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episode38 【体育館前】 カーテンコール! (上)



 球技大会終焉と共に、体育館を響かせた拍手喝采。

 その音と類似していた雨はすっかり上がり、天蓋からは眩い日輪の残照が差す。

 容貌が若すぎる謎の学園長の終了挨拶も終え、体育館から一斉に出てくる生徒たちの表情は一様にすっきりとした表情で満足しているようだ。

 ただその一つの大流とは別に、小さな人の流れが脇へと流れる。それは、今日のバスケで試合をしたAクラスの面々達。あまり穏便とは思えない空気を漂わせながらひとけのない場所へと移動していく。

 邪魔建てしてもうクラスのみんなから断罪されるのは確定していて、わざわざ首切り台へと首を突っ込むのも藪蛇だろうけれど、ここで足踏みして何が行われているのか思慮を巡らすのも居心地が悪い。

 遥か昔に冗談交じりで忍から教わった尾行術とやらを駆使し、少し遅れながらも彼女たちの跡をトレースしていく。

 と、追いついた先で、一方だけが耳をうんざくような口論が投げ交わされていた。 

「ちょっと、どうして試合途中で諦めたりしたの? まだ勝てる見込みはあったでしょう!」

「……え、でもぉ、生天目さんもぉ、途中で投げ出したよからぁー、私達だけに怒鳴られてもぉ、ちょっとそれって差別じゃないですかぁ」

「生天目さんにはこれの十倍は言いたいことがあるから、安心して説教を聞くといいわ」

 あちら側からは死角になる壁の影から覗いていると、御巫さんの愉悦に浸る声音を聞いてしまい背筋が寒くなる。御巫さんはへたしたら説教を仕事としている教員以上に、他人を罵るという行為に執念を感じているみたいだ。

「せっかくこの私があなた達を勝たせるために、色々指示を出してあげてたのに……。なによその顔は? ちゃんと反省してるの?」

「…………」

 あからさまに不愉快な態度で応じるはいるが、どこか余裕すら感じる。

 すると、ドンと容赦なく正面に立っていた御巫さんの肩を押す。威力が強烈だったのと、虚を突かれたのが原因なのか蹈鞴を踏んで後ろに倒れ込んだ。

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