もしかして”ここ”
ゼノが椅子の背もたれにもたれかかりながら魔物図鑑を眺めていた。
ウヅキとミツキは二人で一冊の魔物図鑑を探していて、ルシフェルは魔物図鑑をよいしょっと運んできている。
「太陽と月に関係する、もしくは日食に関係する魔物……」
「そんな都合よくいるわけがない」
ゼノは都合よくいるわけがないといいつつも、まだあきらめていないのか魔物図鑑を開いて探して居た。
さんがあるところに月がある。その月のもとに黄金が眠る……。
私はマップを開いてみる。もしかして月に関する地名のがないのだろうかと一瞬頭をよぎったからだった。
「んあ?」
私はこの東の国の全体マップを見て気になるところがあった。
烏兎池と呼ばれる場所。これは一応私は知っているのだけれど、この烏兎というのは月と太陽を表す言葉だったかな。金烏玉兎の略で、太陽の中に烏、月の中に兎がいるという中国の伝説から言葉ができたものだ。
金の太陽と銀の月の中にいる烏と兎。その名前の池が怪しくないわけがない。
これならばサンがあるところに月があるというのもうなずける。
が、今これを言うべきか?
これは烏兎という言葉を知らなければ絶対出てこないだろう。今ネタ晴らしするのはあまり面白くない気がするな。
「じゅんぺー君、何か見つけたのかい?」
「いや……」
『歯切れ悪くて草』
『絶対何か分かっただろ』
と、歯切れの悪さでなにかわかったと悟られてしまったようだ。視聴者には。
「わかったのだね」
「え、わかったんですか!?」
「す、すごいべ……」
「いや……大方ここだなって目星はついただけ。ただ、今ネタ晴らしするのは面白くないと思ってね」
「教えてくれないんだっ!? まぁ、ボクはかまわないけどね?」
「私がここだと目星ついた場所は教えない。ヒントだけは上げると、金の太陽、月以上」
この言葉を知らないとわからない。
知識を要求してくるのかここで。一応、ミツキの読みであるSunがあるところに月があるというのは正しいとは思うのだが……。
「金の太陽、月……。ふむ。それだけでたどり着けるのか?」
「ある言葉を知ってないとたどり着けない。これは知識の問題」
「ある言葉?」
「ま、魔物は関係ないんだべか」
「関係ないね……。私が目星をつけてるところには魔物いるかもしれないけど……」
そういうと、四人は言葉辞典を引き始めた。
烏兎が載っていればすぐにたどり着けるだろう。あ行だし。まぁ、太陽に関係する言葉から調べるのなら流し読みするかもしれないが。
『じゅんぺー答え上げないとかなかなか鬼畜』
『マジで何? マップ見てて何かに気づいたのが気になる』
『マップのどこを見ていたのか……』
『視聴者にだけ答えを……』
「いや、ほかの五人にもコメント欄を見せてるし、ばれるでしょ」
『ちっ』
まぁ、でも私が目星をつけたところにあるとは限らないけどね。




