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リーダーはあくまで私です

 配信の時間を迎えた。

 私はカメラを取り出し、宙に浮かせる。


「はいどーもー。二夜連続配信でーす。今回は豪華ゲストがいまーす」


 私はゼノを前に立たせる。

 ゼノは腕組みしつつ、少し不機嫌そうな顔をしていた。が、多分緊張しているだけだろう。


「ゼノって言うんだけど、この人すごいんだ。ゼノ、自己紹介」

「こほん。まぁ、改まってカメラの前に立つと少しばかり緊張してしまうが……。僕はゼノ。もとい、瀬野 和人だ」


 ゼノは淡々と紹介を終わった。

 が、コメント欄はものすごく盛り上がっていた。というのも、ここでゼノ、もとい瀬野和人の初顔出しが行われた。

 X Planは人気漫画であり、その作者は今まで顔を隠してきた。


 もちろん、半信半疑の人もいるが。


『でもじゅんぺーが紹介して、嘘でしたってあるか?』

『これで嘘だったら炎上ものだぞ』

『炎上リスク回避がうまいじゅんぺーがわざわざする?』

『この前炎上してたじゃん。あり得るだろ』

『あれは本人じゃないし、本人が見ず知らずのとこでやられてたしわからねえだろ』

『じゃあ本物だ……。けど確証が欲しい……』


 と、疑いが晴れない。


「まあ仕方ないだろう。わかっていたことだ。読者は僕の顔を知らない。証拠が欲しいのならあげてやろう。たしかこのゲームには写真加工機能があっただろう? それで見せてやる」


 写真加工機能。

 スクショに文字を書いたりすることができる機能。人に見せながらも出来て、私は写真に絵を描くのを見せろということ。


「イラストって時間かかるでしょ。終わる?」

「色も塗らないし簡単なラフ画みたいなものだ。それならば僕はすぐに終わる」


 そういって、白いアイテムを取り出してその写真を撮っていた。そして、スラスラ〜っと絵を描き始める。

 おお、このキャラは……。


『こいつ登場してなくない?』

『誰?』

『これ明日発売のギャングのX Planに登場するキャラだし初登場のキャラ……。俺フラゲしたから分かるんだけど……』

「このキャラは一般読者には知られていないだろう? 知らない情報を僕が知っているというのは関係者である線がかなり濃くなるはずだ。そして、僕の絵のタッチで僕が瀬野和人だとしっかりと理解できるはず。それぐらいはわかるだろう?」

「すげー、おっぱいでか〜」

「感想がそれなんですね……」

「めんこい子だべ……。し、死なないべな?」

「そこからは沈黙だ。ネタバレは極力避けたいのでね」


 私も一応フラゲで今日の朝読んだから分かるんだけどこれは確証ですわ。


「ということで、僕が漫画家の瀬野和人さ。この後、編集部にもきちんと説明はするよ。どうせ今頃、Twitterの話題になっているだろうからね」

「なってるつもり満々だね」

「ならないわけがないだろう。この僕だぞ」


 自信満々だなぁ。


「あ、今回はボクもいるよ! 黄金郷なんて面白そうだ!」

「ってなわけで、今回はこのメンツ。黄金郷探しを配信しながらやるけど……。一応、聞き込みとかは必要だね。最初は各々分かれる形で……」

「この僕を舐めるなよ。既に情報収集は済ませた。この東の国のこの街ナナサキにある書物蔵で気になる文献を見つけた。アルコ・ボーロ著作の東国見聞録というものだ」


 それマルコポーロの東方見聞録のパクリでは?


「さんがあるところに月がある。その月の元に黄金が眠る」

「さんがあるところに月?」

「僕としては山や河があるところに月があるのだと見ている。さんがという文字は平仮名で書かれていたが」

「平仮名……」

「そこだけがわからない。簡単な暗号だと思うが……」

「サン……太陽があるところに月があるってことじゃねーんか? 山河ってわざわざ平仮名にするほどならば大事なんだべ」

「となると、日食? そんな簡単な暗号なのかな」


 各々が暗号を解読しようと必死だった。

 私はその四人の光景を見つつ、私も適当に考える。こういうのは黙って考えた方が分かるが……。

 ふむ。


「魔物にもしかしたら月とか太陽に関係するのがいるかもね」

「ふむ、調べてみる余地はありそうだ。調べに向かおう」

「ゼノが指示出しするんだね……。まぁ、そういう人ほどいいサディストなんだけど……」


 リーダーはあくまで私です。









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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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