牛vs蜘蛛
炎上騒動から二日後。
私はマドカたちとともに船職人の床に訪れた。船ができたというので、東の国にいくことになったのだった。
「じゅんぺーさん炎上大変だったね!」
「マドカがああいってくれなかったらきつかったよ。あのアカウント、垢消しで逃亡したけどすでにIPアドレスは抑えてるしこれから裁判だよ」
「裁判までいくなんて相手も思ってなかっただろうね~」
そりゃここまでのことをしてくれたんだ。
匿名性が強いネット社会でもやっていいことと悪いことがあるし、こういうことは私は許さない方針で行く。
すでに弁護士通じて相手方のほうに通達が届いているはず。それに、その犯人っぽい人のアカウントもすでに特定した。
「お二人。会話しているところ申し訳ないが、そろそろ東の国につくようだ」
「お、つく?」
話していると、東の国につくようだった。
東の国の港に船を止めさせる。そして、私たちはとうとう東の国に降り立ったのだった。
東の国は木造建築が多く、また、刀を持っている人たちが闊歩している。
東の国のモチーフは江戸時代の日本だろうな。ものすごい侍感があり、百姓だとわかる服装や、商人のような人も見かける。
江戸時代にタイムスリップしてきたかのような感じだ。
「おほぉ! いいねぇ、この和の雰囲気」
その時だった。
何やら騒動が起きているらしい。騒がしいほうを見ると、侍たちが何かから逃げているようだ。後ろにはデカい牛のような魔物がいる。
牛鬼という魔物だな、あれは。結構強いランクのはず……。私は双剣をかまえ、その牛鬼と侍の間に割って入ったのだった。
「ブモォ!」
「どうどうどう」
私は双剣で牛鬼の目玉を一突きする。
痛かったのか、その場で立ち止まり、暴れまわる牛鬼。ひとしきり暴れた後、牛鬼は私をぎろりとにらんだのだった。
私にものすごくヘイトを向けている。
「よし、じゃ、あとは任せたアトラク=ナクア!」
私はアトラク=ナクアを召喚。
周りの人はぎょっと驚いている。
アトラク=ナクアは鋏角を振り上げ、牛鬼に飛び掛かった。鋭い鋏角が牛鬼の肉体に突き刺さる。牛鬼はまだ暴れようとしていたが、アトラク=ナクアは牛鬼に糸を巻き付けて、糸玉状にしたのだった。
そして、そのままその糸玉を振り回し、地面にたたきつけた。そして、最後に糸に雷を通し、感電させていた。
アトラク=ナクアは雷と水属性の二つを操るといっていたな。二属性を操る魔物なんてそうそういない。
牛鬼にまとわりつかせていた糸がほどけ、牛鬼はそのまま消えていき、素材をドロップしたのだった。私は素材を拾っていると。
「た、助かった。感謝いたす」
「いやいや、いいんですよ」
「この蜘蛛はそれがしの怪異か?」
「あ、モンスターのこと怪異って呼ぶのか。そうです」
「そうなのか。見事な強さだ」
「ありがとうございます」
「見たところ、それがしは外から来たのか?」
「あ、そうですね」
「そうか。異邦人に助けられ、誠に感謝する。お礼といえばなんであるが、拙者にこの国を案内させてはいただけないだろうか」
「いいんですか? あざまーす!」
案内人、ゲット。




