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許可を取るのがあなたたちの仕事

 よくよく考えてみればそりゃそうだろう。

 炎龍の紋章は国にとっても大事なものであり、そこは監視されててもおかしくない場所だ。一人の王国兵士が依頼してきたことは伝わっているだろうが、依頼達成報告を受けて、私たちが出てきたのを見るとさすがに不審に思うだろう。


「……炎龍の紋章の部屋にいってました」

「やはりか。我が国の大事な紋章を……! ひっ捕らえよ!」

「それはまだ早いんじゃないかしら。騎士さん」


 と、ヒステリアが拘束されながら何か言い始めた。


「なんだと?」

「勝手に入ったことは謝るわ。私も文献に紋章のことが載っていて好奇心で向かったもの。だけれど……。その人の右手に入っている紋章はあなたたちもわかるでしょう?」

「右……えっ」


 私は右手を見せると、騎士たちが固まっていた。

 私たちを捕らえようとしている動きはなくなり、ただただ硬直している。


「なぜ炎龍の紋章が……。ぎ、偽造ではないのか!」

「えーと、これ体から……」


 私は炎を出してみた。

 炎龍人の特徴としてはこうやって周りに炎を出すことができて、近寄るものに継続ダメージを与えることができるらしい。

 私を捕まえていた騎士はあっつ!と声を上げて話す。


「火だるま……。私が熱さを感じれば完ぺきだったのに……惜しまれるッ!」

「本物の……。っと、これは失礼しました!」


 騎士たちが勢い良く頭を下げた。


「いいよいいよ。国としては大事なものだろうし勝手に入った私たちが悪かったです。それより……その……」

「はい」

「もう一度組み伏せてくれないでしょうか」

「……はい?」

「お願いします」


 とお願いすると、騎士団副団長グラヴェルが私を組み伏せたのだった。

 腕を後ろにやられて身動きできなくさせられた。痛い。けど気持ちいい……。この気持ちよさはやっぱさすが騎士。身動きとらせない方法に慣れてますね……!


「んっ……ああっ……」

「な、なんかエロイ声出してますが副団長!」

「つ、強くやりすぎたか? 申し訳」

「もっと強く!」

「はい!?」

「そこらへんでいいわ。あまりやるとその人エスカレートしてしまうもの」


 とヒステリアが言うと私を組み伏せるのをやめたのだった。

 気持ちよかったのに……。


「本当に申し訳ありませんでした。お詫びをしたいのですが……」

「いいのいいのべ」

「なら王城の書庫に入る許可をもらえないかしら」


 と、食い気味にヒステリアがお詫びの条件を提示した。

 そうか、これ王城に入るチャンスだよな。王城に入って書庫を漁るだけなら問題はないだろうが……。


「王城の書庫は一般開放されておりますが……」

「されてるんだ」

「そ、そうなのね。それは初耳だったわ。なら……禁書。禁書を調べさせてほしい」

「禁書!? それは私の判断では……。せめて騎士団長の許可がなければ……」

「許可を取ってくるのがあなたたちの仕事でしょう。炎龍人に危害を加えたという事実、あなたたちとしてもばれたくないわね?」

「とってまいります!」


 グラヴェルは走り去っていった。


「お前案外強引だな」

「強引に行くべきところは行くだけよ」


 知的好奇心が強すぎるだろお前。










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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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