰なのか。
気になった方はこちらのユキちゃん救出話
「6月17日 その5 森の助け」も読み返していただけると嬉しいです。
零崎虚識さん、帰りはよろしくお願いします。
コラボ作品URL
うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話
http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/
悪魔で、天使ですから。inうろな町
http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/
(ベルさん、リズさんと水羽さんのやり取り)
http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/41/
http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/42/




