百鬼夜行 ①
妖界は、なんていうかものすごく古来の日本という感じがした。
行きかう人は笑顔で会話しているし、人間に怖がられたーって泣きじゃくる子ども妖怪も、妖怪たちは「人間は俺らを恐怖として見ている」と苦笑していた。
「俺らが危ないところにいるとな、近づかないんだよ。俺らがいることで危険性を示しているのさ。俺らだって人間のために働ける」
「そーなの?」
「俺らは高いところから落っこちても、潰されても平気だからな。だが、人間は違うんだ」
「へぇ。じゃあ俺も危ないところにいて人間を近づけさせない!」
そういうのもあるか。
危ないから注意といっても、どういう危険性があるのかとか、子供は理解できない。が、そういう怪物を作ることで子供を危険な場所から遠ざける。
そういうことを昔の人はしていたな。今はネット社会だしそういうのはないって調べたら一発でわかるから効果は薄いけど。
「この世界の妖怪は人間のためになにができるのか、人間と仲良くなるためにはどうするかを常々考えておる。猫又のような見た目がいい妖怪はすぐに仲良くなれるがの」
「にゃははー。猫って人間に人気なのにゃ」
「それに、人間に非常に近い見た目をしておるからの。人間は可愛いか、同族でなければ恐怖を抱くのじゃ。どうにかして人間と我ら妖怪が近しくなりたいものじゃが……。その夢を達成させるには魔界の奴らが黙っておらぬ」
「あいつらほんと邪魔にゃ! うちはこーんなにも人間が大好きなのに邪魔してくるのにゃ!」
ミケはぷんぷんと怒っている。
すると、妲己様はなにか後ろを振り返った。
「ふむ、人間界に強大な妖力……。ミケ、向かうぞ」
「にゃいにゃいさー!」
「貴殿も戦えるのならばついてこい。敵と戦うことになるぞ」
「わかりました」
というので、私は来た穴から外に出ると。
外は大惨事だった。
逃げ惑う人々と、追いかける妖怪たち。妖怪たちが人間を集団で襲い掛かっているようだった。
私は双剣を手にし、妖怪に切りかかる。
「ちっ、邪魔が入ったか」
「雑魚どもが……。我らの野望の邪魔をするでない」
「誰だてめぇ」
と、一つ目の怪物が妲己様に近づいた。
妲己様は胸ぐらをつかまれる。が。
「大した力もない小童が……。身の程を教えてやろうぞ」
そういうと、妲己様は巨大な狐に変身する。
そして、そのまま前足で一つ目巨人を吹っ飛ばしたのだった。一つ目巨人はそのまま消えていく。
「にゃー---! 猫のひっかきを食らうのにゃ!」
「いでっ! やめっ」
「二人ともやるなぁ。私もやるかな」
私は次々と妖怪を倒していく。
すると、その時上空になにやら影が。
「大物がきおった」
「にゃにゃ!?」
上空にはキツネの男性が浮いている。
隣には黒髪猫の女の子も。
「玉藻前……。やはりおぬしが先導していたか」
あれが玉藻前らしいです。




