私たちからのお願い
ということで。
「やっほー。僕は朝倉 美春だよー。よろしくね」
「じゅんぺーっす。よろしく頼むっす」
配信に美春が来た。
ルシフェルという名前の彼女は装備の色も黒く染めており、漆黒に染まっている。中二病かな?とつっこみたくなるがそこはまぁ無視。
「ほら、二人も……」
「ほ、本物のアイドル様だべ……」
「あ、ああ、あの! あとでサインを……」
「いやぁ、配信見ていたからいるのは知ってたけど実際に見るとかわいいね。ミツキちゃんにウヅキちゃん」
こいつ、見た目が私たちとは違って中性的だし性格は意外とタラシだ。
かわいいといわれた二人は顔が真っ赤っか。
『まさかの僕っ子?』
『マジのアイドル草。どこで知り合ったんだ』
『テレビ出演とかそんなしないじゅんぺーがなんでアイドルと知り合い?』
いきなりのアイドルコラボで驚いているようだ。
まぁ、その説明はあとですることにはなるけど、まずは話さなきゃいけないことがある。
「まず話さなきゃいけないことがある。これは私もしたくないけどまじめな話」
私はつい昨日、サンキチからきた話を言うことにした。
「サンキチっていう友人、前に私の配信に出たでしょ? それで、いじめてた過去も告白した。でね、そのあと。サンキチの店に嫌がらせをしてる人がいるって。無言電話だったりごみを投げつけたり。無言電話はまだしも、ごみを投げつけるのは立派な犯罪だよ」
こればかりは注意しておかないと。
私ならともかくとして、サンキチは普通の一般人だ。そんな被害を受ける謂れはない。
「だからやめてほしい。私ならまだしも、サンキチは一般人だから。配信に出していじめをしていたって暴露した私が悪いのはわかってる。けど、サンキチに対する嫌がらせはやめてほしい」
『正義マンうざいよな』
『正義という肩書がある以上何やっても許される←んなわけねーだろ』
『もうそういうやつら訴えたら?』
「これ以上続くんならもちろんそういった措置も考えなくちゃならない。一応、投げた犯人は私もわかってる。カメラが外についてるしね。それに、電話だってもちろん辿ればどこからかけられたのかとかもわかる。私だってなるべく法的措置は取りたくないからやめてほしい」
「そうだね……。僕からもお願いするよ。彼女とはもういい友人関係を築いているからさ」
ルシフェルも頭を下げた。
『もしかしてサンキチさんがいじめてた相手って朝倉 美春?』
「うん。でももう仲直りした。これは本当。じゅんぺーのおかげで」
『和解したんだ。よく許せたね』
「じゅんぺー見てるとなんかそういうのバカバカしいって思って」
ルシフェルは苦笑いを浮かべる。
コメント欄はなんかじゅんぺーって見てるとばかばかしくなるとか言われてるし、シリアスな雰囲気すらぶち壊す女とか好き勝手言われてる。
「まぁ、言いたいことはそれだけ。だからお願い。サンキチには嫌がらせをしないでほしい」
「え、えと、私たち事態飲み込めてませんけど……」
「飲み込めてなくていいよ。これは私たちの昔の話だから。ま、気持ちを切り替えてゲームしてこ! 今日はせっかくのアイドルもいるし、海行くよ海! みんなビキニは持ってるかな!」
「ビキニ限定!?」
「もってるべ! わたすのひんそーな体でよければ見せたるべ!」
「乗り気だねミツキ……」
「岐阜にゃ海ねーんだ。ゲームならみれんだろ? 楽しみだぁ」
そういえば岐阜は海なし県でしたね。




