紅葉の発露
「おっぱいが揉みたいわ」
「・・・・」
私の発言に親友の紫雨が、ジト目で返す。
「おっぱいが揉みたいわ」
もう一度言う。
「・・・・」
「ちょっと、揉ま・・」
「ダメに決まってるじゃない。」
私の発言を遮るように紫雨が拒絶を口にした。
男体化の公表から1週間が経過した。漸く女子達に囲まれる頻度も減ってきた。今は周りには紫雨以外の人間はいない。まぁ、今週を乗り切れば夏休みだ、クラスメイトの関心は夏の学習計画とどこに遊びに行くかで一杯なのだろう。
「残念ね。」
紫雨の拒絶に心にもない台詞を吐く。というか、私に揉まれないなら、その無駄にでかい乳はなんの為についてるのよ。
「あんたねぇ、今の姿でその台詞を言ったら、完全にアウトよ。」
「そう?」
「男になった自覚をもっと持った方がいいと思うけど?」
「自覚を持つ為におっぱいを揉みたいと思うのだけど?男っておっぱい好きじゃない?」
別に本気でおっぱいを揉みたいと思ったわけじゃない。揉んだらどんな感情が自分に湧き上がるか試してみたかっただけだ。後はAVとかも見てみたいわね。
「私が言っているのはそういう事じゃないのだけど・・・はぁ」
紫雨がため息をつく。
「紫雨がダメなら、私は誰のおっぱいを揉めばいいのかしら?」
一応、紫雨以外の前では真面目な生徒で通っている。教室の隅を見ると、蒼生が間島君と話しているのが目に入った。蒼生のおっぱいか、なんか、モヤモヤする。頼んだら揉ませてくれるかしら?
「あ~、樹利亜とかがいいんじゃない?」
紫雨が提案してくる。
「樹利亜?なんか、あまり揉みたいおっぱいって感じがしないわね。」
そういえば最近絡んで来ない。樹利亜の席の方を見ると一瞬目があったが、凄い勢いで顔を逸らされた。
「あんた、本人の前でそれ絶対言わないでね。」
「私にも揉みたくないものぐらいあるわよ。」
蹴りたい背中もあれば、揉みたくないおっぱいだってある。
「じゃあ、ナンパでもすれば?」
紫雨が投げ遣り気味に言う。ナンパねぇ、興味がない事もないけど。
「婚約者いるんだけど。」
「私のおっぱいを揉もうとしたのに?」
「おっぱい揉むのは浮気じゃないでしょ。」
「普通にNGと思うけど。」
「じゃあ、私が揉めるおっぱいはこの世に存在しないじゃない。」
蒼生のおっぱいは揉みたいが、今の段階で頼むのは、やはりハードルが高い。もちろんゆくゆくはお願いしたいところではあるのだけど。
「無理して揉まなくていいんじゃない?」
「それもそうか。」
にしても男は性欲が強いと聞いたけど、今までのところそんな感じはしない。腰にぶら下がっているものも反応したことがない。男の快楽ってのにも興味があるのだけど、このまま反応しないとかないでしょうね?
会話が途切れたところで、二人ともスマホをポチりだす。
「・・・・」
「・・・・」
「ところで、さっき婚約の話出たけど・・・あなた達の婚約って結局どうなるの?」
暫くして、紫雨がふいにそんな事を聞いてきた。
「どうって、何も変わってないわよ。」
お父様から何も聞いていない以上、現状のままだろう。
「もう、駒崎のしきたりには縛られないのでしょう?」
しきたりか、"本家に女子しか生まれず、分家に歳の近い男子が居れば、本家の長女と分家の男子を結婚させる。"という実に馬鹿馬鹿しいものだ。私が男になった以上、このしきたりは全く無意味のものになった
「一度決めたのだから、そんなに簡単には覆らないんじゃない?」
簡単に婚約止めますとは言えないだろう。本家と分家の信頼関係の問題にもなる。それに今となっては、婚約を解消しない方が私にとっては好都合だし。
「性別は覆ったのに?」
だれがうまい事を言えと・・・。
「妙に食いつくわね。あなたがクラスメイトの恋バナに興味があるとは思わなかったわ。」
「別に・・・、ただ性別変わったのに婚約維持ってのも変じゃない?」
確かに何も言ってこないのは少し妙な感じもする。
「そんな変かしら?」
「肉体的には整合性が取れても、精神的には整合性が取れないじゃない。」
ふむ、言われてみれば確かに蒼生が今の状況をどう思っているかは分からない。私が女としての蒼生を受け入れたからと言って、蒼生が男としての私を受け入れれるかは別問題だ。
『やっぱり蒼生は、今も婚約を解消したいと思ってるのかしら?』
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やる気が出ます。




