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腐血姫の最強譚 〜自称普通の少女は、VRMMOで無双する、かもしれない〜  作者: おまめあずき
3 世界歴史書(ワールドレコード)クエスト
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「シルフィードさーん」

「……はい……なんですか……?」

 種族的に教会探索はできなくなってしまった私は、リツキさんが一人探索してくれているのを良いことにHPの回復に勤しんでいた。数秒だけだったが、協会に入ったダメージはすごく強烈というかなんというか。

 教会の探索をリツキさん一人に押し付けてしまったのは本当に申し訳ない。

 どうにかして入れないかとちょっと試しただけで瀕死である。話にもならないとはこのことであろう。


「ちょっと外壁に妙な部分がないか見てくれないか。」

「はい!!」

 ぴょこんと、座り込んでいた姿勢から立ち上がると、血で日傘をつくり、歩き出す。

 うーん、特に怪しげな部分はないかなぁ…。……あれ?

 私は傘を持ったままコウモリのような羽を広げ(姿勢をとりやすくするため)、浮かび上がる。

「魔法陣?」

 一つのレンガに、魔法陣が刻み込まれていた。

 インクの色が光に反射して見えづらくなっていたが、そこにはしっかりと複雑な魔法陣があった。


「リツキさーん!! 妙な、というか魔法陣見つけましたけど、コレはどういうことですかー!」

 声を張り上げ、教会の中にいる聞こえるように大声を出す。

 扉のところまで戻ればよかったのに…といってから気がついて、恥ずかしくなる。


「あったのか! よかった!

 …その魔法陣に、魔力を流してみてくれないか!」

「はい! やってみます!」

 私は魔法陣に魔力を流そうと、魔法陣に向き直る。

 そこで、私ははたと気づく。

 あれ…? 魔法陣に魔力を流すって、なんだろう?

 と。


 これまで使ってきた魔法は特に魔力を流す、と意識しなくても使えていたため、どうやって魔法陣に魔力を流すのかが理解できない。

 というか、まずまず魔力って何??

 MP、つまりマジックポイントのことをそう呼称することは知っているけれど、実態のないものなのに。


 魔法は、名称を唱えることでMPは自動的に持っていかれる。

 持っていかれる、というのはステータス上のもので、実際にそのような体感はない。

 え、じゃあどうすればいいの??


 ………。

 …………。


 へ、ヘルプーッ!!

 私はステータスを出し、端にあるヘルプマークを連打する。

 現れた文字列をスクロールしていき、魔力と書かれた項目を探し出す。

「あった!」

 えーっと、なになに?

____________________

 魔力とは、この世界における絶対的エネル

ギーである。それらは全て、MPという形で

数値化されており、それを目安にして使わ

れる。

 ※MP管理をしっかりしましょう☆

____________________

「使えな!!!!」

 全く使えないんですが…?

 うぅ…。

 ここまで完全にお荷物になってたのにまたリツキさんに迷惑かける羽目になるとは……。


―――“クスクス…”


「え…?」


―――“面白い子。…【無辜ノ(イノセント・)不死者ノ(イモータル)鎮魂歌(レクイエム)】は発動できるのに、魔力を動かせないなんて。ふふっ。”


 女性の、声。

 面白そうに、おかしそうに、その声は言う。

 そよ風のように小さな声なのに、どこかほっとする、自身に満ち溢れた声。


―――“一回だけよ? 手伝ってあげましょう。”


 ふわ、と操られているように私の手は動く。

「え、ぁっ!」

 何かが、膨らむ感触。

 ()()は血のように私の体を巡っていて、まるで、そう。

 あるはずのない魔力が、あるのかのように。


―――“解錠”


 私の()()が膨らみ、魔法陣に注がれるのがわかる。

 それとともに、鈴なりのような音を立てて壁にあった魔法陣が起動する。

「きゃぁあああ!?」

 魔法陣から溢れ出した光が、まるで私を捕らえるかのように膨らんでいる。


―――“ふふふ…また、会いましょう? 可愛い城主さん?”


「えっ」


 光が私を包み込み、その女性の声もなくなっていく。


―――“願わくば、貴方が私達のもとにたどり着けますように”


 私は、視界一面を眩しい光に包み込まれて―――消えた。


  ***


「…ルヴィ様。よろしかったのですか、助けて。」

 血のように真っ赤な大地に佇む二人の男女のうち、執事のような燕尾服を着た男性の方が、赤い、赤い髪の女性に話しかける。

「ふふふ、ヴィー。その呼び方早めて頂戴?」

 楽しそうに笑うその女性は、仮面に隠れたその紅蓮の瞳を細めながら答えた。


「………。ルヴィ。」

「よろしい。……助けて良かったのか、だったわよね。」

 ええ、というようにうなずく男性。


「良いのよ、このくらいの干渉なら。」

「ルヴィ!」

 男性は思わず、といった様子で叫ぶ。


「…気づかないわよ、あの子達は。

 今は地中のずーっと、ずーーっと奥深くで眠りについているのだから。」

「あの子達に気づかれなかったとしても、あの偽物の神に気づかれるかもしれないでしょう!」

「心配性ね、ヴィーったら。大丈夫。

 これでも、()()なのよ?」

「今はただの吸血鬼でしょう!」

「貴方が言うの? ヴィー。」

「ゔ…っ!」

 そこで口論では勝てない、と悟ったのか、男性は口をつぐみ、女性を心配そうな目で見る。


「……。」

「……………。」

「………。」


「…………わかったわ。これからは大人しくしてるから!」

 男性の視線に根負けし、女性が観念したように目をつむる。

「…わかってくれれば良いんだよ、わかってくれればな。」

 やれやれ、というふうに言う男性。


「なっ! あんたねぇ!!」

 また口論を始めた二人の目元には、よく見覚えのあるそれぞれ黒と赤い薔薇の装飾がついた仮面が付けられていた。


最後に出てきた二人組……。

だ、誰なんだろうなー(棒)


誤字脱字などがありましたら、遠慮なく誤字報告をお願いいたします。

また、感想なども遠慮なくお願いいたします。

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