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古代種

 アクアクアの街につき、船職人とも出会えた。

 船ができるまで二日ぐらいかかるというので、それまで暇つぶしをすることになる。とりあえず、二日後にマドカたちとアクアクアの噴水広場に集合ということになり、私は一度王都に戻り、ヒステリアとコンタクトを取った。


「どうしたのかしら。急に呼び出すなんて」

「いや、そのね。珍しい魔物をテイムしたから」

「どういうものかしら」


 私はアトラク=ナクアを呼び出した。

 王都郊外で呼び出したが、相変わらずデカい。鋏角を振り上げて、挨拶しているようだが。ヒステリアは少し笑顔がひきつった。


「蜘蛛……」

「苦手?」

「ええ……。あまり得意ではないわ。で、どこが珍しいのかしら。蜘蛛の魔物は割とメジャーなはずよ」

「いや……こいつ、SSランクの魔物で神話級の魔物っていうんだよ」

「……神話級の魔物?」

「そう。かつて炎龍に住処を滅ぼされかけたって」

「……なるほど。興味がわいてきたわ」


 ヒステリアはさっそく王城の書庫に向かおうっていう話になった。

 私たちは王城の書庫に向かう。そして、魔物図鑑を開くと、たしかにアトラク=ナクアの項目があり、きちんと魔物説明がされていた。

 図鑑曰く……。


「主に水属性と雷属性を操る蜘蛛……。古代では数が多く繁殖していたらしいが、炎龍様が蜘蛛を滅ぼし、見ることがなくなった……」

「炎龍……」

「ほかのSSランクの魔物も古代に生息していたらしいわ。古代はものすごく魔境だったのね。アトラク=ナクアのような魔物がうじゃうじゃいたという記述もあるわ」

「それはそれでいやだな……」


 今じゃ私アトラク=ナクアに勝てないのに。そういうのがうじゃうじゃいる時代があったと思うとすげえいやだ。

 炎龍様ってもしかしてどんどん周りの魔物を弱体化とか弱くさせてたりする?


「アトラク=ナクアの近縁種としてネトナクアっていうのがいるらしいけれど……。それはCランクね。アトラク=ナクアは古代種……。古代に生きていたSSランクの魔物は全員古代種という分類がされているわ」

「古代種……」

「古代種は基本的に遭遇すること自体がレアらしいわ。それぞれ好んだ特別なフィールドにいるっていう記述もある……。あなたのアトラク=ナクアはどこで出会ったの?」

「普通の森にいたけど」

「おかしいわね。となると、もともと住処にしていた特別なフィールドになにか邪魔が入って追い出されたと考えてもいいわ。ただ、アトラク=ナクアもものすごい実力者だからそう簡単になわばりを奪えるとは思えない……。きっと炎龍並みの魔物が縄張りに住み着いたと考えてもよさそうね」


 ヒステリアはそういって少し笑う。

 炎龍並み、か。なんとなくこいつの住処を奪ったのは炎龍だと思うが。前にもそういうのがあったしな。

 氷狼の住処を奪ったこともある。一応前科はあるから可能性はなくもない。


「例えば氷狼、とかは奪えそうね……」

「氷狼? そんな強いの?」

「ええ。SSランクの魔物に属しているらしいわ。古代種ね」


 あの狼そんな強いのか……。

 私が対峙したのは子供だからそこまでだっただけっていう話だな。


「氷狼とアトラク=ナクアは縄張り争いもしていたという話があるわ。古代について調べていくとなんだかとても面白いじゃない! 研究テーマ、考察テーマはこれね! ふふ、新たな題材感謝するわ」


 と、ヒステリアは笑いながら本に向き合っていた。









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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 防具縛りの人には旨味半減な蜘蛛さんな希ガス(糸利用の生産...)
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