一発目 ①
時間は二日経過した。
二日後の火曜日。私はカメラを回していた。今日は二人が改めて私の配信に出るという日。二人はすでにログインしており、配信待機勢もすでに六千を超えている。
結構大っぴらに告知したからなー。すっげえ人来たな。
「すごい人来たね」
「そろそろだべ……。きんちょーしてきたなぁ」
「落ち着いていけばいいよ! ダイジョブ、自然体でね……」
二人は少し緊張しているようだ。
そして、約束された日時である七時を迎える。カメラが回り始め、私は手を大きく振り上げ、景気よく挨拶をした。
「改めて、ようこそ! じゅんぺーだよん。今日は告知した通り、この隣にいる二人も今日から一緒に配信を盛り上げてくれるよー! 改めて自己紹介、しようか」
「あ、え、えと、わたすはミツキというべ。よろしくたのむだ」
「ウヅキです! よろしくおねがいひまふっ!」
噛んだ。
コメント欄も落ち着けとか緊張しなくていいとか言っていた。優しいねお前ら。
「今日は配信内容としては二人の特訓が主になるかな」
「特訓ですけ?」
「そ。特訓」
二人はまだレベルが低いからね。
私はとりあえず、二人にレベル上げのことを伝えて、二人だけで戦ってみろと告げた。私がそばで指南してもいいが、それだと判断能力が上がらない。
モンスターが出る場所に移動し、私は物陰に隠れる。
「二人の武器はそれぞれ魔法と槍。近接と遠距離だからバランスはいいし、あの二人は友人コンビだからコンビネーションはいいとは思う。だけど、戦いに関しては素人だからねぇ」
『がんばえー!』
『奥になにかいね?』
茂みから音が聞こえる。
二人もその音に気付いたのか、武器をがっしり握りしめた。すると、茂みの中からでかいオオカミのようなものが姿を現す。
あれ、雑魚敵じゃない。ここら辺に生息する雑魚敵に狼はいない。
『雑魚にしては強そう』
『これ二人で相手するんか?』
「させるわけねえって!」
私は双剣を握りしめる。
狼は二人に素早く距離を詰める。ミツキが魔法を放ったり、ウヅキが槍で突いたりしているがうまくかわし、そして、ウヅキに噛みつこうとしていた。
私は双剣で狼の攻撃を受け止める。
「じゅんぺーさん!?」
「どしたんか!? 見てるんじゃ……」
「これ雑魚敵じゃないから出てきたんだよ……。君たち持ってるねェ。多分こいつボスクラスの魔物だよ」
『草』
『一発でそれ引き当てるのなかなか豪運で草』
『雑魚じゃないって瞬時に判断して助けに入るじゅんぺー、流石というべきか』
一発で引き当てるとは本当に動画向けの運してるね。
「ボスに関してはまだ勝てそうにもないからね。私が戦うよ」
狼は私から距離を取り、再び噛みつこうとしてきた。
口を大きく広げ、私にとびかかる。すると、狼の口の中に氷柱が形成されたかと思うと、その氷柱は私めがけて発射される。
私は氷柱を右手の剣でたたき落とした。
狼は二発目を放とうとしてきたので、私は狼と距離を詰め、剣でたたっきる。
「すげえ戦いだなぁ」
「ボスつよそー……」




