蟹とヤドカリ
私たちはグランバレー海岸という場所にやってきた。
上空から見ると三日月のような形の海岸で、近くには三日月の洞窟と呼ばれる洞窟があり、そこも魔物が出るということだ。
私たちの今回の目的はその三日月の海岸。なのだが。
「大型モンスターいるね」
「蟹だ」
「蟹だべ」
「あれはマリトワネットクラブだね」
「片方のハサミが大きいべ……。あれ受けたらひとたまりもなさそうだ」
マリトワネットクラブ。
片方のハサミが異常に発達した大きな蟹。私たちの倍くらいの大きさはあり、あのハサミはギロチンのようにものすごく切れ味がいいらしい。
あれを排除しなきゃ先へは進めない、か。やるしかない。
「よしやる……」
「なんかもう一体来ますよ!?」
と、今度は海のほうから何かはい出てきた。
「バベルカリ……。ものすごい長い巻貝をヤドとしたヤドカリみたいです」
「じゅんぺー、どうする? 二体同時に相手するとかきつくない?」
「こっちのほうが燃える。マゾヒストは逆境にこそ興奮するもんだ!」
私は双剣を構えて、とりあえず片方に突撃していったのだった。
マリトワネットクラブのほうが私に気づき、その大きなハサミで挟もうとしてきた。私は双剣で受け流し、とりあえず一刺し。
「ガッガッ」
「ファイアだべー! ゆでガニにしたらぁー!」
「僕たちはこっちだね。一緒にやろうか、ウヅキちゃん」
「は、はい!」
どうやら二人一組で片方を対処するようだ。
私のコンビはミツキ。魔法使いか。あっちにヘイトが向かないように私がヘイトを集めるべきだな。そういうのは慣れてる。
避けタンクとしても私は優秀だと自負してるしね。
「ウヅキ! 攻撃しつづけていいよ! 攻撃は私が極力受けるから!」
「りょ、了解だべ!」
マリトワネットクラブは私に近づき、今度は私の背後にあるヤシの木を切り倒す。
私はヤシの木を切り刻み、ココナツを持ち、マリトワネットクラブめがけてぶん投げる。ココナツは硬いからいいダメージソースになるぜ。
ココナツがクリーンヒットし、マリトワネットクラブは怯んだ。
双剣を構えて攻撃を加える。
「あ、じゅんぺー! 危ない!」
「んあ?」
私が振り返ると、バベルカリのヤドカリが私に命中する。私は大きく吹き飛ばされ、残り体力があと少しとなってしまった。
ワンパン、されなかっただけマシだとはいえるけど……。あっちのヘイトもどうやら私に来ているらしい。
「ごめん! 僕がヘイトを管理するべきだった」
「気にしない! 私が見てなかったのが悪い」
片方だけに集中しすぎた。
早いとこ片方を処理しなければいけないな。私は立ち上がり、マリトワネットクラブに攻撃を仕掛けることにした。
「よっしゃ、攻撃されたことでボルテージがどんどん上がってきたぜ……! ミツキ! さっさと終わらせようか!
「は、はいだべ!」
総攻撃だ。
私は襲い掛かろうとしたときだった。背後から誰かに突き刺される。
「……は?」
「お姉ちゃん、久しぶり♪」
「京……!」




