強い二人
時間的には夜。
もちろん、ゴーストプリンセスの装備があるといった通り、夏休みの定番イベントといえば。
「ぎいやあああああ!?」
「びびってちゃ倒せないよ」
肝試し。
イベントモンスターには肝試しに登場するような幽霊のようなモンスターも多数いる。ミツキは怖がりなのか、ウヅキに抱き着き、ウヅキも恐怖で固まっている。
「こええ……。こええべ……。なんなんだこいつぅ」
「今のはあれだよ。ゾンビ」
「ゾンビってあんな怖いんか!? わたす、もうやっていける自信がねえ……」
「予想以上に怖かった……」
「まぁ、画面越しではないからね」
私はあれより怖いものをプレイしたことがあるから平気だけど。
配信でVRホラーっていうのもやったことがある。それもたくさん。多数のゾンビが襲ってきたり、館に閉じ込められて、その館の化け物から逃げつつ脱出したり、失踪した設定の姉を探しに薄暗く不気味な街を探検したり。いろんなホラゲーもプレイ済み。
慣れたら屁でもない。むしろこのゲームはデフォルメされてる分まだ愛嬌がある。
「まだリアルなゾンビじゃないから。これ以上怖かったゲームとかあるよ」
「ひいい……」
「明日! 明日の昼間にしませんか!? 私たち、学校休みで暇ですし!」
「いやぁ、明日からみっちり予定詰まってるんだよ私。今日しかない」
「むぐぐぅ……」
「私は君たちを気に入ったから教えてるんだよ。昼間がいいなら教えられる時間はイベントが終わるまで教えることができない」
「そ、そんなに忙しい中、私たちに教えを?」
「うん。気に入ってるからね。方言女子なんて面白いじゃんか。フレンド申請しておいたから」
方言女子はあれはいい。多分、動画向きの性格してる。
ミツキはがくがくと震えながら杖を持っている。挑む姿勢は素晴らしい。これは普通に動画映えするなー。
「ふぁ、ファイアー!」
「お、いいね」
ミツキは恐れていながらも、炎属性の魔法を幽霊にはなっていた。不意打ちで、躱せなかったのか幽霊に被弾し、幽霊は消えていく。
ポイントが入っていっているようだ。
「ポイント集めるにはたたかうしかねえんだ……。ウヅキィ……。か、かか、覚悟を決めてやるべ!:」
「……うん、そだね。怖がってられないよ」
「根性あるねぇ」
やりたくないものはやりたくないといっていいのに。
ゾンビじゃなくてもほかのモンスターを探せばまだ幽霊じゃないやつもいるのに。強い二人だね。こういう二人は私大好きだ。マゾの気質がある。
「それじゃ、私もまだまだポイント集めたいし、三人でやれるところまで狩るとしようか!」
「はい!」
「やるべー!」
ミツキは、怖がりながらも魔法をたくさん放っている。
ウヅキは使用武器が槍。槍の長いリーチを生かし、敵を貫いていた。
「あとやれて1時間ってとこかな」
明日は朝早いんです。




