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酒飲み配信、サンキチとともに

 最近、いろんなことがあった。

 私は珍しく暇なので、昼間から酒を飲みあかしていると、突然インターホンが鳴る。私が入居しているマンションは住人の許可なしじゃロビーに入れないマンションなのでセキュリティ面に関しては安心なほうだ。

 私はカメラを見ると、サンキチがなにやらレジ袋をもっていた。


「いやぁ、お外暑いねー!」

「そのレジ袋は何?」

「あ、これ? いいスズキが手に入ったから一緒に食べようって思ってさ! って昼間から酒飲んでんの?」

「配信しながら飲んでる」

「配信してるんだ」


 昼間から酒飲み配信をしているのはとてもいい気分だ。


「サンキチも映る? 友人って紹介するけど」

「いいの? お店の宣伝にもなるし一回だけ紹介させてほしいなー」

「いいよん」


 ということで、私は配信部屋に向かう。

 配信部屋って言ってもリビングだが。料理を作る都合上、キッチン近いほうがなにかとやりやすいしね。

 私はカメラの前に戻ってくる。


「ってことで、今友人来たんだわ」

「どーもー。居酒屋サンキチを経営してますー、三吉でーす」

『友人?』

『なんか持ってる』

『居酒屋サンキチいったことあるわ』

『あそこ旨いよな』


 コメント欄でも居酒屋サンキチに行ったことがある人とかいるようだ。


「いいスズキが手に入ったから食べようと思ってきたんだけど配信してたとは思わなかったよ。なんか作る?」

「私が作るよ。鮮度もよさそうだし刺身でも行けるけど……。とりあえずスズキだったら私はネギみそ焼きが食べたい」

「ねぎみそ?」

「ネギもちょうどあるし、作ってやるよ」


 私はとりあえずスズキを捌く。

 まだ内臓とかとられてないので、そこからだな。私は手際よく魚をおろす。三枚におろし、切り身を作っていく。

 そして、包丁を持ち換え、まな板を変えて、今度はネギを刻む。


 味噌とネギを混ぜ合わせ、スズキの切り身に塗りたくり、トースターで焼くと完成。焼けた味噌のにおいがまたいいんだよな。

 私はできたといい、テーブルのほうに持っていく。そして、二人分のビールを用意して。


「んじゃ、飲むか!」

「うまそー。いただきまーす」


 カポシュッ!

 缶ビールが空く心地よい音が。


『うまそう』

『まだ昼間でよかった』

『よく考えてるとなんで昼間から飲んだくれてんだこの女』

『昼間から飲む酒は格別やでぇ』


 私はネギみそ焼きを食べてみる。

 うまい。我ながらうまくいったな。


「うまーい。みそがいいね。酒が進む進む」

「でしょ? こういう味が濃いのがいいんだよな」


 私たちは見事に平らげたのだった。

 酒を飲み干し、私は気になっていたことをサンキチに聞いてみる。


「ねぇ、サンキチ」

「なに?」

「ゲームやらないの? 最近ログインとかしてないよね?」

「あー、やる暇がなかったんだよね。なんか最近ものすごくお客さん多くてさー。うれしいけど、その分休みとか仕込みで丸一日使っちゃうし暇がない! 今まで一人で切り盛りできてたくらいには人来なかったんだけどねー。うれしい悲鳴かな?」

「人めちゃくちゃ来るようになったんだ」

「なんか有名なYeyTuberの人に紹介してもらえたんだよねー。丸岡 剛って人に」

「あー」


 あの人は料理系の人だな。

 料理作ってみたとかあげてるし、飲み歩いてみたっていって居酒屋を訪問して紹介してくYeyTuberだ。あの人とは一度会って料理作ってみたことがある。あの人めちゃくちゃ味わかる人。


「一度来てくれて、リピートしてくれる人が多くてさー。人を雇わないと切り盛りできなくなっちゃって……」

「でもサンキチの店って割と狭くない?」

「そう! だからちょっとお願い! 配信で言う内容じゃないかもしれないけど、広げるための資金、出してくれませんか!」

「ん、いいよ。おいくら?」

「一度建て直すからざっともろもろ3000万ちかくにはなるかもしれない……」

「おっけー。3000万ね」


 建て直しの相場はそれぐらいかな。

 

『え、マジで出すの?』

『3000万を秒で許可出すのやばくね?』


 と、コメント欄も困惑している。


「言っておくけど今の店舗とか資金全額出してるからね? 今に始まったことじゃないし」

『返してもらってるの?』

「返さなくていいって言ってるし。サンキチは友人だからね。無料で飲み食いさせてもらえればいいってだけ」

「そうです! もちろん、持ち逃げはしませんし……」

「サンキチは昔、悪いことしてたけど今は真面目だよ。私が保証する」

「……うん」

『悪いこと?』

『悪いことって?』

「言っていいの?」

「よくはないけど……。さすがにいずればれると思うからいいかな」


 サンキチはそういって苦笑い。

 しょうがない。そういうのは早めに語っておいたほうがいい。


「私も詳しくは知らないけど、テレビに出てる有名人の一人をいじめてたらしい。それで、転校させて、自分も責められて転校したっていう過去」

「もちろん、本当に反省してますし、テレビでその人もいじめられてたって言ってて、私の実名が報道されるんじゃないかって思ってます。今本当に暴露しておきます……。この場を借りて」

『マジに反省してるパターン?』

『こういうのって言いたくないだろ普通』

「いじめられてたのが私だったらよかったのにね」

『マゾヒストは空気読めない』


 読まないだけだ。







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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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