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面倒くさい少女たち  作者: 深井陽介
第7話 命短し、恋せよ偶像(アイドル)
38/48

おまけ 劇中曲についてのいろいろ

第七章完結からちょうど一年という節目なので、劇中に登場した5つの楽曲の、歌詞と解説を載せたいと思います。本編で触れなかった裏設定もあります。


『Piece of Flare』


ここから世界を作り上げていこう!


さあ時は満ちたよ 隠せない思い

この両手に抱えて

準備は整ったよ はじまりの合図

号砲を打ち鳴らして Ready steady go!


きっと一人ひとりが太陽のカケラ

かき集めた夢を繋いで あの場所へ

いつか掴み取るから…!


君を見つめるだけで 心燃え上がるよ

言葉にならないほどに We're alive now!

叫べ! 思いの丈を 感じるままに強く

世界はまだ完成されてないから

ここから飛び立つんだ Burning heart


もう迷ってらんないよ 過ぎ去ったことは

思い切って捨てちゃって!

全身にみなぎってる 情熱と強い意志

手を取り合って未来めがけて Here we go!


きっと一人だったら気づけなかっただろう

数え切れぬナミダ越えて みんなとなら

いつかたどり着けるさ…!


君がここにいるから 心輝けるんだ

言葉にならないけれど We're loving now!

歌おう! 果てない夢を たとえ小さくたって

世界にただひとつしかないから

ここから踏み出すんだ Shining heart


ぼくらを待ち受ける世界は ぼくらが紡いできた果てに

かけがえのない大切なものがあるから

一緒に行こうよ…! 笑顔が溢れるあの場所へと…!


君がここにいるから ぼくはここにいるんだ

熱い思いを目いっぱい届けたい!


君を見つめるだけで 心燃え上がるよ

言葉にならないほどに We're alive now!

叫べ! 思いの丈を 感じるままに強く

世界はまだ完成されてないから

ここから飛び立つんだ Burning heart


ぼくらで生み出すんだ Shining world


※解説

 作中では、マテリエンヌのメジャーデビュー曲という設定です。女性アイドルのデビュー曲っぽい、明るくはじけるような雰囲気をイメージしています。マテリエンヌというグループが、世界を構成する『四大元素』をモチーフにしているので、『この四人で世界を作る』というコンセプトで、デビュー曲らしく壮大な世界観を詞にしてみました。個人的なこだわりは、サビにおける『君を』『心』『言葉』『叫べ』『感じ』『世界』を同じように強調して歌えるようにしたところです。特徴的なメロディーがあると、ライブでも盛り上がりそうだと(勝手に)思った次第です。また、全体的に熱量を感じる内容なので、『火』がイメージ属性である萬田サラに、ソロパートが多く与えられています。他の『地』『水』『風』がそれぞれ誰に当てはまるのか、皆さんは分かりますか?


  * * *


『パレットを開いて』


The Palette of the Rainbow...


Sky Blue あの日見た景色は いつまでも忘れずに

泣いたり笑ったりしたけど ずっと残したいと決めた


Fire Red 色とりどりの世界に 僕たちは生きていて

鮮やかな思い出を 心の中に閉じこめた


流れるメロディー その色が変わっていく


赤 白 黄色 青の世界に 新しいページが混じっても

素敵な未来があるように 新しい物語を作ろう

黒と緑と 橙色に 少し薄い紫色を添えて

次のページを染めていこう 心のパレットを さあ開いて


Snow White 繰り返した日々が 遥か遠ざかっても

無意味なものはひとつもない 今なら信じられるはず


Leaf Green 小さな生命の種が 太陽に照らされて

果てしない地平線 大きな夢が始まるよ


響くストーリー この胸を揺らすように


赤 白 黄色 青の世界が まだ知らない色を見つけても

途切れてしまわないように 新しい名前をつけていこう

桃色 茶色 藍色もきっと 大事な思い出を作るだろう

次のページが待っているから 心のパレットを いま開いて


あの日の僕は 無色の世界 空白のページを見つめてた

あなたが受け止めてくれたから 自分の色を見つけたんだ


黒と緑と 橙色に まだ知らない色が混じったら

素敵な未来があるように 新しい夢を描いていこう

赤 白 黄色 青の世界が 無数の色で満たされていく

次のページを染める色は 心のパレットに きっとあるから


あなたのパレットを さあ開いて


※解説

 新しいメンバー、中江輝美が加入して、色々と戸惑ったり悩んだりしている状況に、希望を与えるような曲が欲しいと思って作りました。歌詞中に英語で登場する色の名前は、全て実在するもので、初期メンバー四人のイメージ属性に近いものを選んでいます。四人で作った世界に、テルという新しい色が入ってきても、心を開いて受け入れよう、というメッセージを込めています。今、世界のあちこちで分断の潮流がありますが、そういう時代にあって、実は普遍的なメッセージになるのではないでしょうか。この世界は無数の色で出来ていること、知らない色を受け入れる素地は一人ひとりの心のなかにあること、それを感じ取ってくれたらいいな、なんて思います。ちなみに、初期メンバー四人の属性は『四大元素』ですが、テルの属性は何だと思いますか?


  * * *


『Bloody Jewel』


今 ざわめいた胸の中 凍てつく予感を抱えて

ほんの微かな傷さえも 恐れる日々過ごした


誰もが醜く生まれながら 値踏みされるこの世界で

美しく磨かれるチャンスを奪い合うものだろう


ああ――貴方にだけは 気づいてほしい

私の中に流れる 唯一無二の輝きの根源を


揺らめく心はルビーのように 寂しく煌めいて

誰かに守られる時を待っている

貴方の指の中に 包まれるだけでいい

その声に その笑顔に照らされて 私は輝きを放つ


今 掘り出した夢にさえ ひび割れる未来があって

赤と青のどちらでもない濁りある私


少しずつ心食らうような (ひず)みが愛を圧し潰す

選ばれず砕け散る運命から逃れ続けてきた


ああ――貴方がそっと 包み込むから

私の熱いハートは 冷たく光る石と化してしまうの


溢れる想いはルビーのように 深き色をまとう

ビロードの温もりはもういらないから

貴方の指の中で 粉々になってもいい

輝きも 愛しさも刻むように 心を赤い血で染めて


ああ――声も出せないまま 削られ磨かれる私たち

1%の澱みに値打ちを決められていく

ガラスの奥に閉じ込められた私に向けた

その指先に全てを委ねたい そう――今


揺らめく心はルビーのように 寂しく煌めいて

誰かに守られる時を待っている

貴方の指の中に 包まれるだけでいい

その声に その笑顔に照らされて 私は輝きを放つ


ああ――愛おしき人よ どうかその指の中で

体中を満たす輝きを感じてください このままずっと――


※解説

 今作の劇中曲で、唯一マテリエンヌ以外のグループの曲で、アイドルらしからぬアダルトな雰囲気漂う作品になっています。作中で曲名はついに出ませんでしたが、ちゃんと『Bloody Jewel』というタイトルがありました。文字通りルビーを題材にして、恋に翻弄される女性の気持ちを宝石になぞらえた内容となっています。サビの『その笑顔に照らされて私は輝きを放つ』とは、ルビーが持つ、光に反応して自ら赤く光る性質のことで、その性質をもたらすのがCメロにある『1%の澱み』つまり1%の不純物クロムです。この詞を書いた当時、宝石を題材にした某アニメの影響で、一時的に宝石に興味を持っていて、そこからパッと浮かんだフレーズを連ねました。

 実はこの5曲の中で、一番先に書いた曲であり、その時はマテリエンヌに歌わせるつもりでいました。いざ第3話の内容を考える段階になって、これはマテリエンヌ以外のグループに歌わせた方がいいと思い直し、同じ事務所の先輩グループの曲にしようとしましたが、最終的には鬼龍院氏を本筋に関わらせるために、彼女が所属していたグループの曲になりました。


  * * *


『snowlike』


小さな雪がふわりと舞い降りて 素肌に沁みる

今年はやけに遅い気がした


暮れなずむ空はやがて 光を失うだろう

かじかむ言葉は雪へと変わっていく


誰の手にも触れられず すり抜けた雪は

アスファルトにつかまって 透き通るように…


空に浮かんだこの気持ちは

町中に降り注ぎ

白く淡く溶けていく

誰も気づかぬまま


小さな幸せが胸に宿って 心をつつむ

窓の向こうに降り積もる雪を眺めてる


伝えられず滲んでく ほどけた結晶

凍てついた心を探し さまよっている…


忘れられない悲しみだけ

この空に漂って

遠く高く消えていく

この手は届かない


空に浮かんだこの気持ちは

町中に降り注ぎ

白く淡く溶けていく

誰かの手の中で きっと…


忘れられない悲しみだけ

溶かしてくれるなら

遠く高く消えていく

誰も気づかぬまま


※解説

 雪を題材にした切ないバラード曲として書いています。snowlikeは『雪のような』という意味の造語なので、基本的に辞書には載っていないと思います。作中世界は冬の時期を間近にしている設定なので、冬の曲もあったらいいと思って作りました。ちなみにこの曲は、マテリエンヌがデビュー前から持っていた曲のひとつで、2枚目のシングルにカップリングとして収録されており、CDバージョンの歌割りは作中と違って雲塚ネムのソロが多い、という裏設定があります。テルはラジオで偶然この曲を耳にして、それ以来マテリエンヌに憧れを持つようになったのです。季節感があるので、第5話の年末ライブでも披露されているんですが、作中には曲名すら出ていませんでしたね……。


  * * *


『アイ・コトバ』


気がついたら 光の中 わたしは笑っていた

ふれ合う指先から 伝わる温もり(忘れられない)

生まれたとき 見つけた道 それぞれ違っていた

いつの間にか重なっていたんだ このステージで


泣きたくて つらくて立ち上がれないときも

そばにいてくれた…

大好きなのに素直になれなかった それでも


いつかこの日々 思い出したら どんなにくじけそうな時でも

笑いながら支えてくれる そんな言葉に出会えるでしょう

わたしもきっと この瞬間を 心から愛していけるんだよ

数え切れない優しさに包まれたこと 気づけたから


思いどおりに できないのを 悔やんでしまっていた

歪に響くメロディー 耳を塞いでた(ひとりぼっちで)

ぶつかり合い すれ違って 心が離れてても

ただひとつの大事な宝物を 見つけたんだ


会いたくて 震えておびえそうなこの手を

握りしめたのは…

どんな時だってわたしを信じていた 大切なひとの…


ずっと閉じ込めてた 心をつなぐひとつの想い

伝えきれないから 今ここで

ありふれた音にのせて届けたい アイノコトバ


いつかわたしも この世界から 愛されることを知るでしょう

だから今ここに立っている 今のすべてを愛したいから

わたしの夢は つながり合って みんなの夢へと変わっていく

いつまでもどこまでも抱き続けたい ずっと一緒に…


いつかこの日を 思い出したら どんなに果てのない旅路でも

笑顔で駆け抜けていけるよ 君の言葉がそばにあるから

わたしもきっと この瞬間を 心から愛していけるんだよ

数え切れない優しさに包まれたこと 気づいたんだ


いつかわたしも 誰かのために 優しさを分かち合えるなら

迷うことなく伝えられる気がしたんだ アイノコトバ


※解説

 主人公の野村チカが作詞した楽曲です。……という設定です、が、どうも歌詞のセンスが他の4曲と似ている気がします。一応、作中では5曲とも違う人物が書いている設定ですが、実際にはぜんぶ一人の人間が書いているわけですから、そりゃあ似ていて当然ですけど。

 作中におけるチカの心情や経験が、色濃く反映されています。この歌詞を書いたのは、第1話を執筆する前だったのですが、その時から作中展開はこんな感じにしようと決めていたので、その展開をイメージしてみたら意外とすらすら書けました。チカ、およびマテリエンヌから、支えてくれるすべての人たちに向けた、感謝と愛情を込めた内容です。自然とチカのソロパートが多くなっています。

 余談ですが、この出来事をきっかけに、チカはマテリエンヌの楽曲のいくつかで作詞を手掛けるようになり、数年後にはネムが作曲、サラが振り付けをするようになります。空知フミはまあ、抜群のトークスキルがあるので、バラエティとかでじゃんじゃん顔を売っていくでしょう。とりあえずマテリエンヌのアイドルとしての活躍は、今後も続いていきます。


第八章の更新が一向に進まないのに、これで時間を稼ぐというのは、まさに正しい意味で姑息ですが、一年経っても、この面倒くさくてどこか憎めない少女たちのことを、忘れないでほしいと思います。ではまた。

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