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腐血姫の最強譚 〜自称普通の少女は、VRMMOで無双する、かもしれない〜  作者: おまめあずき
3 世界歴史書(ワールドレコード)クエスト
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「シ〜ルちゃん♥やぁっと会えた〜〜!」

 嬉しそうに腕を広げて飛びかかってくるチャコ。

 ……見え見えだよ馬鹿。


―――ガキンッッ


 次の瞬間、とっさに血で作り出した私の刀とチャコの戦斧がぶつかり合う。

 力は向こうのほうが上。なら、受け流す。

 私が力を受け流すとチャコの体勢が崩れ、前のめりになって倒れてくる。

 すれ違いざまに刀をチャコの首に振り下ろす。


 刀がチャコの身体に触れる直前、チャコが体勢を低くして前方へ加速し、完全にすり抜ける。

 私はそこまで予想済みで刀を切り返し、一閃。


「―――チッ」

 防がれた。

 というか、いつの間にか現れた黒い羽根で飛ばれた。


「さっきまでなかったはずだけど、どういう原理なのかな。」

「あっっははは♥ たーのしー! ……で・も・ね?

 私が用があるのはね、シルちゃんじゃないんだよなぁ…。ざんねぇん…。」

 明らかに落ち込んだ様子で空中に留まるチャコ。

 私じゃない、ねぇ。


「【火の弓 - (ファイヤーア)複合(ロー・ウィ) - 風の弓(ンドアロー)】。」

「あは。」

 リツキさんが空中のチャコに複合魔法を放つ。

 チャコが一振りした戦斧に吹き飛ばされた魔法を見たリツキさんは「……やっぱりか」と呟く。


「えへ♥

 ワタシは…キミに用があったんだよ、()()()()()。」

「は?」

 チャコの放つ雰囲気が一変し、先程までの軽いふざけた雰囲気が重苦しい敵意に変わる。

 チャコがリツキさんに向けたのは明らかな殺意。


「…どういう…って、あぁ…。そういうことか…?」

「あっはは、気がついたぁ?」

 え、話が見えないのですが。

 そこの二人で通じ合ってる感じの雰囲気出されるとなんか疎外感が…。って、言う余裕は、ある。正直。


―――だってチャコ、リツキさんより弱いし?


「シ・ル・ちゃ〜ん?? なんか嫌ぁなこと考えなかったぁ?」

「ん? 単純にリツキさんのほうがチャコより強いかなぁって?」

「ちょっ――それ逆効果…!」

 リツキさんが何やら慌てているが、事実だししょうがないよね!


「ふぅ〜〜〜ん? へぇ〜〜〜? ふぅ〜〜〜ん??」

 どこか暗いオーラを纏ったような様子のチャコ。

 あれ、怒った?


「そっかぁ〜〜〜〜〜〜? シルちゃんが〜、私と遊んでくれなくなったの〜〜〜〜……オマエのせいか…!!!!」

「……いや、どっちかっていうとチャコが暴走しすぎて―――」

「アヌビスウゥゥ。」

 私の言葉を遮って、ブチギレたチャコが地の底を這いずるような低い声を出す。


「ア・ヌ・ビ・スゥ?」

 一向に現れないその人物に、もう一度チャコが声をかける。

 でてこい、と圧をかけるように。

 物陰から、一人の青年が出てくる。


 輝くような銀髪に、金の瞳…そして褐色肌。髪と同色の尻尾と耳。

 その長身痩躯を包むのは黒革の軍服。

 世界ランク二位。

 異名は…【アヌビス】。


「……はいはい、なんですか…。」

 とても嫌そうな顔をして出てきた彼は苦労人のオーラを纏っている。

 うん、とってもよくわかるよその気持ち。…私、チャコにずーーーーーーーーーっと振り回されてるしね。

 …敵じゃなかったら語り合いたいところだけれども。


「遅い。

 私が、コッチの竜人やる。嫌だけどシルちゃんの相手よろしく。」

 ついにリツキさんの名前呼ばなくなったなコイツ。

「はぁ!? ………はぁ。わかりましたよ。」

 関わりたくなかったのに、と呟く【アヌビス】。


「よろしくね〜♥ …じゃ、いこっか〜〜」

 そんな【アヌビス】の様子に微塵も気に留めず、チャコはリツキさんに向けて戦斧を振りかぶる。

 瞬きの間にリツキさんに接近したチャコはそのまま戦斧を振る。

「ッ―――」

 リツキさんも流石の反応速度で衝撃を魔法で受けるが、衝撃が強すぎたのか、自ら吹き飛ばされに行く。

 衝撃のままに開けっ放しだった扉から館の外へと吹っ飛んでいく。


「待って待て〜♥」

 そう言ってリツキさんを追いかけていったチャコにもうこちらの様子など見えてはいない。


「…あー、なんというか、うちのチャコが迷惑かけてますねぇ…。」

 チャコの姿が見えなくなった後、そう言って頭を下げる。

「いえ…というか、リツキさんと一緒だったんですね、[狂眼(きょうがん)]さん。」

「懐かしい名前ですね。」

 随分と昔のゲームの時の異名を出してきたなぁ…。


「そうですか? まだ、二、三年前のような気もしますが…。

 …というか、まだあの名前使ってたんですね、シルフィードさん。」

 そういえば、この名前使い出したの【アヌビス】に会った頃だっけ?

「キミこそ、まだあの名前なの?」

「そうですよ。」


「そっか。アスラン、久しぶり。」

「はい、お久しぶりです。

 このまま雑談に入っても良いんですけど、正直もう限界なんですよ。


 …戦い(やり)ましょうか」

―――この戦闘狂め。

 そう言って好戦的に笑う【アヌビス】は、前にあったときのままのような感じがした。


シルフィード、実は前に【アヌビス】とは普通に一緒に遊んでました。

【虎】とか[コントローラー]とは面識はありますが、それだけですね。


誤字脱字などがありましたら、遠慮なく誤字報告をお願いいたします。

また、感想なども遠慮なくお願いいたします。

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